原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

父クリント・イーストウッドの監督映画『ハドソン川の奇跡』が、大ヒット上映中。さらに10月6日には以前所属したキャンディド・レーベル時代のコンピレーションCD『Candid Kyle』（自らの選曲）をリリース。絶好のタイミングで、カイル・イーストウッドが来日しました。人気テレビ番組「スッキリ！！」への出演や、「cafe104.5」でのミニ・ライヴをご覧になった方も多いことでしょう。そして昨日から、フル・メンバーによるパフォーマンスが「ブルーノート東京」で行なわれています。

プログラムは、その『Candid Kyle』、および（レコーディングとしては）最新作にあたる『Time Pieces』からのナンバーで構成されました。別の言葉でいえば、ベスト・オブ・カイルというべき選曲であり、ファンキーな「Prosecco Smile」、1930年代に作られたナンバー「Big Noise from Winnetka」（キャンディド盤では父クリントの口笛がフィーチャーされていますが、ライヴではもちろんカイルが口笛を吹きます）とアップ・テンポ曲「Bullet Train」のメドレー、父親が監督した映画『硫黄島からの手紙』の主題曲「Iwo Jima」、ラテン・テイストが快い「Caipiriniha」、今は亡きピアニスト/作曲家ホレス・シルヴァーのカヴァー「Blowin' the Blues Away」などなど、以前からのカイルのファンなら曲名を見るだけで音が浮かんでくるのではないでしょうか。そしてテレビで見たことなどがきっかけで初めてカイルの音楽に接したファンは、目の前で繰り広げられる多彩なサウンド作り、卓越したベース・プレイに大きく感銘を受けたのではと思います。ジャズ入門にも絶好のカイル・イーストウッド公演、本日も幅広い層のファンを魅了するに違いありません。
(原田 2016 10.6）

Photo by Takuo Sato