オータムジャズに寄り添う、豊穣の秋のタリアータ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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オータムジャズに寄り添う、豊穣の秋のタリアータ

オータムジャズに寄り添う、豊穣の秋のタリアータ

[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL OCTOBER MENU]THIS MONTH'S SPECIAL MENUエレゾ鹿モモ肉のタリアータ
北の大地へのオマージュ

今年もブルーノート東京の厨房に、北海道・十勝からジビエが入荷しはじめた。
10月はまず、届いたばかりのエゾ鹿を"タリアータ"で提案する。イタリアンの手法を交えつつ、
フレンチの繊細な流儀で供するひと皿が、軽めの赤、オータムジャズにそっと寄り添う。

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野生肉のワイルドな旨みと瑞々しさがリズミカルに展開する


"タリアータ"とは、イタリア語で「切り分けた」の意。どんな食材にも用いられる調理法だが、こと肉においては"薄さ"が要となる。素材の繊細さを楽しむためあえて火を入れ過ぎないよう低温で調理し、絶妙な薄さで供されるのだ。

今回長澤シェフがタリアータしたのは、北海道・十勝の食肉加工集団 ELEZO社の鹿肉。狩猟した直後速やかに下処理された、鮮度バツグンなエゾ鹿のモモ肉だ。3つの部位に分けられたこのモモ肉を58度の低温で約20分。芯温も一定の温度を保つように丁寧に火を入れる。調理後薄く切り出された肉の断面は、鮮度や身質の良さを物語るかのような美しい赤身色だ。

合わせるのは、ソース・オ・ポワブルヴェールと呼ばれる青粒コショウのソースにビネグレット加えたもの。ぴりりと爽やかな辛味・青みをほどよく効かせたソースが鹿肉の瑞々しさをさらに引き立てる。付け合わせは、国産きのこを各種。皿の上には、森の中を駆けめぐっていた鹿へのオマージュのように、十勝の森の原風景が描かれる。北海道産じゃがいもとセロリラーブのピューレや、ビーツとフランボワーズのコンディマン、シナモンとオートミールのクランブルを合わせて、リズミカルに展開する豊穣の秋のタリアータを味わいたい。

photography = Jun Hasegawa
text = Akari Matsuura

 

CHEF

 シェフ

長澤宜久(ながさわ・たかひさ)
'91年に渡仏し三ツ星「ラ・コートドール」他、各店で経験を積む。帰国後、'01年南青山「アディング・ブルー」、丸の内「レゾナンス」シェフ、2013年全店舗のシニアシェフに就任した。

《REPORT》「最高のジビエ」を求めて、北海道・十勝へ。

社員全員が料理人でハンター。狩猟から解体・熟成・食肉、加工・調理にいたる全行程を手がけるプロの食肉加工集団「ELEZO(エレゾ)」をご存知だろうか。長澤シェフが10年来「最高のジビエ」と信頼する「エレゾ」の工房を訪ねた。

ブルーノート東京でもお馴染みのジビエ。なかでもエゾ鹿は鮮度の良さ、食味の良さが印象的だ。聞けば、北海道・十勝のエレゾ社から毎年この時期になると入荷するという。中でも特に解体・加工が難しいされる「エゾ鹿」が得意な同社は、今風に表現すると「Forest to table(森から食卓まで)」。狩猟から調理までの全行程を手がける、極めて稀なプロ集団なのだ。長年懇意にしつつも、長澤シェフ未踏の地であるエレゾの拠点。北海道・十勝、豊頃町大津の工房を訪ねた。

エレゾ社の代表、佐々木章太さんは元々は料理人であり、実家が営むレストランを手伝うため十勝に帰郷した2004年にエレゾを起業。料理人時代に親交のあるシェフたちから、ジビエ解体の技術を褒められたことがきっかけだったという。

「当時は良質で状態のよいジビエが入手しづらい時代。そのことを嘆くシェフたちの声もよく耳にしていました。十勝で解体したエゾ鹿を贈った昔の仲間たちから、自分のレストランに卸してほしいと言われるようになり、そのニーズに応えるだけの意義を感じたんです」

エレゾでは狩猟の際、動物たちに極力ストレスを与えないよう首から上を狙って撃つ。そうすることで肉本来の旨みも残り、尊い命をいただくことへの意識も変わるという。また、ジビエは越冬のため脂肪を溜め込んだ秋冬の食材という印象が強いが、例えば夏のエゾ鹿は良質な水と牧草を摂っているので青味があって瑞々しく、笹を食べていれば赤みがあってさらに旨みが濃くなる。ジビエの風味を通じて季節の移ろいも感じることができるのだ。自然の恵み、エゾ鹿への情熱にほだされるように完成した、長澤シェフの「今月のひと皿」にご注目あれ。

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①十勝川が町の東端を南東に流れ、両側は丘陵性の段丘がある広大な大自然に囲まれた、北海道中川郡豊頃町大津「エレゾ社」。②鹿のモモを解体中。③鹿を丁寧に解体していく。
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④サラミ熟成庫。鹿、豚、牛、ブレンドなど全10種類のサラミを熟成。スタンダードで1ヶ月半、長期で半年熟成する。⑤、⑥生ハム熟成庫。エレゾ放牧豚の飼料は蒸したジャガイモ。穀類で飼料にする生産者が多いが、ジャガイモを餌にすることで雑味がなくなりピュアな筋繊維が仕上がる。また蒸すことにより、腸の消化を助け、免疫力アップにつながるという。広大な敷地には傾斜があり適度な運動量とストレスのない環境を豚に与えることができる。
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⑦、⑧当日、ご案内くださったエレゾ一部スタッフ。皆、狩猟免許を所得し、動物の命の尊さを感じ大切に生産し続けている。今年、設立11年目を迎えるエレゾのラボ。

photography =  Shohei Ninomiya
text = Akari Matsuura

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