ウィル・リーの、匠が愛するオリジナル・ベース | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ウィル・リーの、匠が愛するオリジナル・ベース

ウィル・リーの、匠が愛するオリジナル・ベース

数々の名作・名演に参加する一流ベーシスト、ウィル・リー。
R&Bやファンクを敬愛し"黒人よりも黒いグルーヴ"と評される彼が
"理想の楽器だ"と語る愛用ベースの魅力に迫る。

 1970年代から数々のライブ/レコーディングに参加してきたウィル・リーが、8月初旬に矢野顕子トリオのメンバーとして来日。緩急を使い分けたフレージング、太く温かみのあるサウンド、心地よいグルーヴなど、まさに"匠の技"とも言うべきプレイで歌を支え、会場を大いに盛り上げた。

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 そんな彼が近年愛用しているのは、アメリカのサドウスキー社と製作したウィル・リー・シグネチャー・モデルだ。サドウスキーはニューヨークに居を構えるギター/ベース工房で、1979年の創業とやや後発ながら、高品質な楽器作りが評判を呼び、今やギブソン、フェンダーといった老舗と肩を並べるまでにいたったトップ・ブランドである。

「ミッド・レンジ(中音域)の音ヌケが凄く良くて、気に入っているんだ」とウィルが語るシグネチャー・モデルは、外観こそ"ジャズ・ベース"と呼ばれる一般的なボディ形状だが、細部に渡ってオリジナルな仕様が施されている。彼曰く「ネックの幅をやや細くしているのと、ボディをやや小ぶりなものしている。演奏性にこだわった凄く贅沢な楽器だよ」とのこと。

 その完成度は、一流のセッションマンであるウィルに「125本くらいベースを持ってるけど、これさえあれば残りの124本はいらないかもね(笑)」とまで言わせるほどで、現在はあらゆる現場をほぼこの1本でこなしているそうだ。

 最後に彼は、自身の音楽と楽器の関係についてこう語った。「ファンク、ロック、ジャズ、カントリーなど、僕は色々な音楽が好きだし、それらを弾く機会もとても多い。そして演奏するときは、それぞれの音楽に合ったサウンドを出すっていうことを常に大切にしているんだ。だから多彩なサウンドが出せる楽器が理想的なんだよ。それがまさにこれさ」

instrument
4弦にはDチューナー(右端の金属レバー)が搭載され、演奏中でも簡単にチューニングを変えることができる。
instrument
ボリューム、トーンなどを調節するコントロール類。中央のミニ・スイッチで中音域をブーストすることが可能。

photography =Takashi Yashima
interview & text = Kenichiro Kawahara
cooperation = Bass magazine

Will Lee(ウィル・リー)
初期ブレッカーブラザーズ、24丁目バンドといった伝説的グループのメンバーや、ソロ活動、デヴィッド・サンボーン、ディアンジェロらのサポートなど、様々なフィールドで活躍するトップ・プレイヤー。
河原賢一郎(かわはら・けんいちろう)
1982年生まれ。神奈川県出身。リットーミュージック刊「サックス&ブラス・マガジン」「ベース・マガジン」をはじめ、楽譜集、楽器教本、WEBなど、音楽系メディアを中心に編集・執筆活動中。

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