ジョイス・モレーノ、最新インタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ジョイス・モレーノ、最新インタビュー

ジョイス・モレーノ、最新インタビュー

待望の来日公演を目前に控え、
ジョイス・モレーノの最新インタビューが到着!

いよいよ8月27日(土)からはじまる来日公演へ向けて、ジョイス・モレーノの最新インタビューが届きました。40年以上に渡るこれまでのキャリアを振り返るとともに、リリースされたばかりの最新アルバムについても深く語って頂いた貴重なインタビュー。間もなく迫ったライブにも期待が高まります。

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★クリエイティブに音楽を生み出し続ける秘訣

ーー「JOYCE」でデビューしてからすでに40年以上を数えていらっしゃいますが、クリエイティヴィティ―を絶やさぬ秘訣は何でしょうか?

とにかく...続けること!おそらく、ずっと音楽から感動を受け続けていることが秘訣なんじゃないかしら。何年経っても、音楽と私との関係はとても情熱的なものなんです。私はいつだって、音楽から更なる感動を受ける準備は出来ています。

ーー長いアーティスト活動の中で変化してきた点、逆に変わらない点があれば教えてください。

多分、時代とともに楽曲のテーマは変わってきたかもしれません。若いときは、とにかく自分について書きたがるものです。そして成長していくとともに、自分の周りのことを見つめはじめ、そういったことを書きたくなるものなの。でも、情熱とやる気は絶やしたことがありません。そして、自分の長い経験から、この二つが音楽活動の継続における秘訣だということも信じてやってきました。

ーー多くの来日公演を経てきていらっしゃいますが、日本のファンに対して特別な感情はありますか?また、日本への印象を教えてください。

私にとって、日本は旅行するのも演奏するのも大好きな場所です(残念ながら、いつもいそがしくて旅行の部分は満足にこなすことが出来ないままでいるのですが)。例えば、個人的には行ったことがないけれど、日本を訪れる友達にはいつも旅館に行くことをとてもオススメしているんです。その後、いつだってとても感謝されるわ。日本のモダン・カルチャーも大好きです。なかでも村上春樹はお気に入りの作家。

そして、日本には優れたジャズ・ミュージシャンもたくさんいますよね。最近の日本映画も素晴らしいものが多いし、日本のデザインに関しては言うまでもないですね。なるべく全てのものに追いつこうとしているのですが、あまりにもたくさんありすぎて時間が足りないこともあるわ...。日本のファンの皆さんは、私の音楽をとても素敵に受け止めて下さっていることも知っています。私の音楽に自然と反応してくれて、本当に温かく受け入れてくれていますよね。なかには、日本のファンはあまり温かくないというミュージシャンもいるけれど、私が生きる証人になるわ、「そんなことはない」ってね。

★最新作『Palavra e Som』へ込めた想い

ーー今回のアルバムは「音楽と言葉」という意味が冠されていますが、「音楽」と「言葉」には、どんな意味が込められていますか?

今回のアルバムのコンセプトは「言葉(=palavra)」と「音(=som)」の関係性について、ということなんです。とくに表題曲は、1人の人間がどうやって曲を創りだすのか、クリエイティヴなプロセスがどんなものか、ソングライターがいかに苦心して、シンガーの口の中で言葉を「踊らせ」ようとしているか、最適な言葉が降りてくるまでその曲を眠らせておかねばならないかなどについて歌っています。

ーーリスナーにはどんな風にこの作品を受け止めてほしいと思っていますか?

何と言えばいいかしら?本作は情熱、愛情、そして正直な気持ちが組み合わさって出来たもの。皆さんの心に届けばいいなと願っています。

ーーアルバムに収録されている「FORROBODÓ DAS MENINAS」は"昨今、ブラジルでは新たなフェミニズム運動が機運を高めています。この曲は、若くて勇気のある新たな世代のフェミニストたちに向けて作ったもの"と事前のコメントを寄せて下さっていますが、現代のフェミニズムに関してお考えを聞かせて頂ければと思います。例えば、あなたが「フェミニーナ」を歌ってきたころから状況は変わったと感じることはありますか?

「フェミニーナ」がリリースされた時代に比べると、ブラジルでは、少しばかり状況はよくなっていると感じております。でも、そんなに変わったとは思いません。実際のところ、仕事の面で我々を取り巻く環境はよくなりましたし、表現の自由も得られたと感じます。しかし、女性が軽視されてしまうことに関しては、ブラジルだけではなく、世界共通の文化による大きな問題があることも事実です。我々は人間として、市民として、尊重されるべきなのです。レイプ被害や、ジョークの的になること、ハラスメント、男性との給与格差などは今でも溢れていること。車の運転や普通の職業に就くことも許されていないような、女性に対して基本的な権利が与えられていない国だってあるほどです。

かねてより私は、将来的に、この地球上において人種や社会的な不平等が解消されるときがきても、男性と女性間の抜本的な衝突は無くならないだろうと言ってきました。そして、こうした衝突は往々にして家庭内で起こるとも。だから、今日においてもフェミニズムの精神は大切なのです。近い未来、劇的に状況が変化するような兆候は感じられません。だからこそ、私は昨今における若い勇敢なフェミニストたちを讃えたくなるのです。彼女たちは素晴らしい偉業を成し遂げてくれており、若い世代の男性たちに、新たな道義心を植え付けてくれています。そして、女性を大事に扱い、尊敬し、彼らと同等に扱っている素晴らしい男性たちがいることも確かです。我々の世界に必要なのは、こうしたパートナーシップだと思います。

ーー若い世代のリスナーにメッセージをお願い出来ますか?

このメッセージは、私の音楽を聴いてくれる若いリスナーだけではなく、世界中の若い世代に伝えたいわ。今日、私たちは世界におけるドラマティックな変化を目の当たりにしています。年長者が自身の経験を通して伝えたいことに耳を傾け、すべての世代は一つなんだと気付いてもらえればと思います。作家である私の友人が、こんなことを言っていました。「あなたの世代は」と聞かれたら、「私の世代、それはすなわち今、生きている人全員を指す世代です」と答えている、と。本当にその通りだと思います。私たちは世代の関係なく、皆同じ一つのボートに乗っているのです。

photography = Yuka Yamaji
interview & text = RamblingRECORDS

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