昨年も反響を呼んだ"INTRODUCING NASHVILLE"がふたたび日本へ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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昨年も反響を呼んだ"INTRODUCING NASHVILLE"がふたたび日本へ

昨年も反響を呼んだ"INTRODUCING NASHVILLE"がふたたび日本へ

※『COUNTRY MUSIC ASSOCIATION presents "イントロデューシング・ナッシュビル"』公演は、アーティスト側と協議のうえ、公演を中止することとなりました。本公演を楽しみにされていました皆さまには、深くお詫び申し上げます。

北米でいま最もエキサイティングな
4名の実力派シンガーソングライターが集結!

 昨年3月の第1回の大好評を受け、今年も「INTRODUCING NASHVILLE」がやってくる。カントリーミュージック協会(CMA)が選りすぐった若手実力派のシンガーソングライターたちが自作曲を披露し合う特別なショウケース・ライヴだ。

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 テネシー州ナッシュビルはカントリー音楽界の首都として知られるが、ソングライターの街でもある。ここでは歌で人びとの物語を語るという伝統が常に大事にされてきた。平易な言葉を紡いで人生の現実を描くソングライティングの技巧が何よりも重視されているのだ。「INTRODUCING NASHVILLE」はその事実をよく教えてくれる機会となるだろう。

 また、ナッシュビルにはカントリー音楽だけでなく、あらゆる種類の音楽がひしめく。例えば、ジャック・ホワイトがこの街の顔の一人となって久しいが、面白いことにそのライバル的存在でもある人気ロック・バンド、ブラック・キーズもここを拠点にしている。その片割れのダン・オーバックはこの街に構えたスタジオでプロデューサーとしても大活躍中で、それは優れたソングライターと腕利きのミュージシャンをたくさん抱える街という地の利のおかげでもある。ダンがプロデュースしたマーカス・キングの最新作のタイトル通り、ナッシュビルはまさに音楽界の「エル・ドラド(黄金郷)」なのだ。

 だから、ナッシュビルのアーティストはカントリー音楽界を活動の場としても、特に若い世代はロックからヒップホップまでを取り込んだ幅広い音楽性を持つ。今年の出演者、アビー・アンダーソン、キャサディー・ポープ、ミッチェル・テンペニー、ニコ・ムーンもまさにそんなアーティストたちである。

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 アビー・アンダーソンは17歳で歌手を目指してナッシュビルにやってきた。まだ20代前半の若さだ。テキサス州でカントリー音楽を聴いて育ったが、5歳から渋々習っていたピアノを続ける気にさせたのは、初めて自分で買ったアルバムだったノラ・ジョーンズや親に聞かされたレイ・チャールズやアレサ・フランクリンのようなピアノを弾いて歌うソウルフルな歌手たちだという。

 18年にメジャー・デビューとなるEP「アイム・グッド」を発表し、次代のスター候補として多くのメディアに取り上げられる。パンチのある歌唱も聞かせるが、"恋愛を急いで進めないで。自分を大切に"と歌うバラードの「メイク・ヒム・ウェイト」が女性の共感を呼んでヒットした。また、黒人カントリー歌手のジミー・アレンとデュエットした映画『アリー/スター誕生』の「シャロウ」のカヴァーも話題だ。アルバムの発表が待たれている。



 もうひとりの女性歌手キャサディー・ポープはフロリダ州出身で、ソニーからデビューしたポップ・パンク・バンド、ヘイ・マンデーのヴォーカルという前歴を持つ。12年にバンドを解散。人気オーディションTV番組「ザ・ヴォイス」に挑戦し、見事にシーズン3の優勝者となった。13年に『フレイム・バイ・フレイム』でソロ・デビュー。カントリー・アルバム・チャートの首位を獲得し、総合アルバム・チャートでもトップ10入りした。16年にはクリス・ヤングとのデュエット「シンク・オブ・ユー」がNo.1となり、グラミー賞にもノミネートされる。

