特集、ラウル・ミドンの魅力に迫る | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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特集、ラウル・ミドンの魅力に迫る

特集、ラウル・ミドンの魅力に迫る

天才シンガー・ソングライター&ギタリストが
新譜を携え来日公演。
そのルーツから最新作までを解説する。

初心に還ったかのような新作を携えて、ラウル・ミドンが久々に単独で迫力のパフォーマンスを見せる。公演に向けて、その魅力をライターの内本順一氏が3回に分けて解説。待望の来日公演は12月10日(水)から始まります。

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〜ラウル・ミドンのルーツ〜
自身のルーツ探究を曲に反映させながら
様々なリズムを取り入れ歌う音楽表現者

 ラウル・ミドンが9月に発表した4thアルバム『ドント・ヘジテイト』を携えて来日する。今回は久しぶりの単独ステージだ。盲目のシンガー・ソングライター/ギタリストであるラウルの生まれはアメリカ、ニュー・メキシコ。母親はアフリカ系アメリカ人で、父親はアルゼンチン人だ。4歳のときに母親を亡くした彼の支えになったのは、父親の持つアルゼンチンの楽器とその音楽。「それは僕の心にとても近い、大切なリズムなんだ」とラウルはアルゼンチンの音楽に対する気持ちを述べ、故に2007年発表の2作目『世界の中の世界(原題:A World Without A World)』にはカルナバリートやチャッカレーラといったアルゼンチンのリズムを用いた曲を収録した。また2005年の初作『ステイト・オブ・マインド』にはフラメンコを用いた曲もあった。それらはラウル自身のルーツ探究が反映されたものであり、「ポップスにせよソウルにせよ、別のルーツ、異なるリズムをミックスしたものが僕は好きだし、凡庸なポップスよりもそういうものを表現することのほうが意味があると思うんだ」と言う彼の志が形になっていたものだった。

 デビュー当時、盲目ということもあってスティーヴィー・ワンダーの再来とも言われ、確かにスティーヴィーの音楽が好きな人にも勧めたくなるところがあったが、2009年の3作目『シンセシス』ではソウルからジャジー方向へと転換。一方でボサノヴァ、レゲエ、アフリカンなど、リズム・アプローチの幅もグッと広げてみせていた。そして発表されたばかりの5年ぶりの新作では、さらなる進化を見せている。


raul midon profile

〜ラウル・ミドンのライブの魅力〜
有機的で音楽的
ラウルひとりから表現される音

 ラウル・ミドンはまず何よりライブがいい。初めて観る人なら衝撃を受けるに違いないし、何度か観れば癖になること必至だ。基本的にラウルのライブは彼ひとりだけがステージに立つ。彼はアコースティック・ギターで滑らかにメロディを弾き、フラメンコやジャズ流儀のシンコペーションでリズムに動きをつける。同時にギターのボディのあちこちをパーカッションのように叩きながら歌い、さらにはマウス・トランペットで曲に膨らみを持たせる。つまり、ステージに立っているのはひとりなのに、ギターもパーカッションもトランペットも入った、まるでバンドが鳴らしているような音を聴くことができるわけだ。しかもそれは例えば大道芸などでよく目にする、いわゆる曲芸的な面白さではなく、至って有機的で音楽的。力強さと優しさの両方を感じさせるヴォーカルもそれだけで十分魅力的だ。

 そんなラウルは、1年前にはリチャード・ボナやそのバンドメンバーと組み、初めてバンドセットでのライブを披露したわけだが、今回は再びひとりでステージに。ラウルの魅力そのものがストレートに伝わってくるライブになることだろう。


raul midon live

BLUE NOTE TOKYO 2013 11.30 - 12.2 / photography = Tsuneo Koga

〜5年振りとなる新作の魅力〜
ラウル・ミドン、5年振りとなる新作の魅力

 ラウル・ミドンが約5年ぶりにリリースしたのが、4作目となる『ドント・ヘジテイト』。アコースティック・ギターの音が今までで最も気持ちよく鳴っているアルバムだ。1作目と2作目はEMI(マンハッタン)、3作目はエマーシーから発売されたが、今作は西海岸のレーベル、アーティストリーからのリリース。セルフ・プロデュースで伸び伸びと作ったようだ。ラウル作品の中で最もシンプル。そして最も風通しがよく、表題曲などはジャック・ジョンソンが好きな人にも勧めたくなる開放感がある。ゲストも豪華で、リズ・ライト、ダイアン・リーヴスとのデュエット曲はどちらも深みがあるし、マーカス・ミラーの参加曲があれば、昨年の共演ライブも素晴らしかったリチャード・ボナの参加曲もある。

 後半には哀愁漂う曲もいくつかあり、ボサノヴァ・タッチの10曲目「If You Want Me To」のメロディとヴォーカルはスティングを想起させもする。何より最大の驚きはアルバムの締め曲で、なんとザ・フーの「恋のマジックアイ」をアコースティック・カヴァー。来日公演で聴くのが楽しみな曲ばかりだ。


raul midon disc

『ドント・ヘジテイト』(キング・インターナショナル)



内本順一(うちもとじゅんいち)
東京生まれ。情報誌の編集を経て音楽ライターに。ポップ、R & BものなどのCDライナーノーツを多数執筆。プリンス、ストーンズを始め、これまで数百組のアーティストを取材。

2014 12.10 wed. - 12.11 thu. @ブルーノート東京
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/raul-midon/
2014 12.13 sat. - 12.14 sun. @コットンクラブ
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/raul-midon/

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