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ROBERT GLASPER TRIO

artist ROBERT GLASPER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


8日間、計16回公演。

かつてないほど雄大なスケールで、ロバート・グラスパー・トリオのブルーノート東京ライブが開催されています。グラスパーが「ブルーノート東京」の年末年始を飾るのは2017/18年以来、5年ぶりのこと。その間に『ファック・ヨ・フィーリングス』、『ブラック・レディオ3』等の力作が発表され、支持層はますます広がるばかりです。

構成メンバーは向かって左からジャスティン・タイソン(ドラムス)、バーニス・トラヴィス(エレクトリック・ベース)、ジャヒ・サンダンス(DJ。サックス奏者オリヴァー・レイクの愛息)、そしてグラスパー。背後のスクリーンには、彼らの熱演がリアルタイムで映し出されます。いちばん右側に位置したグラスパーは、タイソンとしきりにアイコンタクトをかわしながら演奏を進めていきます。自らヴォーカルをとりつつ進めていくステージは去る5月に行なわれた野外フェス「LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022」出演時と同様ですが、個人的には"ピアニストの弾き語り"という感じを不思議なぐらいに受けないのです。歌とピアノが別々の頭脳を通して彼の体内から放出され、大気中で一体化していく、なんとも不思議な現象に立ち会っているといえばいいでしょうか。時おりサンダンスが入れるハモリも、また絶品でした。

トラヴィスは6弦ならではの幅広い音域をフルに使って、地をゆるがすような重低音から、コード(和音)を駆使したソロまでを縦横無尽に展開。タイソンは口径の異なる5つのタムを横並びにして、その上に小型のハイハットを置く(さらにその上に鈴を置くこともあります)独自のセッティングで、波のようなパルスを送り出していました。チューニングキーを用いて細かに音程を変えながら、グラスパーのピアノを煽りに煽っていくあたり、前任ドラマーのデミオン・リードとはまた異なる魅力を発散しています。

グラスパーのライブは、年々、曲と曲の境目が少なくなっているように感じられます。ひとつの壮大な組曲が、開始時間から終了時間にかけて、いくつもの大きなうねりを含みつつ提示されている印象です。30日のステージではレディオヘッドの「Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box」、ハイエイタス・カイヨーテの「Red Room」、『ブラック・レディオ3』にも入っていたティアーズ・フォー・フィアーズの「Everybody Wants to Rule the World」、さらにはビル・エヴァンスやチック・コリアも演奏したスタンダード・ナンバー「Stella by Starlight」等がプレイされましたが、それらを含めて彼らは"2022年12月30日"という組曲を紡いでいたのでは、と思いました。音の群れに吸い込まれていると、あっというまに時間が過ぎていきます。

本日のカウントダウン・ライブ以降、ロバート・グラスパー・トリオは1月2日から7日まで公演を行ないます(3日のセカンド・ショウはインターネットで有料配信予定)。一挙一動が話題を集めるジャズ~アフリカン・アメリカン・ミュージックの台風の目、グラスパーの最新ステージを、ぜひ目と耳と魂に焼き付けてください。
(原田 2022 12.31)


Photo by Makoto Ebi

☆ROBERT GLASPER TRIO
2022 12.30 fri., 12.31 sat.
2023 1.2 mon., 1.3 tue., 1.4 wed., 1.5 thu., 1.6 fri., 1.7 sat.
※1.3 tue. 2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定
※アーカイブ配信視聴期間:1.4 wed. 11:59pmまで

[配信チケット販売期間]
ぴあ:1.2 mon. 10:00pmまで
イープラス/ZAIKO:1.3 tue. 9:00pmまで
詳細はこちら

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