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[インタビュー|MY INSTRUMENT]本田雅人

[インタビュー|MY INSTRUMENT]本田雅人

定番セルマー・マークⅥに至るまで

高校2年以来、フランス製セルマー(フラセル)マークⅦを30数年使い続けてきた本田雅人。3年ほど前に、長年のトレードマークをその前身モデルであるセルマー・マークⅥに変更したという。その理由は?

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 マークⅥの中でもフランス本社から送られたパーツをアメリカで組み立てた通称アメセルが名器として定評があることを、もちろん本田も認識していたが、パワーのあるⅦに比べⅥには物足りなさを感じていた。

「僕はマークⅦを長年愛用してきたので、その吹き応えが自分の中でバランスがよかったんでしょうね」

 本田が楽器を変更する起因となったのが、サクゼトのマウスピースとの出会いだった。その音色を気に入り、総銀製の本田雅人シグネチャー・モデルを製作するに至るが、マークⅦとの組み合わせは思った以上のパワーを必要とし、休む間なく吹き続けるリーダー・ライブでは負担を感じるようになった。"サクゼトでもう少し楽に吹くには?"、試行錯誤する中、フラセル・マークⅥとの組み合わせでは、マックスより少し手前のパワーでも鳴らしきれる印象。今度はアメセル・マークⅦを試すとよりブライトに。そこから導きだされた結論が「アメセルのマークⅥを買えばいいんだ」だった。結果ライブにおいても予想どおり前のマークⅦより楽に吹けるようになり、音色はよりブライトさが増したと言う。

「そこからアメセル・マークⅥを買いあさる人生が始まっちゃったんです(笑)」

 現在のメイン楽器は製造番号が14万番台のアメセル・マークⅥ。デイヴィッド・サンボーンの使用楽器として知られ、特に人気が高いモデルだ。他にも枯れた音色が特徴の9万9千番台、ミント・コンディションの15万番台と3本のマークⅥを所有している。サックスの名器としてマークⅥが多くのアーティストに愛される理由を本田はこう語る。

「マークⅦより実際の音量は小さいかもしれませんが、ピークに至る過程に抑揚があるのがいい楽器といわれている理由なんでしょうね」

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サクゼトの本田雅人シグネチャー・モデル(総銀製)マウスピース。リガチャーはシルバースタインを使用
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本田の超ハイパー・フレーズを生みだす、コンディション抜群のアメセル・マークⅥ(14万番台)

photography = Takashi Yashima
interview & text = Hiroshi Watanabe

本田 雅人(ほんだ・まさと)
原信夫とシャープス&フラッツ、T-SQUAREへの参加を経てソロ活動を開始。自己のコンボやビッグ・バンドで精力的に活動するほか、多くのアーティストのレコーディングやアレンジ、プロデュースなど多方面で活躍している。
渡部 博(わたなべ・ひろし)
ライター、映像制作者、サックス講師。『サックス・マガジン』でライター・デビュー。現在は『サックス・ワールド』にて、国内外のサックス奏者のインタビューや動画の制作を手掛けている。

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