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JUNKO ONISHI TRIO featuring GERALD CANNON & KARRIEM RIGGINS @COTTON CLUB

artist KARRIEM RIGGINS , 大西順子

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


今年の「東京JAZZ」に、日野皓正&ラリー・カールトン・バンドの一員として登場し、健在ぶりを示した大西順子。それから約2か月を経て、ついにリーダー公演がスタートしました。日程は11月4日がコットンクラブ、6日から8日にかけてブルーノート東京です。『バロック』(2010年リリース)以来のニュー・アルバムも待たれるところですが、まずはライヴで現在の大西順子を体感したいものです。

共演はマッコイ・タイナーとの来日も多いジェラルド・キャノン(ベース)、大西の旧友であるカリーム・リギンズ(ドラムス)。カリームの参加は、このバンドを確実にエキサイティングなものにしていました。彼はグラント・グリーンの『グリーン・イズ・ビューティフル』やビリー・ウッテン『ウドゥン・グラス・レコーデッド・ライヴ』などジャズ・ファンクの金字塔でプレイしていたオルガン奏者エマヌエル・リギンズを父親に持ち、かつてレイ・ブラウンやマルグリュー・ミラーのバンドで正統派モダン・ジャズを演奏、同時にヒップ・ホップやR&Bのオーソリティでもあり、驚愕のビーツ集『アローン・トゥゲザー』というアルバムも発表しています。大西は1998年に発表した(現時点で彼女にとって唯一の)エレクトリック・ファンクの要素も加味したアルバム『フラジャイル』で弱冠23歳時のカリームを起用していますが、そのセンスは"慧眼"というしかありません。

コットンクラブ公演、ファースト・セットのオープニングは90年代からの愛奏曲「So Long Eric」から始まりました。1964年、ベース奏者のチャールズ・ミンガスが、ヨーロッパに旅立つエリック・ドルフィーのために書いた曲です。大西はまずジェラルド、つづいてカリームに活躍の場を与えた後、渾身のロング・ソロを披露。背後ではテンポが倍になったり、ワルツ調になったりして、ピアノ・プレイに刺激を与えます。続いてはサックス奏者でプロデューサーの菊地成孔からのサジェスチョンだという、「Chromatic Universe」。鬼才作編曲家、ジョージ・ラッセルが名盤『宇宙時代のジャズ』で発表したナンバーが、まさかここで聴けるとは思いませんでした。その次はカリームの推薦曲「Almost Like Me」。伝説的ドラマーのマックス・ローチが、フィラデルフィアで活動した幻のピアノ奏者ハサーン・イブン・アリと吹き込んだアルバムからの1曲です。ハサーンは叩きつけるようなタッチで弾き綴っていましたが、大西はあくまでも叙情的にメロディを奏でます。衝撃のデビューからもう四半世紀近くが経ち、その間、彼女の後を追うように数多くの女性ピアニストが日本のジャズ・シーンに登場しました。しかし大西順子の存在感は、少しも揺らがぬまま現在に至っています。今後、どんな世界に聴き手をいざなってくれるのか、楽しみでなりません。
(原田 2015 11.5)

photo by Y.Yoneda


JUNKO ONISHI TRIO
featuring GERALD CANNON & KARRIEM RIGGINS

2015 11.4 wed. コットンクラブ
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2015 11.6 fri. - 11.8 sun. ブルーノート東京
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