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[インタビュー|MY INSTRUMENT]ダリル・ジョーンズ

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ダリル・ジョーンズ

ダリル・ジョーンズのレイクランド

マイルス・バンドでのグルーヴィなプレイでその地位を確立、スティングやマドンナなどのポップ・スターのバックを歴任し今やローリング・ストーンの屋台骨を支えるベーシストの愛機

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 今回一緒に来日したマイク・スターンとは、ニューヨークでも昨年6月にライブを行っているが、それは1980年代のステップス・アヘッド以来、実に約30年ぶりの共演だったという。彼が愛用するのは、シカゴに本拠を置くレイクランド社製のシグネチャー・モデルである。「もともとはフェンダーのジャズベースを使っていたけれど、僕のためにホロウ・ボディのフレットレスを作ってくれたことのあるアルビー・バルゴチアンに、量産型のベースもデザインしてくれないかと相談したんだ。ビンテージ楽器の弾き心地を受け継ぐというのが基本のコンセプトで、指板も丸みの強いタイプにした。そして、ベース・プレイヤーでもあるアビーの意見を取り入れて、G弦で高いEまで出せるように、フレット数はビンテージの20じゃなくて21にしたんだ」

 21フレットまで手が届くようにボディの一部だけを変えると恰好が悪くなるとわかり、ボディのデザインは根本から見直した。数種類の試作を経て完成したベースは当初A Bassesというアルビーのブランドを冠していたが、個人製作では高価になるということで、ダリルのベースの先生であり、彼の後任でマイルス・デイヴィスのバンドでも演奏したアンガス・トーマスの紹介で、レイクランドの創立者ダン・レイキンに相談した。「楽器店の壁にかかっているレイクランドの楽器はどれも、手に取った段階ですでに弾きやすい状態に調整されていた」のが気に入ったダリルは、完成したベースのデザインをレイクランドにライセンスすることに同意した。指板にバインディングとブロック・インレイを施すのはダンのアイディアである。電気系統はパッシブだが、ローリング・ストーンズと大会場で演奏した経験から、音の立ち上がりがアクティブよりも速いことがわかったという。こうして発売されたレイクランド製シグネチャー・モデルは、以来ストーンズの世界ツアーでも大活躍している。

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足下のペダル群。左端はフレーズにビブラートをかける時に使用。右端はシグネチャー・オーバードライブ。
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アンプ・システムはQSC社製で、フルレンジとサブウーファーのユニットを組み合わせたものを使用。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Katsuaki Komiya
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Rittor Music

DARRYL JONES(ダリル・ジョーンズ)
1961年イリノイ州シカゴ生まれ。マイルス・バンドを通じて世界的に知られて以来、スティングやブルース・スプリングスティーンなどのスターとも共演。93年からはローリング・ストーンズのベーシストを務める。

坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストの取材や通訳を行う。ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊東たけし、仙波清彦などとも共演。

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