原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ボブ・ジェームス、チャック・ローブ、ネイザン・イースト、ハーヴィー・メイソン。フュージョン～スムース・ジャズを支える4人の紳士"フォープレイ"が、この9月も素敵なステージを繰り広げています。

2014年はフォープレイにとっても、各自のソロ活動にとっても非常に充実した年である、といっていいでしょう。ネイザンが待望の初ソロ・アルバム『ネイザン・イースト』をリリースし、ハーヴィーも久しぶりのアルバム『カメレオン』を発表。チャックやボブも精力的な単独活動をおこなっています。しかし一度4人が揃い、演奏を始めると、フォープレイ以外の何物でもないサウンドが立ち上ります。まさにユニットならではのマジックです。

結成当初、ボブは雑誌のインタビューでこう言っていました。「フォープレイは、フュージョン版モダン・ジャズ・カルテット（MJQ）を目指している。室内楽的な、落ち着いたサウンドを表現したいんだ。願わくば、MJQのように長く続けたいね」。

MJQは1952年に発足し、74年に解散しました（のちに再結成）。フォープレイは1991年にスタートし、現在もなお旅の途中にあります。結成から23年、MJQの記録を抜きました。

プログラムは、グラミー賞にノミネートされた「December Dream」から始まりました。時期的にはちょっと早めの選曲かもしれませんが、ボブのMIDIピアノ、ネイザンとチャックのスキャットが観客を一気にフォープレイの世界に引き込みます。現在のフォープレイの魅力のひとつに、「歌を歌えるメンバーがふたりいる」ことが挙げられます。これはチャック加入以前のグループにはなかったことです。ネイザンとチャックが歌う（といっても、いわゆるワードレス・ヴォーカルですが）ことで、バンドのサウンドはさらに幅広くなり、奥行きを増したことは間違いないでしょう。ネイザンはまた、エレクトリック・アップライト・ベースによるプレイも聴かせてくれました。

公演は8日まで続きます。もちろんリー・リトナー、ラリー・カールトン在籍時代のナンバーもたっぷり演奏してくれます。黄金のフォープレイ・サウンドを、どうぞお楽しみに！
(原田 2014 9.6）