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SIMON PHILLIPS "Protocol V"

artist SIMON PHILLIPS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ジェフ・ベック、ミック・ジャガー、ザ・フー、TOTO、ジューダス・プリースト、マイケル・シェンカー・グループ、上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト-------カリスマ・ドラマー、サイモン・フィリップスの共演ミュージシャンや在籍グループ名をあげていくだけで、とんでもない広がりを持つ"音楽の星座"ができあがります。そのサイモンがここ10年ほど、最も情熱を注いでいるユニットのひとつこそ、ただいま来日中のユニット"プロトコル"です。主にロックの世界で培った様々な経験と子供の頃から親しんでいたジャズ(彼の父親はクラリネット奏者でした)への愛情を融合した音作りは即興性たっぷり、とんでもないほどのメリハリに富んでいます。

4年ぶりの来日となる当公演は、サイモンみずから会心作と語るニュー・アルバム『プロトコルV』の世界をオーディエンスの前で解凍・発展させたもの。共演メンバーは前回の来日時と同じく、オトマロ・ルイース(キーボード)、アーネスト・ティブズ(ベース)というベテラン陣と、ジェイコブ・セスニー(サックス)とアレックス・シル(ギター。彼の祖父はフィル・スペクターと伝説のレーベル"フィレス"を設立したレスター・シルです)という気鋭で構成されています。前回はまだこのラインナップになって間もない時期の公演だったためか、旧メンバーがフロントを務めていた頃のナンバーを中心にしたパフォーマンスでしたが、その後、コロナ禍による活動中断、新曲の誕生、『プロトコルV』制作、ライヴ活動の再開といった出来事を経て、今回、さらに一体感と力強さを増した5人のステージに、日本にいながらにして接することができるようになったわけです。

一度、サイモンの日本語を混ぜたMC(彼がいかに我が国のリスナーを愛し、現在のバンド・メンバーを深く信頼しているかが、ひしひしと伝わるものでした)が挿入された以外、プレイはほぼ連続で繰り広げられました。サックス~ギター~ドラムスのユニゾンが冴える「Jagannath」、アーネストのスラップ奏法とサイモンのスネア~キック技が見事にシンクロする「Isosceles」、アジアの密林に遊ぶような「Nyanga」等、『プロトコル5』からの曲が披露されましたが、個人的な圧巻は、アルバムでは最後に収められていた超大作「The Long Road Home」のライヴ・ヴァージョンでした。ディスクでは11分ほどの演奏時間でしたが、この日は20分を超えていたのではと思います。クラシック音楽やフォーク・ミュージックからの影響も感じさせる、サイモン自身も"プロトコルの新境地"と語るナンバーですが、目の前で味わうこの曲のスケール感、とんでもなくドラマティックな音楽世界には「永遠に終わらないでくれ」と叫びたくなるほどの気持ちよさに溢れていました。サックスをこまめに持ち替えて大胆なブロウを展開するジェイコブを筆頭に、各メンバーの離れ業が次々と飛び出す、息もつかせぬ展開。すべての音が止んでから「オーッ」という驚嘆の声が観客から起こり、そこから怒涛のような拍手へとつながったときの、メンバー全員の実に嬉しそうな顔を忘れることはできません。

絶好調のサイモン・フィリップス"プロトコルV"公演は28日まで続きます!
(原田 2023 3.27)

Photo by Yuka Yamaji

★来日公演は3月28日(火)まで!
SIMON PHILLIPS "Protocol V"
2023 3.26 sun., 3.27 mon., 3.28 tue.
詳細はこちら

SET LIST

2023 3.26 SUN.
1st
1. JAGANNATH
2. ISOSCELES
3. NYANGA
4. UNDEVIGINTI
5. DARK STAR
6. RED ROCKS
7. THE LONG ROAD HOME
EC1. YOU CAN’T BUT YOU CAN
EC2. MANGANESE
 
2nd
1. NIMBUS
2. SOLITAIRE
3. PENTANGLE
4. WHEN THE CAT’S AWAY
5. DARK STAR
6. RED ROCKS
7. THE LONG ROAD HOME
8. JAGANNATH
EC. CELTIC RUN

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