ニック・ウェスト、ベーシストは紫のユニコーン | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ニック・ウェスト、ベーシストは紫のユニコーン

ニック・ウェスト、ベーシストは紫のユニコーン

プリンスをも魅了!
"歌うベーシスト"が3年ぶりの登場

 ファンク・レジェンドたちの技とスピリットを継承し、ユニコーンのように突進するベースの女神。ニュー・アルバムの発表を控えた奇才が、 亡きプリンスに代わってパープルの炎を燃やす激しくポップなステージ

text = Tsuyoshi Hayashi

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 男女問わず"歌うベーシスト"はかっこいい。例えば先日ブルーノート東京で初来日公演を行なったアデュリーン。エレクトリック・ベースを手にスラッピングを駆使して図太い低音をブリブリ鳴らしながら颯爽と歌う様に惚れ惚れした。彼女のようなファンク~ディスコ系ベーシストのパフォーマンスを見ていると、ブーツィー・コリンズやラリー・グラハム、ルイス・ジョンソン、マーカス・ミラーといったベーシストが思い浮かぶが、このニック・ウェストもそうした巨匠たちから影響を受けたベーシスト/シンガーだ。ブーツィーからは「ファンクのグルーヴを蘇らせた」と絶賛され、彼が運営するオンライン・スクール〈ファンク大学〉にゲスト講師として招かれたこともある。ファッション・モデルとしても活躍するスタイル抜群の彼女だが、ステージ衣装や髪型の奇抜さもブーツィー譲りだ。その雰囲気は、 Pファンク軍団のパーレットやブライズ・オブ・ファンケンシュタインにも近い。また、2014年2月の初来日公演ではパーラメントやプリンスの曲とともに、ラリー・グラハムのスラッピングでお馴染みのスライ&ザ・ファミリー・ストーン「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」を披露。ニックはそれを原曲のグルーヴを再現しながらフューチャリスティックなモードで奏でてみせた。全身から"ファンキー"が迸るような逞しく気高い女性なのだ。

 米アリゾナ州フェニックス出身のニックは、父親がギタリストだったこともあって13歳でギターを手にするが、高校生の時に聴いたマイケル・ジャクソンの「Wanna Be Startin' Somethin'」でルイス・ジョンソンが弾くベースラインに衝撃を受けてベーシストとしての道を志す。2011年に発表したソロ・デビュー・アルバム『Just In The Nik Of Time』ではエリカ・バドゥやジル・スコットに通じるメロウなネオ・ソウルもやっていたが、ライヴではAC/DCの曲も取り上げるなど、ハードなロックをやるパンクな側面もある。オリアンティらと共演した「My Re la t io nship」を含む2016年のEP『S a y Somethin』では、そうしたファンク・ロックなベースシストとしてのアグレッシヴなスタイルを強く打ち出していた。

 そんな彼女がブーツィーと並ぶアイドルでありメンターとして慕ってきたのが、2012年にジャム・セッションで初共演したプリンスだ。初来日公演ではプリンスに関するエピソードも披露し、ベースを魅力的に聴かせるためのコツを教わったことなども話していた(プリンスとのスタジオ・レコーディングは4曲あると言われている)。同公演ではプリンスの「Let's Work」で締めくくったほど、師匠への思いは強い。それから2年、プリンス急逝から2カ月後の公演となった2016年6月のブルーノート東京でのショウには、ニュー・パワー・ジェネレーションのドラマーだった名手ジョン・ブラックウェルを帯同。ステージではニック同様プリンスに見初められたアンディ・アロー「People Pleasure」(スタジオ版の演奏もブラックウェル)のカヴァーも披露し、アンコールでは湿っぽくならずにプリンス・トリビュートを行なったことも記憶に新しい。ブラックウェルとは日本人ギタリストのトモ藤田を加えたFunkalayaというユニットを組んでいたほどの仲であったが、2017年7月にブラックウェルが他界したため、現在は活動をストップしている。

 ステージではカラフルな衣装やヘアも目を引くニック。現在はプリンス・チルドレンである彼女らしく紫をシンボル・カラーとしているが、特にパープルのモホーク・ヘアは強烈で、ファンの間で「紫の一角獣のようだ」と言われていた。そんな声を受けて、実の姉妹であるニシェル・ウェストが書き、ニックとニシェルが2NWest名義でプロデュースしたのが、 2017年のシングル「Purple Unicorn」だった。ニックと同じくプリンスと共演した奇才ベーシストのモノネオンがギター・ソロを披露し、ジル・スコットやジャネット・ジャクソンのサポートでお馴染みのリル・ジョン・ロバーツがドラムを叩いたグルーヴィでポップなディスコ・ファンク。亡きプリンスへのトリビュートとも受け取れるこの曲は、第16回インディペンデント・ミュージック・アワードの「ファンク/フュージョン/ジャム部門」で受賞の栄冠に輝き、ニックの存在は以前にも増して広く知れわたることになる。同年初めには「Bottom Of The Bottle」も公開しており、こちらもゴキゲンなファンク・ジャムだった。

 ラリー・グラハムやカルロス・サンタナ、メイシー・グレイらがゲスト参加しているとされるニュー・アルバムの発表も待ち遠しいが、この7月、ニックが3年ぶりにブルーノート東京のステージに立つ。今回で3度目の来日公演。来たる新作からの曲も披露されるはずのライヴでは、過去2回の公演と同じくヒュービー・ワンがギター・カッティングでニックのファンクに彩りを加えてくれることだろう。バック・ヴォーカルには、ヒュービーとともに「Purple Unicorn」のミュージック・ヴィデオに出演していたアンバー・ザウアー(米NBCのタレント発掘番組〈The Voice〉にも出演)や、ジュディス・ヒルのバック・シンガーも務めるマイラ・ワシントンが同行。彼女たちもニックの力強いヴォーカルとヘヴィなベースに華を添えてくれるはずだ。大暴れする紫のユニコーンをお見逃しなく。


2017年のシングル「Purple Unicorn」は、第16回インディペンデント・ミュージック・アワードの「ファンク/フュージョン/ジャム部門」で受賞の栄冠に輝いた。

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前回はプリンスのバンド"ニュー・パワー・ジェネレーション"のドラマー、ジョン・ブラックウェルとの共演も話題に。"プリンスのために、立ち上がって踊ろう!"というニックの声にオーディエンスが応え、場内は総立ちとなった。2016/6/28~6 /29 @Blue Note Tokyo (photo by Tsuneo Koga)


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『Purple Unicorn』

(Nik West )※シングル



林 剛 (はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDの解説を含め、様々なメディアに寄稿。今年は現行R&Bのチェックに加えて、創立60周年を迎えたモータウン、ニューオーリンズの新世代アクトに注目している。

NIK WEST
2019 7.24 wed., 7.25 thu.

[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/nik-west/

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