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[インタビュー|OFFSTAGE]ロバート・グラスパーにインタビュー

[インタビュー|OFFSTAGE]ロバート・グラスパーにインタビュー

グラミー受賞後、客席からの期待が大きくなった。

 ブルーノート・ジャズフェスのメインステージで大歓声を浴び、ブルーノート東京全公演をSOLD OUTにしたロバート・グラスパー。
次はマイルス・デイヴィスの伝記映画のサントラに期待が高まる。

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 9月にアコースティックのトリオ編成でブルーノート・ジャズ・フェスティバルとブルーノート東京(2日間4公演)で演奏したロバート・グラスパー。くっきりとイエローの、ニルヴァーナのニコちゃんマークのTシャツでステージに上がった。

 「ニルヴァーナ、大好きなんだよ」
29日の1stショウ後の楽屋で、自分が着ているTシャツをつまんで誇示して笑った。

 日本公演の1曲目は「サイン・オブ・タイムス」。プリンスのカバーだ。この曲は入っていないが、グラスパーのトリオは今年、カバー曲を録音した『カヴァード』というアルバムをリリースしている。

 「『ブラック・レディオ』でグラミー賞最優秀R&Bアルバム賞をもらってからは、リスナーやオーディエンスが増えてね。ストレート・アヘッドなジャズ以外、つまり、R&Bやロックのファンも聴いてくれるようになった。だから、ジョニ・ミッチェルからレディオ・ヘッドまで、広い選択肢の中から選曲してカバーアルバムをつくったんだ。今回の日本公演もプリンスをはじめ『ブラック・レディオ』以前のトリオでは考えられないセットリストになった」

 カバーを演奏する時、選曲する際には、何が基準になるのだろう。ロバートが好む音楽にはどんな共通点があるのだろうか。

 「選曲に特に法則はないよ。メロディ、コード、歌詞、オリジナルのアーティストの個性......。それらの何か1つに魅力を感じれば十分だ。僕の好みよりも、むしろ、リスナーが喜びそうな曲を選ぶようにしている。自分がやりたい音楽、それはオーディエンスが求める音楽だよ。グラミーを受賞してから、次はどんな音楽をやるんだろう――というリスナーやオーディエンスの期待をひしひしと感じる。僕はその期待にふさわしい音楽を提供しなくてはいけない。そういう責任感は以前よりも強くなったかな」

 そんなロバート・グラスパーの次の作品は、マイルス・デイヴィスがテーマになる予定。ドン・チードルが制作、監督、脚本、主演するマイルスの伝記映画『Miles Ahead』の音楽を担当しているのだ。この映画は、マイルスが一時引退をした1979年にフォーカスした作品になっている。

 「マイルスの最大の魅力はリーダーシップ。多くの偉大な音楽家たち、そして音楽そのものを牽引してきた。だからこそ、言うまでもないことだけど、1人のトランペット奏者に収まらず、この世を去ってもジャズの巨人であり、音楽の巨人であり続けている。そしてもう1つ、彼が素晴らしいのは、キャリアを積みながら常に変化を遂げてきたことだ。高い評価を得てもけっしてそこにとどまらずに、新しい音楽にトライし、しかもリスナーの共感を得てきた」

 最後に、ロバートがリスナーとして好きなマイルスのアルバムを上げてもらった。

 「『カインド・オブ・ブルー』『マイルス・スマイルズ』『ネフェルティティ』。理由は......うまく説明できない。3枚ともマイルスらしいということだよ」

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ROBERT GLASPER TRIO

ROBERT GLASPER(ロバート・グラスパー)
1978年、米テキサス州ヒューストン生まれ。幼い頃から教会でピアノを弾き、ゴスペル、ジャズ、ブルースに親しむ。2012年、ロバート・グラスパー・エクスペリメント名義で『ブラック・レディオ』を発表。翌年、第55回グラミー賞ベストR&Bアルバムを受賞。今年6月には6年ぶりにトリオを復活させ『カヴァード』を発表。

photography = Hiroyuki Matsukage
interview & text = Kazunori Kodate

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