2025 7.21 mon., 7.22 tue., 7.24 thu., 7.25 fri.
LISA ONO & ROBERTO MENESCAL "The Final Japan Tour of the Bossa Nova Creator" with Theo Bial
artist 小野リサ
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
真夏の宵にじっくりと味わうボサノヴァは文字通り格別です。しかもその演者が小野リサ、ホベルト・メネスカル、テオ・ビアウという豪華ラインナップで、さらに曲間にはメネスカルのボサノヴァ勃興期における貴重なエピソードも(小野リサの通訳で)聞けるのですから、これ以上の贅沢はないといっていいでしょう。昨日から始まった公演のタイトルは、「小野リサ & ホベルト・メネスカル"The Final Japan Tour of the Bossa Nova Creator" with テオ・ビアウ」。日本ブラジル外交関係樹立130周年を記念してのプロジェクトです。このツアーのためにメネスカルはブラジルから36時間かけて日本にやってきたとのことです。
開演前に私はなんとなく「リヴィング・レジェンドは中盤以降に登場するのかな」と考えていたのですが、それは快く裏切られました。林正樹(ピアノ)、クリス・シルヴァースタイン(ベース)、ダニエル・バエデール(ドラムス)が快い演奏を始める中、本日のメインを務める3人が一斉に登場したのです。1980年代にデビューした小野リサを中央に、1950年代から活動するメネスカルが向かって左側、2010年代後半から躍進を始めたテオを向って右側にと、それぞれ異なる世代が位置した並びは、まるでボサノヴァの伝承の図のようです。メインのヴォーカルは小野とテオがアコースティック・ギターを弾きながら担当し、そこにメネスカルのエレクトリック・ギターやハーモニー・ヴォーカルが絡みます。背後のスクリーンにリオデジャネイロの空や丘や海、今は星になってしまったボサノヴァの同志たちと一緒に写っている若き日のメネスカルの画像が映し出されるのも粋な趣向でした。「Samba de Verão」、「Garota de Ipanema」といった大定番も3人が揃ってプレイすると、特別感が満載です。
メネスカルが書いた不朽の楽曲「O barquinho」は小野リサの歌声をフィーチャーして綴られ、テオはメネスカルとも深い縁のあった"ボサノヴァのミューズ"ことナラ・レオンの代表曲のひとつ「Bye Bye, Brasil」などを快唱。その後、再び3人をメインにしたパフォーマンスが始まります。おととし亡くなったカルロス・リラのソングブックからは「Minha Namorada」が取りあげられ、ここからラストに演じられた"ボサノヴァ第1号の楽曲"こと「Chega de Saudade」まで、流れるように演唱が続きます。
メネスカルは言いました。「最初に日本でChega de Saudadeを演奏した頃(彼は今回が32回目の来日だそうです)、一緒にメロディを口ずさむ観客がいた。その後、来日するごとに、ポルトガル語で口ずさむ観客が増えてきた」。この日も小野リサやテオに合わせてポルトガル語で歌う観客の声がいろんなところから聴こえてきました。
なんて爽快な気分なんだ・・・現在、求めうる"決定版"に接することのできるステージであると断言していいでしょう。プレミア級の公演は本日のあと、1日おいて、24日、25日と開催されます。
(原田 2025 7.22)
Photo by Takuo Sato
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【LIVE INFORMATION】
2025 7.21 mon., 7.22 tue., 7.24 thu., 7.25 fri. ブルーノート東京
LISA ONO & ROBERTO MENESCAL
"The Final Japan Tour of the Bossa Nova Creator" with Theo Bial
2025 7.26 sat., 7.27 sun.
Theo Bial plays "Bossa & Samba" BLUE NOTE PLACE
coming soon