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SFJAZZ COLLECTIVE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

作編曲、即興演奏、アンサンブルの三要素を圧倒的なハイレベルで供給するトップ集団、SFジャズ・コレクティヴが約1年半ぶりに再来日中です。メンバーは前回と同じく、2021年からミュージカル・ディレクターを務めるクリス・ポッター(テナー&ソプラノ・サックス、バス・クラリネット)、デヴィッド・サンチェス(テナー・サックス、コンガ)、マイク・ロドリゲス(トランペット、フリューゲルホーン)、ウォーレン・ウルフ(ヴィブラフォン、ナレーション)、エドワード・サイモン(ピアノ)、マット・ブリューワー(ベース)、ケンドリック・スコット(ドラムス)の7人。ジャズ・シーンに欠くことのできないベテラン・中堅がひとつのステージに勢ぞろいするさまは、まさに壮観です。ちなみに"SF"とは、アメリカ西海岸の都市サンフランシスコのこと。同地の非営利のアート・センター「SFジャズ・センター」の肝いりで2004年に発足したのが、SFジャズ・コレクティヴなのです。歴代メンバーはジュシュア・レッドマン、ボビー・ハッチャーソン、ジョー・ロヴァーノ、アンブローズ・アキンムシーレ、ミゲル・セノーン、エリック・ハーランドなど、枚挙にいとまがありません。

常に新たな方向に視線を送るSFジャズ・コレクティヴですから、ファンが「今回は果たして何を聴かせてくれるのだろう?」とわくわくしながら会場に向かうのは当然といえましょう。ファースト・セットとセカンド・セットではまったく演目が重複しないのも、一つでも多く今の自分たちの音楽を届けたいという彼らの姿勢のあらわれだと思います。初日ファースト・セットは、サンフランシスコの「デ・ヤング美術館」(1895年開館)で、ベイ・エリアの芸術家たちの作品を集めて開催されている展示「アバウト・プレイス」にインスピレーションを受けたコンポジション集。メンバーそれぞれが1曲ずつ書きおろしを提供し、どの奏者にもワン・ステージに一度は豊かなソロのスペースが与えられます。MCに関しては、私が見たときはポッター、ウルフ、サンチェスが担当していましたが、これもセットによって異なるのではと思います。良い音楽、創造的な音楽を届けることを第一に、極めて民主的に運営されている印象を改めて受けました。

2本のテナー・サックスの役割分担、スコットがおこなうスティックとマレットの鮮やかな持ち替え、ウルフが4本マレットで生み出す幽玄なハーモニーと2本マレットによるパーカッシヴなプレイの対比などなど、眼福と聴福の両方が同時に味わえるような、極めて色彩感に富むステージが続きます。私はウルフの深みのある語りがフィーチャーされた「FBI Drawings: Legal Ritual」、ツイン・テナーによる無伴奏のパートから一気呵成に合奏に突入する「Listo」に喝采をおくりましたが、ライヴを体験したファンの数だけ、フェイヴァリットな楽曲や忘れられない瞬間が出るような、それほど充実したパフォーマンスであると断言していいでしょう。
その曲を演奏している時に、ステージの左右のモニターに「インスピレーション源となった芸術作品」が映し出されるのも嬉しい趣向です。ファイン・アートとジャズはこうして手に手を取って、我々の意識をさらに拡げてくれるのです。なんと素晴らしいことでしょう! 公演は6日までおこなわれます。

(原田 2025 3.5)

Photo by Tsuneo Koga

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【LIVE INFORMATION】

SFJAZZ COLLECTIVE
2025 3.4 tue., 3.5 wed., 3.6 thu. ブルーノート東京

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SET LIST

2025 3.4 TUE.
1st
1. OPENING
2. THE GOLDEN, THE BEAUTY, AND DOWN THE HILL THE SORROW
3. RITUAL
4. ONE FOR CHICK
5. OCTOBER IN SAN FRANCISCO
6. WITNESS BUT NOT MEASURED
7. HOLIDAY IN SAN FRANCISCO
 
2nd
1. UNKNOW KNOW WITH WHAT IS
2. WALKING IN RAINBOW RAIN
3. GUARDIAN OF THE OCEAN
4. MY FATHER’S FBI FILES
5. THE CHILD OPENS IT’S EYES TO THE EARTH
6. TE QUIERO INTI
7. LISTO
EC. AMPARO (OLHA MARIA)

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