迫力のドラム・セット、サイモンのProtocolプロジェクト | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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迫力のドラム・セット、サイモンのProtocolプロジェクト

迫力のドラム・セット、サイモンのProtocolプロジェクト

Protocolプロジェクト、ここに極まる!
才能迸るロックな4リズムのインプロヴァイズは必見

 25年の時を経て、ついに"Protocol"の名を再冠したリーダー・アルバム『Protocol II』を発表したサイモン・フィリップスが、その自信作とレコーディング・メンバーを携えて来日します。サイモンと言えば、70年代からジェフ・ベックやマイケル・シェンカー・グループ、ジューダス・プリースト、マイク・オールドフィールド等々、近年ではTOTOや、ブルーノート公演も記憶に新しい上原ひろみザ・トリオ・プロジェクトなど、ヘヴィメタルから4ビートまでそのヴァーサタイルなプレイを誰もが欲しがる、世界屈指のセッション・ドラマーなのですが、実は彼、初ソロ作として自作自演による『Protocol』の制作を志向していた80年代当時から現在に至るまで常に、多忙なセッションの傍ら、曲のアイディアを書きためては録音し、自ら声を掛けたメンバーとのインプロヴァイズを通じて、自らの"Protocolプロジェクト"を様々な形で実現してきた"音楽家"であり"プロデューサー"であり、さらに"レコーディング・エンジニア"でもあるドラマーなのです。

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そして今回、このプロジェクトが25年という時間をかけて徐々に熟成され、ついに完成したかのような"響き"を持っていることを、僕はリスナーとして即座に感じました。今作が再び"Protocol"を名乗った理由がわかるサウンド。実際、サイモン自身も「メンバー4人の音楽的才能がとめどなく溢れ出てきた」と表現するほど、今回のレコーディングには相当な手応えを感じた様子です。

 アルバムに伴うツアーも、昨年10月からすでに世界各地でかなりの数をこなしており、Webにアップされたライヴ映像を観ると、4人のインプロヴァイズがさらなる高みに達していることがわかります。来日公演は、そんな脂の乗り切った"新生Protocol"のインプロヴィゼーションが繰り広げられるに違いありません。

今回のサイモンのドラム・セットも、以前「ピアノのように、これで1つの楽器」と語っていたように、2バス、4タム、3フロア・タムに2スネア、さらに左手側にトレードマークの4本のオクタバン、右手側にゴング・バスという180度に及ぶ壮観のセッティングだと思いますが、このセッティングと不可分に結びついた、"左右両利き"ならではのフレーズの組み立て方に注目してみてくだい。利き手が固定され腕をクロスしたドラマーでは物理的に不可能な、実にカラフルで、独特なダイナミクス感を持つサイモン独自のフレージングやグルーヴが、排気量や運動性能だけじゃない、実にハイブリッドな高性能エンジンとなって"Protocol号"を駆動し、乗客である我々にさまざまな情景を見せてくれると思います。

村田誠二(むらたせいじ)
[ドラム・インタビュアー/ドラム・ライター]97年に『リズム&ドラム・マガジン』の編集者となり、02年から副編集長を務めて08年にフリーに。ドラマーの感覚的な表現をもtranslateできる数少ないインタビュアーとして、大御所から若手までガッツリ対峙。

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