日野皓正が語ったジョン・スコフィールドとの出会い | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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日野皓正が語ったジョン・スコフィールドとの出会い

日野皓正が語ったジョン・スコフィールドとの出会い

ステージでの共演は実に42年ぶり!
2人のレジェンドが繰り広げる奇跡のセッション

 熱血ジャズ・ファン垂涎もののセッションが、1日限定で実現する。日野皓正とジョン・スコフィールドのスペシャル・リユニオンだ。ニューヨークに拠点を移して意気に燃えていた日本人トランペッターと、ジャズ界入りして間もない米国人ギタリストが出会ったのは1977年のこと。同年5月に日野名義の『メイ・ダンス』で初共演レコーディングを行ない、7月には来日して伝説の野外フェスティヴァル"第1回ライヴ・アンダー・ザ・スカイ"に登場する一方、ジョンのデビュー・アルバム『ジョン・スコフィールド』や日野の『ヒップ・シーガル』で再共演。巨匠の域に達して久しい日野とジョンが日本のステージで共演するのは、おそらくそれ以来42年ぶりになる。初対面のエピソード、ライヴに向けての意気込み等を日野皓正にうかがった。

interview & text = Kazunori Harada
photography = Hiroyuki Matsukage
**live photography (John Scofield) = Takuo Sato
**live photography (Terumasa Hino) = Tuneo Koga

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「ジョン・スコフィールドとは1977年の春に出会った。レコーディングすることが決まった時に、誰かいいギターがいないかなと思って、休みの日に「スウィート・ベイジル」(グリニッチ・ヴィレッジにあったジャズ・クラブ。1974年開店、2001年閉店)に飲みに行ったわけ。そこで演奏していた若手ギタリストがすごくいいので、"日野っていうトランぺッターなんだけど、俺のレコーディングに参加しないか"って誘ったんだ。そしたら向こうは"なんだお前は? ほかの共演者は誰だ?"みたいに尋ねるから、"ほかにトニー・ウィリアムスとロン・カーターが来るぞ"って伝えて。そうしたらびっくりしてね。"俺、まだレコーディングしたことないんだよ"って言うから、"じゃあやれよ"って。それが『メイ・ダンス』。とてもいいプレイをしたから、日本に連れていってツアーをした。そのツアーの間に、彼のレコーディングもあったでしょ(『ジョン・スコフィールド』)。1年くらい僕のバンドにいて、そのうちデイヴ・リーブマンのところでも一緒に演奏するようになったね」





 リーブマンはエルヴィン・ジョーンズやマイルス・デイヴィスのバンドに所属経験のあるサックス奏者。2010年には権威ある「NEAジャズ・マスターズ」に選ばれた。彼のリーダー・アルバムでは『ドゥーイン・イット・アゲイン』(79年)と『イフ・ゼイ・オンリー・ニュー』(80年)で、日野とジョンの共演を聴くことができる。日野とジョンは89年、日野のリーダー作『ブルーストラック』(米国ではブルーノート・レコーズから発売)で久々の再会レコーディングを行なったが、それからも早30年が経つ。

「ジョンは大体、僕の10歳下かな。もう、一家を確立して久しいよね。僕は本当に昔から彼のプレイが素晴らしいと思っていた。彼は南部出身じゃないでしょ?(筆者注:オハイオ州デイトン生まれ) だけど、言うこともやることもすごいソウルフルなんだ。ブルースが大好きで、イギリスを移動している時だったかな、お酒を飲んでディープなブルースの弾き語りをしていたことを思い出すよ。なんていうかな、ドロッとしたフィーリングが面白い。一緒に演奏するとすごく楽しいね」

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 日野皓正は長いキャリアの中で、数々の若手気鋭にスポットを当ててきた。ジョンがマイルス・デイヴィスのバンドに抜擢されたのは、日野のバンドに参加した5年後の1982年のこと。若くして亡くなったキーボードの名手ケニー・カークランドも、ウィントン・マルサリスやスティングのバンドに入る前に彼のグループで腕を磨いた。そして現在のユニットには、ギターの加藤一平やドラムスの石若駿、ピアノの高橋佑成が在籍している。逸材発掘のコツはなんだろう。

「僕の性格なんだろうね。そうとしか言いようがない。時代を超えられる可能性を持った音を出す奴をいつも望んでいるというのかな。自分もそうなりたいと常に思っているからね。これは面白いなと思って若手を(バンドに)誘うわけだけど、大事なのはやっぱり、音楽で物事を語る時に自己主張があるか。ある意味、天と通じて、指令を受けられるノウハウを持っているか。そういう人たちと出会いたいわけだ。「何やりたい?」って言うと、黙っちゃうような、ひょいっと隣の顔を見ちゃうような若者も多いけど、アートは、自己主張やオリジナリティが大事だからね。時が来たら、自分で考えたことをはっきり言えるように。律義に東洋の良さ、その人を敬う気持ちを忘れないのはいいことだけど、でもアートの時はもっとオレオレになっていい。で、だんだん年とってくると、天の声を聞かなきゃいけないっていうのもわかってくるわけ」

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 ブルーノート東京にも開店当時から毎年のように登場し、数々の名場面を届けて現在に至っている。日野は"バッドというフレーズは、すごい誉め言葉なんだよ"と前置きして、この店の印象を語った。

「ソー・バッド、つまり最高だよ。僕はニューヨークのブルーノートにも東京のブルーノートにもお世話になってきた。格の高いジャズ・スポットに出られるのはやっぱり嬉しいし、ブルーノートっていう名前自体に、すごく親近感を覚える。お客さんも素晴らしいしね。今回の公演に関しては『メイ・ダンス』の中からも演奏しようと考えているけれど、正直言って何が飛び出すかわからない(笑)。ジョンと一緒に演奏するのは本当に久しぶりだから、僕もどんなライヴになるのかわくわくしている。ぜひ楽しみに来てほしいね」

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TERUMASA HINO with special guest JOHN SCOFIELD
日野皓正 with special guest ジョン・スコフィールド

2019 5.31 fri.
[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm
Member:日野皓正(tp), ジョン・スコフィールド(g), 高橋佑成(p), 加藤一平(g), 杉本智和(b), 石若駿(ds)

公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/terumasa-hino/

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原田和典 (はらだ・かずのり)
ジャズ雑誌の編集長を経て、2005年に独立。新聞、雑誌、ウェブ等に寄稿を続ける。著書に「世界最高のジャズ」、監修執筆に「ブルーノート80ガイドブック」等。最新刊「コテコテ・サウンド・マシーン」を3月に上梓したばかり。ブルーノート東京のウェブサイトにライヴ・レポート掲載中。

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