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IVAN LINS "80th Anniversary Tour"

artist IVAN LINS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

祝80歳、そしてキャリア55年!
数えきれないほどの魅力的なメロディを生み出してきたメロディ・メイカー&シンガー・ソングライターのイヴァン・リンスが、ただいま来日中です。9日にはBLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAとのコラボレーションが実現しましたが、10日からはイヴァンのレギュラー・グループによる単独公演が始まっています。
バンドスタンドには、イヴァン自身が「最高の友人であり、最高の演奏家」と語るメンバーたちが先にあがり、演奏を始めます。場内の熱気がさらに高まったところで、いよいよイヴァンが登場し、「A Gente Merece Ser Feliz」を歌うと、割れんばかりの拍手が起こります。輝かしいキャリアを持つイヴァンの歌声と、その名曲を、今ここでライヴで味わえる喜びを、超満員のオーディエンスが共有しているのです。

ドラムスはシヴーカ、ジャヴァンなどとも共演し、イヴァンの『Juntos』や『Anjo De Mim』にも加わっていた大ベテランのテオ・リマが担当。彼の懐の深いリズムと、90年代からイヴァンの音楽世界に欠かせない存在であるといっていいマルコ・ブリトのキーボードが実に心地よいバックグラウンドを提供し、フェルナンド・モンテイロもエレクトリックとアコースティックのギターを駆使、さらにペドロ・マルティンスのレコーディングに参加したこともある逸材ホスエ・ロペスがテナー&ソプラノ・サックス、フルートを持ち替えながら彩りを加えます。5弦ベースでバンドの底辺をしっかり支えるネマ・アントゥヌスも、ここ四半世紀のイヴァンに欠かせない存在と言っていいでしょう。「Velas」の一部に登場した、イヴァンのヴォーカルとのユニゾンも絶妙でした。

抜群のサウンドと、イントロが出た瞬間に待ってましたとばかりに"沸く"ヴィヴィッドな観客を得たイヴァンは、歌うことが楽しくてたまらないという感じです。トロンボーンの音を模したであろうスキャットがスウィング感を醸し出す「Orozimbo e Rosicler」があるかと思えば、「Começar de Novo(The Island)」で場内をうっとりさせ、さらにソングライターとしての彼の才能を一躍世界に知らしめたといってもいいであろうジョージ・ベンソンのアルバム『Give Me the Night』(プロデューサーはクインシー・ジョーンズ)で取り上げられた楽曲「Love Dance」と「Dinorah, Dinorah」を連続で披露。後者には観客が歌うパートも盛り込まれていました。
鳴りやまない拍手のなか、再び登場したイヴァンが取り上げたのは、彼がブラジルの音楽界で広く認められる契機となったといっても過言ではないナンバー「Madalena」。かつてエリス・レジーナやエラ・フィッツジェラルドといった伝説的なシンガーも歌ったナンバーが、今もますます健在な作者による自作自演で聴けるのは大いなる喜びです。途中、ウェザー・リポートの名曲「Birdland」のフレーズを挿入したアレンジも、実に楽しいものでした。

メロディの宝石箱のようなイヴァン・リンスの公演は明日までブルーノート東京で行われ、13日には石川・金沢のKANAZAWA JAZZ STREET 2025、14日には群馬・高崎の高崎芸術劇場 / スタジオシアターでも開催されます。

(原田 2025 9.11)

Photo by Takuo Sato

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【LIVE INFORMATION】

BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA with special guest IVAN LINS
9.9 tue. ブルーノート東京
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IVAN LINS 
"80th Anniversary Tour"
9.10 wed., 9.11 thu., 9.12 fri. ブルーノート東京
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9.13 sat. KANAZAWA JAZZ STREET 2025
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9.14 sun 高崎芸術劇場 / スタジオシアター
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