<SPECIAL RECOMMENDATION "APRIL"> 音色をたっぷり味わえる、ミシェルのトリオ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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<SPECIAL RECOMMENDATION "APRIL"> 音色をたっぷり味わえる、ミシェルのトリオ

<SPECIAL RECOMMENDATION "APRIL"> 音色をたっぷり味わえる、ミシェルのトリオ

<SPECIAL RECOMMENDATION "APRIL"> MICHEL CAMILO TRIO
with CLIFF ALMOND & LINCOLN GOINES/span>2016 4.7 thu., 4.8 fri., 4.9 sat., 4.11 mon., 4.12 tue. ミシェル・カミロ・トリオ
with クリフ・アーモンド&リンカーン・ゴーインズ

 音色をたっぷり味わえる、ミシェルのトリオ
幅広いフォーマットで話題を集めるミシェル・カミロが久々にトリオで登場する。
盟友、クリフ・アーモンド、リンカーン・ゴーインズとの唯一無二のサウンドは聴き逃せない。

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 誰もがハッピーになれる!ミシェル・カミロのライブを見ると、いつもそう思います。ジャズ、音楽ファンはもちろん、ジャズはよくわからないと思っている人でさえも、ミシェルの演奏に触れると笑顔になれる。私はミシェルのライブで観客の笑顔を見るのも大好き。

 2014年のブルーノート東京公演で、そのヒミツの一端に触れた気がしました。私の席はラッキーにもミシェルのスタンバイ位置のすぐ近く。進行役の方が出演者の説明をする間も、なんとも楽しそうな笑顔。少年のように瞳を輝かせながら、名前が呼ばれると待ってましたとばかりステージに向かうのです。今まで数え切れないほどのライブを経験されているでしょうに、こんなに心から楽しめるって素敵。

 ミシェルの強烈な個性の一つは、あの演奏法。まるでコンガを叩いているかのようにピアノの鍵盤を叩きます(叩いているように見える)以前、対談させてもらった時にそれについて尋ねると、こんな話を聞かせてくれました。「16歳でナショナル・シンフォニック・オーケストラに入った時、ピアノはパーカッションと考えられていたんだ」うーん、なるほど。でも、鍵盤はパーカッションよりかなり幅が狭いのに音を決して外さないし、目にもとまらぬ速さで、しかも両手が全く違う動きをしているのは信じられない。そう伝えると、

 「ピアノの先生からは、よく瞑想をさせられたよ。大切なのは呼吸。速く弾けば弾くほど呼吸がゆっくりになるんだ。それにつれて心臓の鼓動もゆっくりに。そうしないと腕が縮こまって力が入りすぎてしまう。肩で息をしないでお腹で息をするようにも心がけている」これは驚き。速く弾けば弾くほど呼吸がゆっくり。なんだか禅の世界に近いかんじもします。

 そんなミシェルのライブ、近年はデュオやビッグバンド編成が多かったのですが、今回はシンプルなトリオ。ピアノ2台のバトルやビッグバンドのゴージャスなサウンドも、もちろんいいけれど、ミシェルのピアノの音色をたっぷり味わえるのは、やはりトリオではないでしょうか。ご存知のように、ソロでもバンドやオーケストラのような華やかさを持つミシェルのピアノ。できれば他の楽器がソロをとるはずの時間も、ずっとミシェルのピアノを聞いていたい。もちろん、超テクの曲だけでなくミシェルのバラードも美しい。いや、美しすぎます。

 最後に伝説のオクターブ奏法について尋ねた時の一言。

 「最初と最後の音を決めておく。すると、指が勝手に間の音を拾ってくれるのさ」なるほど、理屈はわかるような気がします。でも、そこに辿り着くまでどれほどの練習を重ねたのでしょう?少なくとも、あんな超スピードの連続技は他ではお目にかかれない。あぁ、4月が待ちきれない思いです!

instrument
MICHEL CAMILO TRIO
with CLIFF ALMOND & LINCOLN GOINES2016 4.7 thu., 4.8 fri., 4.9 sat., 4.11 mon., 4.12 tue.
ジャズのエナジーとラテンの情熱
天才ピアニストがトリオでは久々に来日
※詳しくは公演詳細ページまで

text = Yukie Nishimura

西村由紀江(にしむら・ゆきえ)
作曲家/ピアニスト。ドラマ・映画・CMの音楽を多数担当。年間60本を超えるコンサートで全国各地を訪れる傍ら「学校コンサート」や「病院コンサート」被災地にピアノを届ける活動「Smile Piano 500」にも精力を注ぐ。

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