全米で話題沸騰!タンク・アンド・ザ・バンガスがやって来る | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

全米で話題沸騰!タンク・アンド・ザ・バンガスがやって来る

全米で話題沸騰!タンク・アンド・ザ・バンガスがやって来る

ニューオーリンズの新しい音楽の蠢きを体感せよ!

 タイニー・デスク・コンサートではぶっちぎりの満場一致で出演権獲得、ノラ・ジョーンズが自身の作品でフィーチャー、さらに第62回グラミー賞最優秀新人賞にビリー・アイリッシュ、リゾ、リル・ナズ・Xらと並んでノミネート! 快進撃を続けるタンク・アンド・ザ・バンガス、ついにブルーノート東京に登場。

Text = Tsuyoshi Hayashi

READ MORE

 米ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のソウル・バンド、タンク・アンド・ザ・バンガスが広く注目されたのはNPRの名物企画〈タイニー・デスク・コンサート〉のパフォーマンスからだろう。6,000組の応募の中から出演権を勝ち取り、ワシントンDCにある小さなオフィスで行なったライヴの映像が2017年3月に公開されるとすぐさま人気に。シンガーで詩人でもあるタリオナ"タンク"ボール(以下タンク)が人懐っこくチャーミングな表情で声色をコロコロと変えながら、音の波をつかむように自由自在に歌う姿に多くの人が虜になった。エレピやフルートを用いたオーガニックな演奏をバックに、ラップやポエトリー・リーディングを交えて歌うタンクは、同じくシンガーで詩人のジル・スコットがザ・ルーツの周辺から出てきた時の印象に近く、時折見せるコミカルな表情はミッシー・エリオットにも通じている。教会の説教師のようにパワフルで堂々としていながら、センシティヴな側面も持つタンクのヴォーカルを軸に、彼らは多彩で独創的な音を奏でている。



 結成は2011年。タンクを中心にオープン・マイクでの集まりがバンドに発展した。2013年には、代表曲のひとつ「Boxes And Squares」を含むデビュー・アルバム『Think Tank』を自主リリース。初期からのコア・メンバーは、タンクのほか、メレル・バーケット(キーボード)、ジョシュア・ジョンソン(ドラムス)、ノーマン・スペンス(ベース/キーボード)、そして2014年に加わったアルバート・アレンバック(サックス&フルート)。ヴァーヴ・フォアキャストからのメジャー初アルバム『グリーン・バルーン』(2019年)では、この5人にサブ・メンバーやゲスト・ミュージシャンを加えて録音。現在はメレルを除く4人で活動しているようだ。

 地元ニューオーリンズの音楽情報誌『OffBeat』では、2015年7月号に特集が組まれ、この前後から様々なフェスに出演。彼らがここにきてメジャー・レーベルと契約できたのは、地元の伝統を踏まえて新しい音楽を作るニューオーリンズの新世代ミュージシャンが全米規模で活躍していることとも無関係ではない。例えば、R&B/ゴスペルのPJモートン、ヒップホップ/バウンスのビッグ・フリーダ、ブラスバンドのソウル・レベルズ、ジャズのトロンボーン・ショーティ。タンク・アンド・ザ・バンガスはそうしたジャンルのミックス、ニューオーリンズ式に言えば(音楽の)ガンボを聴かせてくれる。『グリーン・バルーン』に収録された「Spaceships」などでのトラップ的なビート、タイニー・デスク・コンサートでも披露した2017年のシングル「Quick」でのヘッドバンギングしたくなるような音の打ち出しは、現代のアメリカで活動するミュージシャンにとって普通の感覚だろう。ヴィジュアル面も含めてディズニー・アニメからの影響を公言し、マルディグラのパレードを思わせる華やかさや賑やかさもある。実際にタンクは、2019年8月、N.Y.ブルックリンでの〈AFROPUNK FESTIVAL〉に出演した際、マルディグラ・インディアンをイメージした派手で大きな衣装で登場した。



 ネオ・ソウル路線の「Smoke.Netflix.Chill」をはじめ、タンクの人生経験を反映したリアリティのある歌詞も共感を得た『グリーン・バルーン』は、タイニー・デスク・コンサートでタンクとの掛け合いを見せたアンジェリカ"ジェリー"ジョセフ、ラッパーのペルといった地元仲間の参加もあるが、制作陣にはメンバーに加えて、ジャック・スプラッシュ、ゼイトーヴェン、マーク・バトソンといった地元以外のプロデューサーも起用。ロバート・グラスパーもジャジーなムードの醸成に貢献し、アレックス・アイズレー(アーニー・アイズレーの娘)が客演したジャック・スプラッシュ制作の「Hot Air Balloons」にもグラスパー的なサウンドの影響が及んでいる。つまりニューオーリンズにとどまらない音楽的な広がりが感じられるわけで、そうした越境性はタンクが様々なフィールドのアーティストと共演、交流していることからも明らかだ。例えば、彼らのファンを公言するノラ・ジョーンズは、2019年に発表した2曲のシングル「Take It Away」と「Playing Along」でタンクをフィーチャー。ここではジャズと向き合うタンクの淑やかなヴォーカル(後者ではラップも)を聴くことができる。ノラは2016年の〈ニューポート・ジャズ・フェスティバル〉における自身のステージでもタンクをバック・コーラスに起用しており、それもバンドの知名度アップに貢献したことだろう。



 地元クラブでのライヴを収めた『The Big Bang Theory: Live At Gasa Gasa』(2014年)、ヴァーヴ・フォアキャストとの契約後に出した『Live Vibes』(2018年)や『Live Vibes 2』(2019年)といったライヴ盤の内容からも、演奏やパフォーマンス力の高さは実証済み。特に親密度の高い小さいクラブでのショウは、もともとポエトリー・スラムのシーンで活動していたタンクを中心とするバンドだけに相性が良く、ブルーノート東京のステージが似合うこと請け合いだ。

 折しも今回の初来日公演を前にして、第62回グラミー賞最優秀新人賞にビリー・アイリッシュ、リゾ、リル・ナズ・Xらと並んでノミネート。その結果が明らかになる授賞式の直後に来日するのもタイムリーだが、結果はどうあれ、彼らの音楽は既に多くの人の心を捉えている。2019年はドクター・ジョンやアート・ネヴィル、デイヴ・バーソロミューといったニューオーリンズ音楽の偉大な先達が相次いでこの世を去ったが、今はタンク・アンド・ザ・バンガスがいる。かの地の新しい音楽の蠢きを体感したければ、南青山に足を運ぶのが近道だ。




林 剛(はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDの解説を含め、様々なメディアに寄稿。2020年代も新しい音楽との出会いに期待しています。引き続きニューオーリンズの新世代アクトにも注目。

The EXP Series #34
TANK AND THE BANGAS
The EXP Series #34
タンク・アンド・ザ・バンガス

2020 1.31 fri., 2.1 sat.

1.31 fri.
 [1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:15pm Start9:00pm
2.1 sat.
 [1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm

2020TankAndTheBangas_image01.jpg
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/tank-and-the-bangas/

RECOMMENDATION