2010.10.09
SADAO WATANABE presents SADAO plays JAZZ SAMBA with ROMERO LUBAMBO
artist SADAO WATANABE
公演初日リポート:SADAO WATANABE presents
SADAO plays JAZZ SAMBA with ROMERO LUBAMBO
昨年は若手アメリカ人ミュージシャンと共に「ブルーノート東京」に登場、4ビート・ジャズを堪能させてくれた渡辺貞夫。今年はガラリと装いを変え、ブラジル出身の仲間達とのジャズ・サンバ・セッションが行なわれました。メンバーはいずれもニューヨーク在住の名手たち。ブラジリアン・テイストに、ニューヨークの風味がブレンドされているところもまた、今回のステージの聴きどころといえましょう。
ギターのホメロ・ルバンボ、ベースのニルソン・マッタ、ドラムスのドゥドゥカ・デ・フォンセカは人気ユニット“トリオ・ダ・パズ”のメンバーでもあります。ピアノのエリオ・アルヴェスは、この夏に行なわれたジョイス&セルソ・フォンセカの公演でもクラブに登場しましたね。パーカッションのカフェは素晴らしいテクニシャンであると同時に、ユーモアたっぷりの存在。“ひとり打楽器アンサンブル”と呼びたくなるような多彩な響きで、場内を大いに沸かせておりました。
そして御大、渡辺貞夫。オープニングの「E NADA MAIS」から、あの人懐っこいトーンとフレーズで、ファンをにっこりさせてくれます。左肩をちょっと下げながら、足でリズムをとりながら、演奏する楽しさを全身から発散するように、“ナベサダ節”を届けてくれました。他のプレイヤーのソロも満喫することができましたが、渡辺貞夫はそうしたときも、マイクから離れたところでオブリガート(合いの手)を入れたり、バンドに細かな指示を送る等、とことんアンサンブルに気を使っています。とにかくいいサウンドを聴き手に届けたい、ファンに喜んでほしい、という声がきこえてくるような、実に丁寧なパフォーマンスでした。
ホメロとのデュオで演奏された「CARINHOSO」(ぼくはブラジルの伝説的ミュージシャン、ピシンギーニャの演奏で覚えました)も見事でしたし、亡くなった盟友チャーリー・マリアーノに捧げた自作のバラード「MISS YOU WHEN I THINK OF YOU」では、“抑制の美”というべき世界を味わわせてくれました。
いわゆる超有名曲は「CHEGA DE SAUDADE」(思いあふれて)のみ、といっていいのではないかと思いますが、しかし本当に渡辺貞夫は“いい曲探し”の達人です。次々と現れる“それほど知られていないかもしれないけど、一度きいたら忘れられない佳曲”に接して、「こんな素敵なメロディがあったのか」「なんていい旋律なんだ」と、クラブを埋め尽くしたオーディエンスの誰もが思ったに違いありません。
(原田 2010/10/08)
● 10.8fri.-10.11mon.
SADAO WATANABE presents
SADAO plays JAZZ SAMBA with ROMERO LUBAMBO
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