原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ここ最近雨模様が続いていますが、ブルーノート東京の中には爽やかな風が吹いています。夏の定番といっていいでしょう、小野リサのライヴが昨日から始まりました。毎年、趣向に富んだプログラムで楽しませてくれる彼女ですが、今回はアンディ・サマーズ（ザ・ポリス）や野宮真貴とのコラボでも知られるフェルナンダ・タカイをフィーチャリング・ゲストに迎えた内容です。

まずは小野リサ単独のステージで「Estate」、「'S　Wonderful」、「Wave」。いずれもジョアン・ジルベルト（7月6日逝去）もレコーディングしたナンバーで、この3曲はまさしく彼へのトリビュートとして披露されました。つづいてフェルナンダが登場し、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品に取り組んだ最新作『O Tom Da Takai』（ホベルト・メネスカルとマルコス・ヴァーリを迎えて制作）からの楽曲を、ツイン・ヴォーカルで歌います。息の合った掛け合い、豊かなハーモニーが、「Fotografia」や「Outra Vez」といった名曲を新鮮によみがえらせました。フェルナンダはさらに、単独で4曲を披露。来日は今回が5度目だそうですが、ブルーノート東京への出演は初めてとのこと。これから彼女がやってくる機会がさらに増えるのでは、そう確信させる充実のパフォーマンスでした。

ラストでは再び小野リサとフェルナンダがポルトガル語、英語、日本語の各ナンバーでリラックスしたデュオを演じ、近年の人気レパートリー「Canção da Pretinha」で大団円。緑か青のシャツ、麦わら帽子で統一されたバンド・メンバーのコスチュームも清涼感に溢れていました。公演は16日まで行なわれます。

(原田 2019 7.14）

Photo by Takuo Sato