アジムス & マルコス・ヴァーリ、15年ぶりのマジック | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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アジムス & マルコス・ヴァーリ、15年ぶりのマジック

アジムス & マルコス・ヴァーリ、15年ぶりのマジック

東京では15年ぶり、奇跡の共演

 ブラジリアン・フュージョンの至宝とブラジル音楽界屈指のメロディ・メイカーが、2003年以来となる東京でのジョイント公演を実現!ともに充実した新作を発表し、豊かなキャリアを誇りながらもヒップであり続けるマエストロたちが再び邂逅する。

text = Hidesumi Yoshimoto

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 流麗なエレクトリック・ピアノやシンセサイザーを多用したブラジリアン・フュージョンの代名詞的グループであるアジムスと、ボサノヴァ以降のブラジル音楽における最高のメロディ・メイカーであり、時代ごとに音楽的な変遷を遂げながら数多くの傑作を残してきたマルコス・ヴァーリ。ともにブラジル音楽の歴史に名を刻む重鎮でありながら、近年にも衰えを知らない新作をコンスタントに発表し続ける両雄が、東京では15年ぶりとなるジョイント公演を実現させる。過去に深いつながりを持つ盟友であり、単なる大物同士のカップリング公演で終わることのないケミストリーを期待させる組み合わせであることは、70年代の彼らの諸作品をよく知るファンには自明のことだろう。

 日本では特にNHK-FMの夜の名番組「クロスオーバーイレブン」のテーマ曲に起用された「Fly Over The Horizon」で親しまれてきたアジムスは、リアルタイムのフュージョン世代からも後追いのレア・グルーヴ世代からも愛されてきたグループ。'75年のブラジル国内で初のアルバムを発表して以降、大ヒット作『Light As A Feather』('79年)をはじめとする数多くの名作を残してきた彼らは、90年代以降も英国の名門レーベル≪Far Out≫を拠点に新作を発表しながら現役のレジェンドとして活躍を続けてきた。



 '12年にはキーボード奏者のジョゼ・ホベルト・ベルトラミが亡くなったが、新メンバーにミルトン・ナシメントやジルベルト・ジルらのバックを務めてきた実力派のキコ・コンティネンティーノを迎えて復活作『フェニックス』('16年)を発表。さらに、今年には正式デビュー以前の時期にベルトラミの自宅スタジオで録音されていたアグレッシヴかつヒップなトラックを復刻させた未発表音源集『デモ・トラックス 1973-75 Vol.1&2』がリリースされたが、こちらはプレ・フュージョン時代の黎明期(結成は'73年)のアジムスが南米屈指の先鋭的なファンキー・ジャズ・ロック・グループであったことを改めて生々しく伝えてくれる。サンバのビートを体得したトニー・ウィリアムスのごとき強靭なドラム・ブレイクの連続、デビュー以後よりもオルガンを多用するとともに、トビの強い電子音ノイズも随所に効かせたシンセ使いで攻めまくるベルトラミのマッドな鍵盤ワークなど...。本盤を聴き込んで後の名作群に戻ってみれば、新たなアジムス像が浮かび上がってくるはずだ。



 また、マッドリブと組んだジャクソン・コンティ名義の'08年作『スジンニョ』でも怪物ドラマーぶりを発揮してヒップホップ・フリークからも支持されたイヴァン'ママォン'コンチも、22年ぶりとなったソロ作『Poison Fruit』を発表したばかり。インコグニートのブルーイの息子にして、近年のFar Out発の諸作に裏ブレインとして関わるダニエル・モーニックをプロデュースに迎え、90年代リバイバルな音と御大の生ドラミングを巧みに融合させた本作には、実質的に現行のアジムスが顔を揃えた楽曲も収録。健在ぶりを示したところで、まさに絶好のタイミングでの来日となる。



 そして、ボサノヴァ全盛期の60年代に「サマー・サンバ」「Preciso Aprender A Ser So」「Os Grilos」などの数多くの名曲を残し、'73年にはデビュー前のアジムスをバックに起用して英国のステレオラブや日本のグレイト3らにも多大な影響を与えた未来派ブラジリアンな傑作『プレヴィザォン・ド・テンポ』を発表しているマルコス・ヴァーリもまた、約9年ぶりとなった待望の新作『センプリ』を発表したばかり。80年代の前半に示していた軽快なブラジリアンAOR路線を、ディスコ/ブギ―色の強い音作りで今にアップデートしたような境地は、心憎いまでに80年代のアーバン&ブリージンな音が再評価される今の空気ともシンクロした会心作となっている。また、ベース奏者としてアジムスのアレックス・マリェイロスが参加している点も大きなポイントとなっており、完全にアジムスをバックに従えての新作収録曲のライブならではの展開、そして70年代前半の名作の時空を越えた再現にも期待が高まるところ。アジムスもマルコスのバックを務めていた当時の未発表曲集を発表したばかりとあって、単なる久々の再会にとどまらないミラクルが起こりそうな予感に満ちている。



 そもそも、アジムスというグループ名は、マルコスが音楽を担当して彼らも全面的に参加したグルーヴィーなサントラ盤『ファブローゾ・フィッティパルディ』('73年)の挿入曲名から取られており、言わば名付け親のような間柄。この組み合わせだからこそのマジックをどうかお見逃しなく!




【筆者プロフィール】

吉本秀純(よしもと・ひですみ)
ワールド・ミュージック全般を中心に、ジャズ、ロック、クラブものなども全方位的にこなす音楽ライター。編著書に『GLOCAL BEATS』('11年)『アフロ・ポップ・ディスク・ガイド』('14年)がある。大阪市在住。

AZYMUTH & MARCOS VALLE
アジムス & マルコス・ヴァーリ
2019 10.25 fri., 10.26 sat., 10.27 sun.

10.25 fri.
 [1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:15pm Start9:00pm
10.26 sat., 10.27 sun.
 [1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/azymuth/

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