ホセ・ジェイムズ、ジャパン・ツアー・スペシャルインタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ホセ・ジェイムズ、ジャパン・ツアー・スペシャルインタビュー

ホセ・ジェイムズ、ジャパン・ツアー・スペシャルインタビュー

JOSÉ JAMES
ナンバーワンシンガーが表現 最先端を突き進む、未来型の音

今やブルーノートを代表するシンガーとなったホセ・ジェイムズが、オルタナティブ・ロックやエレクトロを大胆に取り入れた 衝撃的なニュー・アルバムを携えてジャパン・ツアーを行う。 今回は超絶ギタリストのブラッド・アレン・ウィリアムズを迎え入れ、 "まったく新しいサウンド"を表現している。 久々のブルーノート東京公演も決まった彼に話を聞いた。

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 撮影の間、ホセ・ジェイムズはアコースティック・ギターを爪弾いて新作の表題曲を静かなトーンで歌っていた。それは自らの内面を繊細に表現するシンガー・ソングライターの趣で、彼のキャリアがジャズ・ヴォーカリストとしてスタートしたことも、時々ネオソウル調の曲を艶っぽく歌っていたシンガーであることも一瞬忘れそうになったほど。以前から「特定のスタイルに縛られたくない」といった発言をしていたが、目の前でアコギを爪弾いて歌うその姿を見ながら、彼が特定のジャンルになど収まるはずのない稀有な表現者であることを改めて実感した次第だ。

 通算5枚目(ブルーノートからの2枚目)となる新作『ホワイル・ユー・ワー・スリーピング』もまさしくホセがそうした逸脱型のアーティストであることを強く伝えてくるもの。この作品でホセはオルタナティブなロックやエレクトロの要素を大胆に取り入れ、異なる次元への跳躍を見せているのだ。

「前のアルバムを作り始めてから、それを携えた最後のショーをやるまでに3年。その間に、あのスタイルに飽きてしまったんだ。ジャズやソウルやヒップホップを融合させることは満足いくまでやったので、またそれをやるのは嫌だった。で、何か新しい要素をと考えたとき、インディー・ロックとエレクトロは現在の音楽界で最も発展しているものなので、そこにアプローチするのがとても自然なことだと思えたんだよ」

 最近、ジャズを聴くことは滅多にないそうだ。代わりに好んで聴いているのは、「まずホセ・ゴンザレスが参加したジュニップというユニット。フォーキーな感覚とエレクトロ的なモダンさが自然に合わさっていて、すごくいい。それからフランク・オーシャンやジェイムス・ブレイクのようなコンテンポラリーなアーティスト。ジェイムス・ブレイクは現在の音楽のリアリティを象徴しているひとりだと思う。それとプラスティック・ピープルやカーゴといったエレクトロニックの新潮流も興味深い。あとはレディオヘッド。ニルヴァーナも」

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 そして「今回のアルバムは、最近よく聴いていたそういう様々な音楽の融合なんだよ」と続けるホセ。既に聴かれた方ならば「なるほど」と頷くに違いない。

 曲作りは大半を、ギターを弾きながら行なったそうだ。なぜなら「今回はいい曲を作ることに集中したかったから」だと言う。

「前作のようにクールなグルーヴを表現したかったわけじゃない。グルーヴに重きが置かれた音楽が、今はちょっと多すぎるように思うんだよ。特に若い世代の作る音楽はそういうものが多いね。グルーヴを重視するのはいいんだけど、みんな歌詞とメロディをあまりにも軽視しすぎているんじゃないかな」

 つまりシンガー・ソングライターとしての向上を意図していたわけで、表題曲や「ボーディサットバ」といったスピリチュアルなスローにそれが色濃く反映されているが、一方でエネルギッシュなバンド・サウンドに拘った曲も収められている。

「バンドをちゃんと活かした音楽のジャンルって、いまはロックぐらいしかないよね。R & Bには見当たらないし、ヒップホップだとザ・ルーツぐらいしかいない。以前はプリンスを筆頭にもう何組かいたものだけどね。で、僕は何よりライブで力を発揮する優れたミュージシャンたちと音楽を作っていきたいので、こういうサウンドになるのもまた自然なことだったんだ」

 その"優れたミュージシャンたち"を紹介しておくと、キーボードは「次世代のハービー・ハンコック」とホセが絶賛するクリス・バワーズ。ドラムはホセのデビュー作からずっと組んでいるリチャード・スペイヴェン。ベースがソロモン・ドーシー。そして新たに迎えられたのが「ソウルもロックもいける」とホセが言う超絶ギタリストのブラッド・アレン・ウィリアムズ。縦横無尽に曲空間を飛び回るブラッドのギターが今作のサウンドを決定づけている。7月に決まっているブルーノート東京を始めとしたジャパン・ツアーは、このメンバーに加え、3曲の制作に加わった女性シンガー・ソングライターのタリア・ビリングもコーラスで参加。アルバムの"新しいサウンド"がどのようにライブで再現されるのかは、まったく想像できないのだが......。

「アメリカのツアーでは、ブラッドがジミヘンみたいなギターを弾くと、年配の観客たちが激しく盛り上がっている。ベビーブーマー世代からしたら"これこそオレたちの音楽だ!"っていう気持ちになるみたいだね(笑)。今回のサウンドに観客がついていけないんじゃないかと心配するスタッフもいたけど、やってみたら今までで最も凄まじい盛り上がりなんだ!」

photography = Hiroyuki Matsukage
interview & text = Junichi Uchimoto

ホセ・ジェイムズ
ミネアポリス出身。高校時代にデューク・エリントンの音楽に触れジャズを歌い始める。2006年、ジャズ・コンペでジャイルス・ピーターソンと出会いデビュー。2012年にはブルーノートへの移籍が話題となる。

内本順一(うちもとじゅんいち)
東京生まれ。情報誌の編集を経て音楽ライターに。ポップ、R & BものなどのCDライナーノーツを多数執筆。プリンス、ストーンズを始め、これまで数百組のアーティストを取材。

 JOSE JAMES_DISC

『ホワイル・ユー・ワー・スリーピング』
(ユニバーサル ミュージック)

TOUR INFORMATION
丸の内、横浜、名古屋、そして大阪へ! ジャパンツアーを敢行

●7.22 tue. 【丸の内】コットンクラブ
●7.23 wed. 【横浜】モーション・ブルー・ヨコハマ
●7.25 fri. - 7.27 sun. 【東京】ブルーノート東京
●7.29 tue. 【名古屋】名古屋ブルーノート
●7.30 wed. 【大阪】梅田クラブクアトロ

☞ ツアーの詳細はブルーノート東京オフシャルサイトまで

"JOSÉ JAMES" SPECIAL MENU
公演限定、コラボレーションメニュー

ブルーノート東京、モーション・ブルー・ヨコハマ、コットンクラブでは、ホセ・ジェイムズとのコラボレーション企画として公演限定のスペシャル・メニューをご用意します。

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