リチャード・ボナのフォデラ・インペリアル | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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リチャード・ボナのフォデラ・インペリアル

リチャード・ボナのフォデラ・インペリアル

強力なグルーヴと超絶なテクニックを併せ持ったベーシストが、
運命の人との 出会いにも似たきっかけで手に入れた、
かけがえのない理想の楽器について語る

 アフリカ音楽はもちろん、ラテンやファンクなどのアフリカ起源の音楽、さらにはインドの音楽も網羅してしまう懐の広いアーティスト、リチャード・ボナ。ステージで愛用するのは、ニューヨークのブルックリンにあるフォデラ工房の、インペリアルという5弦ベースだ。今回は機内持ち込み制限の問題があり、「ワイフと同じ」と言うほど気に入っている愛機は持参できず、日本の代理店から同型の楽器をレンタルした。曲によって持ち替えたフレットレス(ボナの右側に写っている)も、ニューヨークで多くのベーシストたちの信頼を集める職人、マス日野が日本に置いてあるものを借りたという。

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 彼の「ワイフ」は明るい色のオリーブ材をトップに使用した楽器で、もとはアル・ターナーが注文したが好みに合わず、返品したものだった。しかし、それを試したボナはすぐに気に入ったという。「楽器との出会いは女の子との出会いと同じ。どうして好きかなんて説明できない。持った感触や木の鳴り、サスティーン・・・いろいろな要素が絡み合っているからね」

 フォデラの楽器はプリアンプ内蔵のアクティブ・タイプが基本だが、ボナのインペリアルはプリアンプを取り外している。「ピックアップも替えたりして、いろいろといじっているけれど、サウンドはあくまでも僕の指先から生まれる。だから、特定のサウンドを押し付けるようなプリアンプは必要ないんだ」

 今回のステージでは、ボスのマルチエフェクターME-50を使用していたが、ボリューム・ペダル兼チューナーとしてしか使わなかったという。ボナのベースの特長である劇的なダイナミクスも多彩な音色も、すべてはタッチのニュアンスだけで表現しているのだ。

instrument
ボナのライブでは欠かせない、ループを利用したボーカル・ソロ・パフォーマンスに使用するボスのRC-30

photography = Takashi Yashima
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Guitar magazine

Richard Bona(リチャード・ボナ)
1967年、カメルーンのミンタ村生まれ。3歳でバラフォン、8歳でギターを始める。16歳でジャコ・パストリアスのアルバムを聴いてベースに転向。22歳でパリに進出し、サリフ・ケイタやマヌ・ディバンゴなどと共演。マイク・スターンやジョー・ザヴィヌルなどの勧めで、28歳でニューヨークに移る。現在までに7枚のソロ作を発表。
坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストのインタヴュー、通訳を務める。また、ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊藤たけし、仙波清彦などとも共演している。

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