イスラエルジャズに精通するジャーナリストたちが語る、アヴィシャイ・コーエンの魅力 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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イスラエルジャズに精通するジャーナリストたちが語る、アヴィシャイ・コーエンの魅力

イスラエルジャズに精通するジャーナリストたちが語る、アヴィシャイ・コーエンの魅力

天才ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンの魅力を
イスラエルジャズに様々なかたちで関わり
精通するジャーナリストたちが語る

まだまだ馴染みのない方も多いイスラエルジャズだが、ニューヨークを拠点に活躍するアーティストも多く、また自国のエッセンスも取り入れたその音楽性が世界中のファンを魅了し、ジャズの「今」を語るには欠かせない存在と言われている。その代表的存在と言えるアヴィシャイ・コーエンの来日公演に向けて、大使館や音楽ジャーナリスト等、シーンに精通した方々からメッセージが到着。アヴィシャイの魅力とショウの見どころを語っていただいた。

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ニール・ターク(イスラエル大使館 科学・文化担当)

〜伝説のベース奏者アヴィシャイ・コーエンは、現在最も成功したイスラエル出身のジャズマンであり、多くのイスラエルジャズメンにとって一つの手本のような存在といえるだろう〜
他のイスラエルジャズメンと同様に、たとえ若くしてNYに移り住もうが、幼少時に生まれ育った多様な文化背景の精神のもとに、思考し、創造することを止めることはない。アヴィシャイのジャズは色々な意味で独特だ。ほとんど数学的ともいえる硬質な構造を感じさせるかと思えば、バッハやラディーノ、スペイン調、ロシア調、そしてもちろんイスラエルを含む中東調など、様々な要素にインスパイアされた色彩豊かな音色をくりだしてくる。素材を変えることはない。ただ調合や分量を変えて同じ鍋に入れるだけだ。ハズレなく、傑作を出し続けるのも彼の才能のひとつ。美味いオムレツが、過去の無数のオムレツの旨味を吸った分厚いフライパンによって作られるように。彼はまた後輩たちの育成にも尽力している。近年、若い世代に活躍の場を積極的に提供し、シャイ・マエストロや、オムリ・モール、アミール・ブレスラー等がその後自らのキャリアを築いていった。アヴィシャイが最近プロデュースした『All Original』というアルバムは、まさにそういった若い才能とイスラエルジャズシーンの最新トレンドを紹介した一枚だ。いずれにせよ、昨今のブルーノートとのコラボレーションをとても誇りに思い、今後さらにイスラエルと日本のジャズ交流が盛り上がることを期待している。

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サラーム海上(音楽評論家/DJ/中東料理研究家)

昨年、初来日したアヴィシャイ・コーエン・トリオによるユダヤ音楽の旋律を聞いた瞬間、エルサレム外壁のベージュ色が、テルアビブのバウハウス建築の白が、ヤッフォの地中海の青が、死海の濃泥色が、嘆きの壁で祈る超正統派の黒衣装が、シューク(市場)に並ぶ大きな野菜のカラフルな緑黄赤色が、まぶたの裏側に浮かんだ。二度目の来日公演、今度はどんな色、風景、匂いが浮かび上がってくるだろうか?

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柳樂光隆(ジャズ評論家)

イスラエルのフォークミュージックのメロディーを取り込んだアヴィシャイ・コーエンのサウンドは、教会音楽やクラシックなどのヨーロッパ大陸音楽のルーツを介して、ブラジルのミナス地方からアルゼンチンのフォルクローレ、アルメニア古謡や、北欧ジャズとも繋がる透明感や浮遊感をたたえている。彼の音楽の最大の魅力は、いち地域の音楽の枠組みを軽々と超えてしまう普遍的な響きだと僕は思っている。アヴィシャイの太い腕から繰り出される他を圧倒する力強いベースや新星ニタイ・ハーシュコヴィッツの類稀なるテクニックと表現力に耳を奪われるのは間違いないが、それと併せて、アヴィシャイのスケールの大きな音楽性にも耳を傾けてもらいたい。

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樋口義彦 (イスラエル・ジャズ・ライター)

〜最高峰の技術と音楽への深い情愛が融合した傑作のライブ〜
世界中で多くのファンを虜にしてきたライブがついに東京に上陸する。一度聞いたら耳から離れない独特のリズム、思わず体が揺れてしまうグルーブ、そして世界最高峰のテクニックと音楽への深い情愛が融合した圧巻のソロ。 「"もう一つの現実"の大切さを気づかせてくれるのが音楽」というアビシャイがライブにかける情熱は計り知れない。曲が進むにつれてステージと観客が一体となり、やがて会場は高揚感に満たされる。満員の2000人で埋まったパリのオリンピアでは、終演後もスタンディング・オベーションが10分以上鳴り止まず、楽屋で食事をとっていたアビシャイがその拍手を聞きつけて再びステージに戻った、というエピソードも。 3人の信頼感が増し、昨年以上にトリオのパフォーマンスにも磨きがかかっている。ステージを華やかに彩る繊細で時に力強いピアノ、複雑なビートを全身で刻むドラム、そしてアビシャイの息のあった「音の対話」には思わずため息がでるほど。 しばらくは余韻に浸ること間違いないアビシャイ・コーエン・トリオのライブ、是非!


★LIVE INFORMATION

コットンクラブ
2015 5.12 tue. - 5.13 wed.
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/avishai-cohen/

ブルーノート東京
2015 5.14 thu. - 5.15 fri.
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/avishai-cohen/

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