モーガン・ジェームス、メンフィスへの憧れを語る | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

モーガン・ジェームス、メンフィスへの憧れを語る

モーガン・ジェームス、メンフィスへの憧れを語る

※モーガン・ジェームス公演は、アーティスト側と協議のうえ、公演を延期することとなりました。本公演を楽しみにされていました皆さまには、深くお詫び申し上げます。

米エンターテインメント界で活躍!
才色兼備のシンガーが届けるステージは
心揺さぶるメンフィス・ソウル

 ベリー・ゴーディJr.に見出され、プリンスのお墨付きを得たモーガン・ジェームス。メンフィス・ソウルにオマージュを捧げた新作『Memphis Magnetic』を携えて再来日する歌姫が目指すソウル・ミュージックとは?

interview & text = Tsuyoshi Hayashi
interpretation = Kazumi Someya

READ MORE

 アイダホ州生まれで、各地を転々としながら育ったモーガン・ジェームス。NYのジュリアード音楽院で学び、20代後半でブロードウェイの舞台に立った彼女は、モータウンの創設者であるベリー・ゴーディJr.に見出され、2013 年に『Motown:The Musical』でティーナ・マリー役に抜擢されたことで名を上げた。目一杯にエモーションを込めて歌う姿は、確かにティーナを思わせる。

20200311MorganJames_image01.jpg

「ティーナの後にドリス・デイを演じたこともあった。数多くの舞台を経験してきたけど、アメリカの音楽史に名を残すゴーディ氏と出会い、彼に育てられたことは特別なこと。曲作りやレコーディングを始める前にも大きな支援をしてもらった。知り合えた私は幸運です」

 幸運はそれだけではない。2014年にプリンス「Call My Name」のカヴァーがスマッシュ・ヒット。プリンス本人の耳にも届き、エピックから出したオリジナル・アルバム『Hunter』(2014年)の新装盤に追加収録されたのだ。

「(当時エピックのトップだった)LAリードやスタッフに"プリンスと連絡を取ってみてほしい"とお願いしていたんです。けれど、誰もが彼の返事は"ノー" だと思っていた。プリンスは自分の曲がカヴァーされるのを好まないことで有名でしたから。でも、LAリードがプリンスに曲を送ったらとても気に入ってくれて、祝福されたのです」

 モーガンは、そのプリンスに憧れるディアンジェロのファンでもあり、2015年に自身のYouTubeチャンネルで『ブラック・メサイア』を全曲カヴァーしたパフォーマンス動画を公開したこともある。その高評を受け、2016年にはジョニ・ミッチェルの『ブルー』、 2018年にはビートルズの『ホワイト・アルバム』を全曲カヴァーしたアルバムを発表。そもそも2012年の歌手デビュー作がニーナ・シモン・トリビュートのライヴ盤だったモーガンは、常に憧れの音楽を自分の一部にしたいと思っているのだ。

 そして、この2月にリリースする約3年ぶりの新作オリジナル・アルバム『Memphis Magnetic』はメンフィス(・ソウル)がテーマ。以前モータウンのミュージカルに出演していた彼女が、今度はメンフィス・ソウルの名門であるスタックスやハイの音楽にオマージュを捧げている。しかも、ハイ・サウンドを支えたホッジズ兄弟(チャールズとリロイ)も招いているのだがら本格的だ。

「アル・グリーン、アン・ピーブルズ、オーティス・レディング、サム&デイヴには憧れがあります。メンフィスは夫(ジャズ・ギタリストのダグ・ワンブル)の故郷だし、ソウル・ミュージックの偉大なる故郷であり起源のひとつでもありますから。以前から夫と私は、NYとは違う場所でアルバムを録音したいと思っていたんです。鍵となるのは優れた曲作りとアレンジ。それでホッジズ兄弟には、その魔法をかけてもらいたかった。個性的な音とヴァイブスの持ち主で、数々の名作で演奏してきた人たちだから、2曲とはいえ共演できて本当に光栄でした」

 録音スタジオは、新作のタイトルにもなったメンフィス・マグネティック・レコーディング。ソウル・ミュージック黄金期の雰囲気を再現すべく、すべてヴィンテージ機材を使い、アナログ・テープに録音したという。

「テープへの録音は私にとって新しい経験で、完璧主義な私からすると、とても厄介でもありましたが、その瞬間の嘘のなさを受け入れることができた気がします。アルバムの音源の多くが一回目のテイクにして過不足のないものになった。これは自慢に思うところですね」

 ライアン・ショウとデュエットした先行曲「I Don't Mind Waking Up (To A Love This Good)」は、オーティス・レディングとアレサ・フランクリンになりきったような60年代スタックス風のバラード。同シングルのジャケットに写るモーガンは、昔メンフィス録音のアルバムを出したダスティ・スプリングフィールドを彷彿させる。



「ライアンとは『Motown: The Musical』で共演した時に知り合って仲良くなりました。世界有数のシンガーにして最高の友人です。今回のアルバムに向けて一緒に曲を書いたのですが、あのデュエットの出来栄えは本当に誇らしい! お馴染みの要素を大切にして、当時のスタイルに忠実であることを心がけました。アートワークも同じで、私が身にまとっているものはすべて60年代のヴィンテージ。偉大なアーティストたちと交信するにあたっては、正統であることにこだわりたかったのです」

 思えば2年前の初来日公演でも、スタックス風の演奏をバックに、デビュー時のマライア・キャリーに通じるソウル・ヴォーカルを聴かせたモーガン。ソウル・ミュージックについて「苦難と傷心を経て生まれる勝利であり喜び」と語る彼女は今回もまた、ブロードウェイで鍛えた強靭な喉で聴き手の感情を揺さぶってくれるだろう。


20200311MorganJames_disc01.jpg

『Memphis Magnetic』
(Morgan James)
※2020 2.7発売予定

機材はヴィンテージ、録音はアナログ・テープ、そしてメンフィスの録音スタジオと、徹底して作品作りにこだわった本作は必聴。


林 剛(はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDの解説を含め、様々なメディアに寄稿。メンフィスは自分にとっても心の故郷。近いうちに再訪したい。 2020年代も新しい音楽との出会いに期待しています。

MORGAN JAMES Memphis Magnetic Tour
モーガン・ジェームス Memphis Magnetic Tour
2020 3.11 wed., 3.12 thu.

[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:15pm Start9:00pm

20200311MorganJames_image02.jpg
公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/morgan-james/

RECOMMENDATION