B.B.STATION活動20周年、本田雅人に公演直前インタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

B.B.STATION活動20周年、本田雅人に公演直前インタビュー

B.B.STATION活動20周年、本田雅人に公演直前インタビュー

'97年結成、今や日本を代表するビッグ・バンドとして名を馳せる
B.B.STATIONの活動20年についてインタビュー!

アルト・サックスを自在に奏でる本田雅人が率いるグルーヴィーなビッグ・バンドであるB.B.STATIONが、結成20周年を迎える。学生時代からプロのビッグ・バンドに加入するなどしていた彼だが、一方では歌うことも好きでジャズ以外の音楽にも造詣が深い。T-SQUAREで活躍したことでも知られる彼の活動を、ビッグ・バンドを切り口に語ってもらおう。

READ MORE

photography = Atsuko Tanaka, interview & text = Eisuke Sato

――1年の時に、通っていた国立音大でビッグ・バンドが結成されて加入したんですよね。

3年生が作って、入らないかと誘われました。ビッグ・バンドは(大学入学前に)、田舎でもやっていましたね。おじさんたちがやっているものに駆り出されました。

――それで、山野ビッグ・バンド・ジャズ・コンテストで最優秀ソリスト賞を獲得するわけですが、すると注目されますよね。

そっち方面からは注目をされましたね。でも、ビッグ・バンドでやって行こうとはそれほど思わなかった。最初、高橋達也と東京ユニオンに声をかけてもらったんですけど、入りませんでした。学校をやめてもらわないと困ると言われたのと、その時はバリトン・サックスでの勧誘でしたので。そしたら、そのすぐ後に(原信夫と)シャープス&フラッツからも声がかかり、そちらは誘い方がすごく優しかった。ちょっと遊びにこないかという感じで行ったら、リード・アルトを初見で吹かされたんです。学校はやめなくてもよくて、いつの間にか入っていました。歌のサポートとかは、大学の1年の頃からやっていたんです。それで、3年生の終わり頃から、ビッグ・バンドの仕事もやるようになり、いろいろ並行してやっていました。

――その後、より広く知られるようになったのは、T-SQUARE加入したことが大きいですよね。

そうですね。シャープスは4年か5年やりました。そして、いろんなミュージシャンとも知り合ってバンドを作ったり、僕のソロを作るという話もあった時に、新たに誘われました。それで、どうするか相当考えましたね。バンドや伊東たけしさんのカラーもすごくあるし、入ったらコテンパンに言われるのは分かっていましたから。でも、それでまた活動の幅が広がる期待もありましたね。T-SQUAREをやっていた時は本当に忙しくて、他のことはできませんでした。

――T-SQUAREには、結構いらっしゃいましたよね。

7年いました。それだけいると、元に戻すのも大変でしたね。今更サポートに戻るというのも難しかったし、歳もとっていたし、結果自分でバンドをやるのがメインとなったんです。

――その流れで、B.B.STATIONも始めたわけですか。

B.B.STATIONというのは、T-スクエアをやめた直後に何かやらなかきゃとなったとき、以前はビッグ・バンドをやっていたし、そういうのを一度やってみようかとなったんです。でも、その後こんなに長いことやるとは思いませんでした。一回やって、10年ぐらいやっていないんじゃないかな。ただ、世の中、いわゆる5大ビッグ・バンド(シャープス&フラッツや東京ユニオンはその代表格)みたいなのがなくなってしまい、そんなこともあってか、ビッグ・バンドをやってくださいという話がちょこちょこきて、やることが多くなったんです。

――本田さんにとって、ビッグ・バンドの面白さというのはどんなところでしょう?

やはり、大人数でアナログにやる面白さはありますね。それから、実はフュージョンと似ているところがあると思うんです。アコースティックなジャズはテーマがあって、あとはずっとアドリブが続きますが、フュージョンはテーマがあった後も決まり事で進んでいく。全体で決まった中に自由なパートがあるという様式が、ビッグ・バンドと似ていると思います。ビッグ・バンドも大体譜面に書かれていて、構築さていますからね。僕はそういうものが好きなんじゃないかと思います。

――本田さんの中にあるプロデューサー、アレンジャー的な部分を出しやすいということもありますか。

ああ、それはあると思いますね。

――ところで、B.B.STATIONを始めるにあたり譜面はどうしたんですか。

もう大変でした。今でこそちょっとづつ(レパートリーを)足せばいいですけど、当時は一度に全部書きましたからね。ノウハウがなかったので、目茶苦茶時間がかかりました。8小節書くのに、まる1日かかったり。当時はコンピューターのソフトも使えなかったし、細く自分で書いて、それを写譜屋さんに出していました。ましてや、オリジナルが多かったですから、苦労も多かったです。

――他にビッグ・バンドがある中、B.B.STATIONの美点とはどういうものでしょう?

オリジナルしかやっていないというのは、あまり4ビートの曲がないということで、それは個性には繋がるかもしれませんね。B.B.STATIONはフュージョン〜ファンク系のビッグ・バンドということが特徴としてあり、それは奏者のピックアップにも繋がりますね。いわゆるジャズだけじゃない奏者を選んだりもしていますし。昨年はできなかったんですけど、ここのところはブルーノート東京さんでずっとやらしてもらっていますが、年々熟成が進んでいて、いい所で音楽ができていると思います。

――一昨年、ユニバーサルから『SAXES STREET』というリーダー作をお出しになっていますが、B.B.STATIONとして何か作品を出す予定はありませんか。

B.B. STATIONはDVDが出ます。2年前のブルーノート東京でのライヴをかなりちゃんと撮ったもの(2015年7月30日に収録)を、今年中に出す予定です。映像がちゃんとある方が面白いし、リオアリティがあっていいと思います。

2015 7.29 - 7.30 @BLUE NOTE TOKYO / MASATO HONDA B.B.STATION -Big Band Night-
photography = Takuo Sato

佐藤英輔(さとう・えいすけ)
音楽評論家。大学時代はロック・バンド一直線。ビッグ・バンドどころか、ジャズの経験なし。でも、ブルースをやるとき格好いいので、パーシー・ヒースの弾くブルース曲のラインをコピーしたりしていました。

RECOMMENDATION