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THE COREA / GADD BAND

artist CHICK COREA , STEVE GADD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


3月に"チック・コリア・エレクトリック・バンド"で出演し、満場を沸かせたことも記憶に新しいチック・コリアが、新プロジェクトで来日しています。ユニット名は"ザ・コリア/ガッド・バンド"。その名の通り、1970年代から何度も共演を重ねてきたスティーヴ・ガッド(ドラムス)との双頭体制です。

客席から向かって左側にコリア、右側にガッドが位置します。その間にはスティーヴ・ウィルソン(アルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルート、アルト・フルート)、カルリートス・デル・プエルト(エレクトリック&アコースティック・ベース)、リオーネル・ルエケ(ギター、ヴォイス)、ルイシ―ト・キンテーロ(パーカッション)が挟まるように並びます。カルリートスはキューバ、リオーネルは西アフリカのベニン、ルイシートはベネズエラ出身と、国際色豊かなのも、このバンドのポイントです。

1曲目が始まって数秒もたたないうちに、とてつもなく大きい歓声が起こりました。タイトルは「Night Streets」、'76年に録音されたコリアとガッドの共演作品『My Spanish Heart』に収められていたナンバーです。コリアの得意技といえる哀愁を帯びた曲調、フェンダー・ローズの情熱的なプレイと、ガッドのたたみかけるようなドラム・ワークが絶妙に絡みます。

続いては制作中というニュー・アルバムから「Serenity」。タイトル通り静謐な曲調で、リオーネルのリチャード・ボナばりのヴォイスもフィーチャーされました。次に登場したファンキーな「Chick's Chums」も、コリアのMCによると次回作に収められる予定とのことです。作曲はギタリストのジョン・マクラフリン。コリアがこの曲を彼にプレゼントされたのは5年ほど前ですが、今こそレコーディングの機会だと思ったそうです。カルリートスは、ジャコ・パストリアスばりに右手の手のひらを強く弦に押し当ててネックの右から左側に(低音側に)グリッサンドするテクニックも使いながら、猛烈にソリストたちも盛り上げました。

双頭バンドということで、ガッドにもMCの役割が与えられます。彼の曲紹介で始まったのは、これも新作に入る予定という「A Spanish Song」。コリアならではのスパニッシュ路線ですが、大定番「Spain」とはまた異なるチャーミングなメロディが印象的です。そしてラストは驚きの「Return to Forever」。1972年に吹き込まれた歴史的名盤のタイトル・トラックが、まさか今、ここでリメイクされるとは思ってもみませんでした。初演にはブラジル生まれのアイアート・モレイラ(パーカッション)とフローラ・プリム(ヴォーカル)夫妻が参加していましたが、目の前で繰り広げられる2017年ヴァージョンは、よりラテン色が濃厚です。72年版に親しんでいればいるほど、今回の"新装開店"ぶりに驚かされるのではないでしょうか。公演は31日まで続きます。
(原田 2017 8.29)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2017 8.28 MON.
1st
1. NIGHT STREETS
2. SERENITY
3. CHICK’S CHUMS
4. A SPANISH SONG
5. RETURN TO FOREVER
 
2nd
1. HUMPTY DUMPTY
2. CHINESE BUTTERFLY
3. THE ONE STEP
4. CHICK’S CHUMS
EC. SPAIN

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