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[インタビュー|MY INSTRUMENT]ロブ・ターナー

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ロブ・ターナー

進化を続けるツアー対応キット

約2年ぶりとなるゴーゴー・ペンギンのブルーノート東京公演。ロブ・ターナーのドラムキットはさらなる進化を遂げていた。自由な感性で組み上げられた、こだわりの楽器に迫る。

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 2018年2月、新作「ア・ハムドラム・スター」を携えて精緻なアンサンブルを響かせたゴーゴー・ペンギン。サウンドの中核を担うロブのセッティングは一見シンプルだが、ユニークな点も多い。

 2016年公演ではCanopusを使用したが、今回のツアーはYAMAHAをセレクト。標準サイズを軸に、フロアタムを16インチにサイズアップし、12インチのPeter Erskineモデルのスネアを加えた。

「PearlとYAMAHAが好きで、PearlのMaster worksのキットも持っているよ。前はYAMAHAのDave Wacklモデルのスネアをよく使ったけど、今はツアーを引退させて、レコーディング専用にしている。色々試すけどアレが一番だね」

 全て私物のシンバルはツアー向けに航空機の積荷重量制限も加味したセットアップ。12インチ程度のクローズドハッツは「キッズ向けセットに付くような安物」と語るが、叩き込まれ歪んでおり良い味が出ている。ハイハットは英国の名工マット・ノーラン作のオーダーメイドで、その音は新作の収録曲「トランジェント・ステート」の冒頭で堪能できる。

「ライドシンバルのセッティング方法は、ドラマーのアダム・ベッツからヒントをもらったんだ。まだ試行錯誤の最中だよ」

18インチのバスドラムや、薄手のターキッシュシンバルから、モダンジャズの息遣いが感じられるが、チューニングは総じて低めなのが特徴。既製品だけでなく、フィルムとフェルトを貼り合わせた手製のミュート類を駆使してサウンドを作り込んでいる。

「ゴーゴー・ペンギンにおけるドラムでは、ピアノの音域を邪魔しにくい、低域を生かしたサウンドが重要なんだ」

 オーセンティックなスタイルを踏襲しつつ、独自の自由な感性を反映させたドラムキット。伝統と革新を体現するロブのサウンドは、ゴーゴー・ペンギンをさらに進化させるだろう。

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近年流行の兆しを見せている、ツインハイハットのスタイル。左手側に設置したフロアタムは、2つ目のバスドラムとしても活用。
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オリジナルのダンピングシステムにより、ペダル操作でライドシンバルの音価をコントロールしている。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Takuya Yamamoto
interpretation = Keiko Yuyama
cooperation = Rittor Music

Rob Turner(ロブ・ターナー)
イングランド出身。王立北部音楽大学(RNCM)を卒業後、2009年ゴーゴー・ペンギンを結成。インディーレーベルからリリースされたアルバム、「v2.0」がマーキュリー賞にノミネートされ、2015年に名門Blue Note Recordsと契約。

山本拓矢(やまもと・たくや)
1987年生まれ、ドラマー/ライター。ジャズと電子音楽の薫陶を受け、ドラム演奏に加えて音響プログラミングもこなす。自身のグループbohemianvoodooではブルーノート東京にも出演。

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