ジョイス・モレーノが歌い継ぐ"Bossa Nova Songbook" | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ジョイス・モレーノが歌い継ぐ"Bossa Nova Songbook"

ジョイス・モレーノが歌い継ぐ"Bossa Nova Songbook"

毎年恒例、ブラジル音楽のミューズ、
ジョイス・モレーノのライヴのテーマはボサノヴァ!

 アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、ヴィニシウス・ヂ・モライス。ボサノヴァ三聖人への想いをこめて、ボサノヴァの名曲をオリジナルな表現で歌う。ゲストは長年の友人、ゼ・ヘナート。

text = Jin Nakahara

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 毎年、夏から初秋に来日してライヴを行い、日本のファンに愛されているブラジル音楽のミューズ、ジョイス・モレーノ。サンバ100周年を祝った2017年、デビュー50周年を記念した2018年を経て、今年のライヴのテーマは"Sings Bossa Nova Songbook"だ。

 1948年、リオのコパカバーナ海岸の近くで生まれたジョイス・モレーノにとって、ボサノヴァは思春期のポートレートだった。「イパネマの娘」のレコードが出た60年代前半にはイパネマの女学校に通い、後にボサノヴァの三大巨匠、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、ヴィニシウス・ヂ・モライスとの交流も始まった。

 ジョイスが詩人のヴィニシウス・ヂ・モライスと出会ったのは10代の時。彼女が当時を振り返って語ってくれたコメントを引用しよう。

「ヴィニシウスの家を初めて訪れ、ずっと尊敬していた人と知り合えたことに感動しました。彼は私よりも40歳近く年上でしたが、偉そうな態度をとったことは一切ありません。若者たちともすぐ親しい友人になり、一緒に曲作りをする、とても心の広いオープンな人物でした。当時は毎日が、お祭りのような日々でした」。

 ヴィニシウスは'68年、ジョイスが20歳で発表したデビュー・アルバムに推薦文を寄稿し、"ハンサムなモダンガール" と表現した。70年代半ばには、一緒に南米とヨーロッパをめぐるツアーも行なった。ここで誤解を避けるために書いておくと、ジョイスは「ヴィニシウスは恋をせずには生きていけない人でしたが、私とはそういう関係にならない親友同士で、彼にとって私は、愛に対する情熱の物語など、なんでも包み隠さず話せる相手だったようです」とコメントしている。そしてジョイスはヴィニシウス没後の'88年、彼が作詞した名曲を歌うアルバムを発表した。

 ジョイスとアントニオ・カルロス・ジョビンとの交流も長く、リオの街角でバッタリ会うこともあったという。'85年のアルバムで、自ら作詞した「テーマ・パラ・ジョビン」(作曲はジャズ・サックス奏者のジェリー・マリガン)をミルトン・ナシメントとのデュエットで録音。'87年、ジョビンの生誕60年を祝う名曲集アルバムを発表した。ジョビン没後の'95年には、デビュー前からの親友で、同じく9月に来日するトニーニョ・オルタとのデュオによるジョビン作品集「セン・ヴォセ」を、今世紀にはドイツのWDRビッグバンドとの共演で「セレブレイティング・ジョビン」も発表。ジョイスにとってジョビンの名曲は、インスピレーションの源であり続けている。

 そして、7月に88歳で世を去ったジョアン・ジルベルト。ジョイスは'70年、ピアニストのルイス・エサを中心とするグループでメキシコに長期滞在中、現地に住んでいたジョアンと初めて会い、彼の "声とギター" を目の当たりにした。7年後にニューヨークで再会し、一緒にギターを弾く機会を得たが、その体験を彼女は著書「私のカメラがとらえたあなた」の中で次のように書いている。

「催眠術だ、と私は思った。怖くなった。大蛇に飲み込まれ、食べられるまでそのまま動けなくなる、そう思った」。

 ジョアンのギターワークに圧倒されたジョイスは我に返った瞬間、自分のギターをケースにしまい、慌ててジョアンの元から逃げ去ったという。その3年後、ジョイスは名盤「フェミニーナ」を発表し、現在へと至るキャリアをスタートしたが、そこにはジョアンと過ごしたミステリアスな時間の体験が、何らかの影響を及ぼしていたのかもしれない。

 ジョイス・モレーノは今年も、伴侶のトゥチ・モレーノ(ドラムス)らとの不動のバンドで来日する。ボサノヴァ三聖人との交流をふまえてボサノヴァの名曲を、ジョイスならではの独創的かつ小粋な解釈で歌ってくれることだろう。

 そして今年のゲストは、70年代からの友人でもあるシンガー・ソングライター&ギタリスト、ゼ・ヘナート。ヴォーカル・グループ、ボカ・リヴリの中心メンバーでもあり、透明感のある美しい歌声で、オリジナル曲から小粋なサンバやジョビンの名曲まで歌ってきた。ジョイスと共作した曲も数多く、2011年には震災の被害を受けた日本を思って共作した曲「Um Abraço No Japão」を録音した。ソロ、そしてジョイスとの息もぴったりのデュエットで、ボサノヴァの名曲から2人が共作した曲まで聴かせてくれることが楽しみだ。


209features1_img05.jpg ヴィニシウス・ヂ・モライスは"ポエチーニャ" の愛称で親しまれたブラジル文学と音楽を代表する詩人、歌う外交官、女性と酒をこよなく愛したボヘミアン。

209features1_img06.jpg アントニオ・カルロス・ジョビン(左)について、イヴァン・リンスとの来日時(2016年)にジョイスはこう語っている-「できるならば私たちの楽曲はすべて忘れて、トム・ジョビンの曲だけで、ステージを構成したかったほど。そのくらいトムの音楽を愛しています」

209features1_img07.jpg ゼ・ヘナートの在籍するボカ・リヴリはブラジルのポピュラー・ミュージック史上、最重要コーラスグループの1つと称される。ジョイスも「今ブラジルで最も素晴らしい声を持つ一人」と賞賛する。


中原 仁(なかはら・じん)
J-WAVE「サウージ!サウダージ...」制作のほか音楽プロデューサー、選曲家、ライター、DJ、MCとして活動。「21世紀ブラジル音楽ガイド」を監修。

JOYCE MORENO sings "Bossa Nova Songbook"
with special guest ZÉ RENATO
ジョイス・モレーノ sings "ボサノヴァ・ソングブック"
with special guest ゼ・ヘナート

2019 9.12 thu., 9.13 fri.

[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/joyce/

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TOUR
9.6 fri., 9.7 sat. 【東京 丸の内】コットンクラブ
公演詳細はこちら → http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/joyce-moreno/
9.8 sun. 【神奈川 横浜】モーション・ブルー・ヨコハマ
公演詳細はこちら → http://www.motionblue.co.jp/artists/joyce/


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