父から子へと受け継がれたLAジャズのスピリッツ。カマシ・ワシントン | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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父から子へと受け継がれたLAジャズのスピリッツ。カマシ・ワシントン

父から子へと受け継がれたLAジャズのスピリッツ。カマシ・ワシントン

父から子へと受け継がれた
LAジャズのスピリッツ

 群雄割拠の時代を迎えている現行ジャズ・シーンに、
彗星のごとく現れたカマシ・ワシントン。そんな彼の愛器には、
気鋭の音楽家を育んだ先人たちの熱い魂が受け継がれていた。

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 今年最も注目を集めたサックス奏者と言えば、やはりこのカマシ・ワシントンだろう。その決定打となったのは、フライングロータス主宰のブレインフィーダーからリリースされた『epic』で、総勢60名のミュージシャンが織り成すスピリチュアル・アフロ・グルーヴに、世界中の音楽ファンが魅了されたのだ。そんな彼の"声"となるのが、このセルマー・マークⅥである。

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マウスピースはベルグ・ラーセン110/0。自身でバッフル(内壁)を改良し、より抵抗感を強めているそう。
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マークⅥは1954年に登場したモデル。本器は16万番台後半というシリアルから、1969年頃のものと思われる。

 「13歳からアルト・サックスを始めたんだけど、次の年から学校でテナーも担当することになってね。家に父のテナーがあったから、それを内緒で使い始めたんだよ。もちろんすぐにバレてめちゃくちゃ怒られたけど(笑)。でも結局、受け継ぐことになって、それからずっと使い続けている。マウスピースもそのときのものだよ」

 バッフル(内壁)を増設したマウスピースに、5番という驚異的な硬さのリードを組み合わせた、かなり吹き応えの強いセッティングだ。また、親から子へ受け継がれたのは楽器だけではない。

 「5歳から父に無理矢理コルトレーンを聴かされてたけど、当時は全然わからなかった(笑)。でも、15歳で彼の音を理解したら最後、その色彩の豊かさに夢中になってしまったんだ。」

 ブラック・ジャズやトライブの諸作にもひけをとらないサウンドを構築する一方で、本年における最重要ヒップホップ作品であるケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』ではストリングス・アレンジも担当し、サイドメンとしても非凡な才能を発揮している。その豊かなイマジネーションはどこから来るのか?

 「子供のころから頭の中で鳴っている音があって、それを形にするためずっと音楽を作っている。そのためにサックスを吹いてるんだ。自分とこれほど長い時間過ごしてきた物も人も他にはない。替えのきかない存在なんだよ。」

photography = Takashi Yashima
interview & text = Kenichiro Kawahara
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music

Kamasi Washington(カマシ・ワシントン)
1981年2月生まれ、LA出身。父親はサックス奏者のリッキー・ワシントン。スヌープ・ドッグ、スタンリー・クラークといった幅広いミュージシャンと共演し、賞賛を受けるサックス奏者。
河原賢一郎(かわはら・けんいちろう)
1982年生まれ。編集者/ライター。サックス&ブラス・マガジン、ベース・マガジン、ギター・マガジン、耳マン、大型ロック・フェスのパンフ、教則本、Webなどを中心に、編集・執筆を行なっている。

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