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JULIAN LAGE SOLO "World's Fair 10-Year Anniversary Tour"

artist JULIAN LAGE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

これまでにも数々のフォーマットで日本を訪れ、筆舌に尽くしがたいプレイの数々でオーディエンスを魅了してきたジュリアン・ラージ。その一挙一動が音楽の希望につながっているといっても過言ではない彼の、アコースティック・ソロ・ツアーが遂に始まりました。タイトルは"World's Fair 10-Year Anniversary Tour"。ブルーノート・レコードとの契約で大きくブレイクする前の2015年にModern Loreから発表したソロ・アルバム『World's Fair』の、リリース10周年を記念するライヴです。

12月5日の高崎芸術劇場(スタジオシアター)公演で幕を開けたこのジャパン・ツアーの二日目は、12月6日にブルーノート東京で開催されました。超満員のオーディエンスがジュリアンの妙技に聴き入り、見とれ、酔い、ギターという楽器の持つ奥深さに浸りきったひととき、と言ってもよいでしょう。充実した演奏に圧倒されるとともに、以降のツアーがさらに楽しみになってくる内容でした。

エレクトリック・ギターの達人としても知られるジュリアンですが、今回はアルバム『World's Fair』同様、1939年製の名器"マーティン000-18"の美しい音色をたっぷり聴かせるステージです。メロディ、コード、リズム、オブリガートを織り交ぜ、時に鮮やかなストローク、時にハーモニクスを挿入しながら繰り広げられる演奏の数々は、まさに"ギターは1本のオーケストラ"という言葉を地で行くもの。音響はジュリアンとの名コンビを謳われるマーク・グッデルが担当し、鬼才ギタリストのニュアンスに富んだトーンを絶妙なマイキングで見事に拾って、場内に豊かな音世界を響かせます。リサイタルのような品格と、ジュリアンのキャラクターなのでしょうか、気さくな雰囲気が一体となって、なんとも親密感のある空間がブルーノート東京に生まれていました。

演奏曲目は、もちろん『World's Fair』のそれに基づいていますが、短編集の趣があったアルバムでの演奏に対し、目の前での実演からは、さらにヴァリエーションを増した、厚みも広がりも増した拡張ヴァージョンといった印象を受けました。どこかビックス・バイダーベックのピアノ曲「In A Mist」を思わせる幻想的な「40's」に始まり、1930年代に作曲されたスタンダード・ナンバーでジャズ・ギタリストではジョニー・スミスやジム・ホールもとりあげている「Where Or When」などを挟んで、ラスト近くに「Japan」を持ってくるなど、アルバムの曲順とは異なるセットリストも、ライヴ映えにつながっていたように思います。

"『World's Fair』のリリース・ツアーは行われていなかった。今回、10年ごしにそれが叶えられたんだ"と語るジュリアン。ギター・ファン垂涎のツアーは8日・札幌コンサートホール Kitara(小ホール)、10日・すみだトリフォニーホール(大ホール)、11日・サンケイホールブリーゼ、12日・広島クラブクアトロと続きます。
(原田 2025 12.7)

Photo by Jun Ishibashi

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【LIVE INFORMATION】

JULIAN LAGE SOLO
"World's Fair 10-Year Anniversary Tour"
12.6 sat. ブルーノート東京
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-Tour Schedule-
12.5 fri. 高崎芸術劇場 / スタジオシアター
12.8 mon. 札幌コンサートホール Kitara / 小ホール
12.10 wed. すみだトリフォニーホール / 大ホール
12.11 thu. サンケイホールブリーゼ (大阪)
12.12 fri. 広島クラブクアトロ
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