パティ・オースティンが捧げる、エラ・フィッツジェラルドへのオマージュ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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パティ・オースティンが捧げる、エラ・フィッツジェラルドへのオマージュ

パティ・オースティンが捧げる、エラ・フィッツジェラルドへのオマージュ

世界各国で話題を集めたエラの
生誕100年を記念するライヴを日本初披露

『あまねく愛で』などのヒット曲で知られる、パティ・オースティンがエラ・フィッツジェラルドに捧げるオマージュ。長年かけて磨き上げてきた、声という楽器で自由に奏でるスキャットの醍醐味を67歳のベテランがたっぷり堪能させてくれるだろう。また、クリスマスならではの甘くロマンティックなバラードにも期待したい。

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text = Noriko Hattori



 2017年は伝説のジャズ・シンガー、エラ・フィッツジェラルドの生誕100周年にあたる。その記念すべき年にパティ・オースティンは、4歳でデビューした思い出の劇場、NYアポロ・シアターをはじめ、国内外でエラに捧げるトリビュート・コンサートを行ってきた。その最後を飾るステージをブルーノート東京で4日間にわたって開く。

 エラは、女性ジャズ・ヴォーカリストの第一人者として数多くのスタジオ、またはライヴ・レコーディングに精力的に取り組み、スタンダード・ナンバーをはじめ、数々の曲で名唱を生んできた。そのレパートリーは、膨大な数になる。

 パティは、2001年に初めてエラが愛したそれらの歌をテーマに、アルバム『for Ella/エラ・フィッツジェラルドに捧ぐ』をレコーディングした。演じるようにたおやかにバラード『バット・ノット・フォー・ミー』を歌い、エラの初めてのヒット曲『ア・ティスケット・ア・タスケット』を軽快に歌ったアルバムは、翌年日本でもリリースされた。

 それまでのパティは、1982年に全米1位になったジェイムス・イングラムとのデュエット曲『あまねく愛で』をはじめとするヒット曲や、クインシー・ジョーンズやジョージ・ベンソンのアルバムでフィーチャーされたりすることで、R&B、フュージョン界で活躍するシンガーという印象を人々に与えていたが、この作品で、ジャズ・シンガーとしての実力を大いにアピールすることになった。その後、ガーシュインの名曲を歌うアルバム『Avant Gershwin/ガーシュイン・ソングブック』を2007年に発表している。

 パティがリスペクトするエラの歌唱力は、安定性や技術力などで高く評価されたが、魅力のひとつは、自由奔放なスキャットの醍醐味だ。歌詞という言葉から解放された時、声が躍るように発せられて、楽器演奏の海のなかを歌が自由に泳ぎまわる痛快さ。人間に与えられた最高の楽器が"ヴォイス"であり、その声がインプロビゼーションを駆使して、制限なく、時には楽器演奏までやってのける大迫力、そして、上質の緊迫感が聴き手をドキドキ、ワクワクさせてきた。

 もちろんパティも、アルバムでそんなスキャットを大胆に展開させている。それをライヴで目撃し、聴けるのだ。会場の興奮が今から想像ができる。加えて、若い時は、流行のファッションとメイクで決めていたけれど、67歳になった現在は、シルバーグレイの髪をそのままにしているし、体重に悩んだ時期を乗り越えて健康的に痩せた充実感からか、笑顔がとてもナチュラルで美しい。

 そんなパティとの再会がエラ・フィッツジェラルドをテーマにしたステージなんてすごく楽しみだ。しかもクリスマス・シーズンの来日。ロマンティックなバラードもいっぱい歌ってくれるだろう。一流のエンターテイメントで、豊潤な時間を過ごせる幸福感をぜひ体験していただきたい。

服部のり子(はっとり・のりこ)
音楽ライター。東京生まれ。レコード会社勤務を経て、フリーのライターになる。現在毎日新聞や集英社・マリソルなどで執筆する一方で、JALの機内放送やラジオ番組で選曲、構成を担当している。

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