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STEPS AHEAD meets SOUL BOP MIKE MAINIERI, RANDY BRECKER, BILL EVANS featuring STEVE SMITH & TOM KENNEDY

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


マイク・マイニエリ率いるステップス・アヘッドと、ランディ・ブレッカーとビル・エヴァンスを中心とするソウルバップ・バンド。コンテンポラリー・ジャズを代表する2大ユニットが合体し、"ステップス・アヘッド・ミーツ・ソウルバップ"という名で公演を繰り広げています。

オープニングは「Tee Bag」。まだ"アヘッド"がつく前、ステップスだった頃のファースト・アルバム『スモーキン・イン・ザ・ピット』('80年。海外版CDにクレジットされている'79年は誤り)からのナンバーです。マイニエリにとってはおなじみの曲ですが、ランディもエヴァンスもまるで何十年もこのレパートリーに親しんできたように伸び伸びしたアドリブを繰り広げます。

MCはマイニエリではなくエヴァンスが担当しました。'80年代初頭、マイルス・デイヴィスの通称"カムバック・バンド"にマイク・スターンやマーカス・ミラーと共に抜擢され、大いに脚光を浴びたサックス奏者ですが、それをご記憶の方は相当のベテラン・ファンでしょう。続いては、これまた人気の高いステップス・アヘッドの曲「Pools」です。ここではトム・ケネディの雄弁なアコースティック・ベースが大きくフィーチャーされました。昨年はデイヴ・ウェックルと小曽根真の双頭バンドで来日して超絶技巧を聴かせてくれましたが、とにかくここまでアコースティック・ベースをバリバリ弾きこなす現役奏者はケネディとブライアン・ブロンバーグが双璧だと思います。

ここで初めてソウルバップ側のメンバーが持ち寄ったレパートリーが登場します。曲名は「Inside Out」、ランディの名声を確立した伝説のユニット"ブレッカー・ブラザーズ・バンド"の代表曲でもあります。ランディは70歳とは思えないほど艶のあるトーンで高音を難なく吹きこなし、スティーヴ・スミスはツイン・ペダル、2つのスネア、3つのフロア・タムを用いたドラム・セットでソリストを煽りに煽ります。"ジャズ・ドラムの父"バディ・リッチに通じる明るい音色、時おり左手でスティックをくるくると廻しながらのエンタテインメント性たっぷりのプレイに、釘付けにならずにはいられません。スティーヴはロック・バンド"ジャーニー"の一員としてもよく知られていますが、「ロックンロールもジャズも完ぺきにこなす、本当にワン&オンリーの存在なんだ」というビルのMCは、まさしくその通りです。

華やかなナンバーが続いた後、バラード「Soul Eyes」がしっとりと演奏されました。作曲はピアニストの故マル・ウォルドロン、「ブルーノート東京」ではつい先日キャンディス・スプリングスが、この春にはブルーイ率いる"シトラス・サン"がとりあげました。この曲、ミュージシャン間でちょっとしたブームを呼んでいるのでしょうか? しかしマイニエリは前述『スモーキン・イン・ザ・ピット』で演奏しているので、この曲は彼にとってほぼ40年来のレパートリーということになります。4本のマレットを用いたマイニエリの幻想的なヴィブラフォン・ソロ、抑制の利いたランディのトランペットが見事でした。そしてラストは、"ブレッカー・ブラザーズ・バンド"が'70年代に放った不滅の定番「Some Skunk Funk」。この曲をプレイするマイニエリの姿は本当に貴重、ぼくは思わず目を疑いました。このオールスター・コラボは10月1日まで続きます。
(原田 2016 9.30)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2016 9.29 THU.
1st & 2nd
1. TEA BAG
2. POOLS
3. INSIDE OUT
4. BULLET TRRAIN
5. SOUL BOP
6. SOUL EYES
7. YOUNG  & FINE
EC. SOME SKUNK FUNK

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