 19年に待望の2作目『ステージズ』を発表。自ら"新しい章"と呼ぶアルバムには、メジャー・レーベルを離れるなど、公私で多くの変化のあった数年の体験が反映されている。



 ミッチェル・テンペニーは生まれも育ちもナッシュビルだ。祖母が大手音楽出版社で受付嬢から社長にまで上り詰めた業界人で、幼い頃にそのオフィスに遊びに行って、ソングライターという職業を知った。13歳からギターを弾き始め、音楽ビジネスの学位を獲る。15年のインディ・レーベルからのアルバムには、ブルーグラスのスティールドライヴァーズから、キッスやコーンのメンバーまで多様な顔ぶれが参加していた。10代の頃はハードコア・パンク・バンドにもいたそうで、音楽の引き出しは多いようだ。

 18年にメジャー・デビュー・アルバム『テリング・オール・マイ・シークレッツ』を発表。「ドランク・ミー」がNo.1に輝き、たちまち注目のアーティストとなった。そのヒット曲は、失恋を忘れようと酒を飲むというカントリー音楽定番の"ビールの中の涙(tear in beer)"風の曲を装って、実は"君ほど僕を二日酔いにさせるものはない"と、恋人が去ってからずっとしらふだと歌うひねりの効いた曲である。



 ニコ・ムーンはヒップホップの影響もとりこんだサウンドで話題のアーティストだ。ジョージア州出身で、南部ヒップホップの中心地アトランタと人気カントリー歌手のアラン・ジャクソンの出身地とのちょうど中間で育った。だから、彼の音楽は"ベースとドラムスはアトランタで、それ以外は(故郷の田舎町)ダグラスヴィル"という考えで作られている。19年の夏の賛歌と人気を呼んだデビュー曲「グッド・タイムズ」も、打ち込んだリズムとドブロなどのアコースティック楽器を組み合わせたサウンドが受けている。

 彼自身の作品はまだ2月に出たばかりのEP「グッド・タイムズ」だけだが、ソングライターとしては既に実績がある。15年以降ずっと、ポップ・カントリーとサザン・ロックをミックスした音楽で人気の高いアトランタのバンド、ザック・ブラウン・バンドのヒット曲の多くを共作してきたのだ。



 さて、「INTRODUCING NASHVILLE」は昨年同様に「ソングライターズ・イン・ザ・ラウンド」形式で行われる。つまり、4人が一緒に舞台に立ち、自作曲にまつわる逸話や作詞作曲の裏話を披露しながら、順に歌っていく趣向だ。昨年はリンジー・エルがブランディー・クラークとデヴィン・ドーソンの曲でもギターを弾き、お返しにデヴィンがハーモニーをつけるなど、即席バンドのようになって、お互いを助け合うところも楽しかった。今年も同じような光景が見られるはず。アコースティック楽器だけの親密な空間で歌の物語とその語り口をたっぷり味わえる特別な機会を見逃さないでほしい。


五十嵐 正(いがらし・ただし)
音楽評論家。社会状況や歴史背景をふまえたロック評論からフォークやワールド・ミュージックまでを執筆。著書『ジャクソン・ブラウンとカリフォルニアのシンガー・ソングライターたち』『スプリングスティーンの歌うアメリカ』他。今年2月に翻訳を手がけたウィルコのリーダーの回想録『ジェフ・トゥイーディー自伝 / さあ、行こう。ウィルコと音楽の魔法を探しに』が発売になった。

LIVE INFORMATION

COUNTRY MUSIC ASSOCIATION presents "INTRODUCING NASHVILLE"
featuring Abby Anderson, Niko Moon, Cassadee Pope & Mitchell Tenpenny


2020 3.30 mon. ブルーノート東京
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/cma/

<Member>
アビー・アンダーソン(ヴォーカル、ギター、ピアノ、キーボード)
ニコ・ムーン(ヴォーカル、ギター)
キャサディー・ポープ(ヴォーカル、ギター)
ミッチェル・テンペニー(ヴォーカル、ギター)



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