ザ・サファーズ、来日目前!グルーヴィなソウルを奏でる彼らの底知れぬ魅力 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ザ・サファーズ、来日目前!グルーヴィなソウルを奏でる彼らの底知れぬ魅力

ザ・サファーズ、来日目前!グルーヴィなソウルを奏でる彼らの底知れぬ魅力

衝撃の初来日公演から2年、更にスケールを増した
モダン・ヴィンテージ・ソウルの実力派バンド

 ヒューストンで活動するソウル・バンド、サファーズが2年ぶりにブルーノート東京に戻ってくる。人種混成グループならではのミクスチャーな音楽性や地元意識を打ち出した新作『Everything Here』を出したばかりの彼らが、紅一点カム・フランクリンの滋味深い歌声とともに奏でるメロウでグルーヴィなソウル。会場に着けば、そこはアメリカ南部だ。

text = Tsuyoshi Hayashi

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 2011年に活動をスタートしたテキサス州ヒューストンのソウル・バンド、サファーズがブルーノート東京のステージに初めて立ったのは2016年6月、デビュー・アルバム『The Suffers』を発表した数ヵ月後のことだった。新進気鋭のアーティストを紹介する〈The EXP Series〉の第7弾アクトとして登場した前回の来日公演は、サファーズというグループ名を映画『Rockers』(78年)劇中のセリフに因んでつけたことを思い出させるようなレゲエ調の曲をやったり、ラテンのフィーリングを伝えたりと、人種混成バンドらしいミクスチャー・ソウルを、紅一点のカム・フランクリンのパワフルでおおらかなヴォーカルとともに聴かせてくれた。R&Bメドレーではエリカ・バドゥの名曲フレーズを引用し、故セレナで知られる曲も歌ってテキサスの歌姫にトリビュートを捧げるなど、地元愛も随所でアピールしていた。

20180904SUFFERS_image05.jpgPhoto by Tsuneo Koga

 米南部出身である自分たちの音楽をメキシコ湾に接するテキサス州にちなんで"ガルフ・コースト・ソウル"と謳い、オーガニックでグルーヴィなソウルを奏でるサファーズ。そんな彼らが2年ぶりの新作『Everything Here』とともにブルーノート東京に戻ってくる。新作では(前作の10人から)8人編成となったが、今回もリーダーでベース奏者のアダム・カスタネーダ率いるリズム隊のタイトな演奏、ホーン隊の緩やかな音色とともにリズミカルでメロウなグルーヴを紡ぎ、カム・フランクリンがディープで滋味深い声を披露。今年初めにはリル・キキとの共演曲"Southside 2K Live"もリリースしていたが、新作では冒頭のイントロ"A Headnod To Houston"からポール・ウォールの口上が飛び出し、インタールードでは元UGKのバン・Bも声を挿むなど、ヒューストン/テキサス出身の人気ラッパーを招いて同郷の絆を確かめ合うような場面もある。また、コロラドのファンク・バンド=ザ・モテットのメンバーでソロ・アルバムも出しているライル・ディヴィンスキーと歌う"After The Storm"はテキサス州を襲ったハリケーン・ハービー(2017年8月)の体験をもとに書いたというバラードで、これも彼らの地元意識を反映したものだろう。メンバーの母親たちのコメントをフィーチャーしたインタールードに続いて"Mammas"という母親賛歌が登場するあたりの人情味にも心を揺さぶられる。『Everything Here』というアルバム・タイトルは人間の多様性を理解しようという思いが込められているようで、それはソウル・ミュージックを軸にしながら様々な側面を見せる彼らの音楽性ともクロスしているように思う。

 デビュー作発表前の2015年10月にはNPR(アメリカの公共ラジオ放送=National Public Radio)の名物企画「Tiny Desk Concert」でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたサファーズ。ニューオーリンズのタンク・アンド・ザ・バンガーズなどとも共通する南部の肥沃な土壌を反映したようなソウルを奏でる彼らの音楽は、"サザン・コンフォート"とか"サザン・ホスピタリティ"といった言葉が似合う懐の深いもので、アメリカン・ルーツが再び見直されている現代において説得力を持つ。そんな中、レパートリーを増やして臨む今回のライヴは、さらに濃度の高いものになるに違いない。また、ダンスにも長けているサファーズのメンバーは、演奏をしながら見事なステップを踏む。音楽で体が動くというのはこういうことだと示してくれるようなステージ。そこには楽しさしかない。


林 剛(はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDのライナーノーツや音楽書籍を含めて様々な媒体に寄稿。2018年はエラ・メイの"Boo'd Up"に心酔する一方で、ニューオーリンズの新世代アクトに注目しています。

THE SUFFERS / ザ・サファーズ
2018 9.4 tue., 9.5 wed.
[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm
公演詳細はこちら → https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/the-suffers/

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