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OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO

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原田和典の公演初日レポート:OMAR SOSA



いったい、ここはどこなんだ?

確かに「ブルーノート東京」です。南青山にあるクラブです。確かにそうです。
なのですが、目を閉じると、そこは違う世界。オマール・ソーサ・アフリカーノス・カルテットの紡ぎだす音は、ぼくをアフリカやキューバへいざなってくれました。一度も行ったことがないにもかかわらず、いろんなテレビ番組で見た光景や、書物で接した風景が脳内でミックスされて、目に浮かんできます。灼熱の太陽、ジャングル、砂ぼこり、シマウマ、ライオン、そしてなぜかアルパカ(チリの動物ですが)。こうしたサウンドが、東京にいながらにして味わえるなんて、なんだかとてもぜいたくです。

真っ赤な衣装で現れたオマールの中では、ステージに向かう時点でもう音楽が始まっていたのでしょう。待ちきれないといわんばかりに鍵盤に覆いかぶさり、自由自在に楽想を広げていきます。ピアノに加えMIDI音源、サンプラー音源、さらにはピアノにエフェクトペダルをもつないで創造される独特の音色は、ピアノの叙情とパーカッションの野性味を兼ね備えたものでした。やがて他のメンバーが登場し、演奏は更に激しく高まります。いまやオマールの右腕というべきチルド・トーマスがダブルネックのエレクトリック・ベースで重低音を響かせ(胴体はモロッコの弦楽器“ゲンブリ”なのだとか)、セネガル出身のモラ・シラが張りのある声でコブシをコロコロまわします。何を歌っているのかはわかりません。何語であるかすら、ぼくには定かではないのですが、歌声が、抑揚が、スッと心の中に入ってきます。

ドラマーは、名匠フリオ・バレットです。彼目当てのオーディエンスも多かったのではないでしょうか。‘90年代には何度かゴンサロ・ルバルカバと来日したことがありますが、その“マシンガン・ドラミング”は、ますます冴えています。バスドラの怒涛のキックは彼の得意技ですが、そうだとわかっていても、いざ目の前で繰り広げられると、やっぱり興奮せずにはいられません。フリオと盛んにアイ・コンタクトを交わしながら鍵盤に指を走らせるオマールは本当に嬉しそうでした。

この日、最も時間をかけて演奏されたであろう「METISSE」は、混血・雑種という意味を持つ曲。ああ、このバンドらしいな、と思いました。これからもオマールは音楽を通じてファンにいろんな風景を見せてくれることでしょう。

本日、最終日です。音楽の旅を、皆様もぜひ!


5/12 tue - 5/13 wed
OMAR SOSA AFREECANOS QUARTET featuring JULIO BARRETO
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