スナーキー・パピー(GroundUP)とリンクするアーティストがこの春、相次いで来日 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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スナーキー・パピー(GroundUP)とリンクするアーティストがこの春、相次いで来日

スナーキー・パピー(GroundUP)とリンクするアーティストがこの春、相次いで来日

※ブルーノート東京で開催予定でした『ビル・ローレンス・トリオ』公演は、3月18日に発表された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部による「水際対策強化に係わる新たな措置」の決定に伴い、アーティスト側と協議のうえ、公演を延期することとなりました。本公演を楽しみにされていました皆さまには、深くお詫び申し上げます。

※コットンクラブで開催予定でした『FORQ』公演は、アーティスト側と協議のうえ、公演を延期することとなりました。本公演を楽しみにされていました皆さまには、深くお詫び申し上げます。

"スナーキー・パピー文化圏"の息吹きを感じる3公演

 コリー・ヘンリー&ザ・ファンク・アポストルズ、FORQ、ビル・ローレンス・トリオ。
この春、スナーキー・パピーとGroundUPに関わりのある3組のアーティストが、ブルーノート東京と丸の内コットンクラブに相次いで登場。世界最強音楽コレクティヴの多彩な世界を体験したい。

Text = Koji Murai

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 今や世界で最も注目され、影響力も大きい"音楽集団"スナーキー・パピー。2004年にマイケル・リーグ(ベース他)を中心としてノース・テキサス大学で結成され、これまでのライヴやレコーディングに関わってきたメンバーの総数は50人を超えると言われているこの集団は、アメリカのみならず世界各地のさまざまな音楽を柔軟かつ大胆に採り込んだ音楽を精力的に発信し、グラミー賞をはじめとする多くの賞を受賞している。また、彼らは自分たちのレーベル〈GroundUP〉を持ち、スナーキー・パピーだけではなく、彼らに関連したさまざまなアーティストの作品もリリースしている。

 この春、スナーキー・パピーとGroundUPに関わりのある3組のアーティストが、ブルーノート東京と丸の内コットン・クラブで立て続けにライヴを行うことになった。

CORY HENRY & THE FUNK APOSTLES
@Blue Note Tokyo

 ひとつ目は、‪3月3日、4日ブルーノート東京でのコリー・ヘンリー&ザ・ファンク・アポストルズ。ヘンリーはハモンド・オルガン奏者にしてヴォーカリストで、ゴスペルとファンクをベースとしたパワフルなパフォーマンスは圧巻。昨年10月の日本公演も大評判だった。ザ・ファンク・アポストルズを結成して2018年にリリースしたアルバム『Art of Love』のソウルフルなサウンドが、ステージではさらにパワーアップされるはず。

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FORQ
@Cotton Club

 続いては、3月5日から7日、丸の内コットンクラブでのFORQ(フォーク)の公演だ。スナーキー・パピーの中心人物マイケル・リーグと、キーボード奏者ヘンリー・ヘイを中心に2014年に結成されたこのバンド、今回の来日メンバーは、ヘイ(キーボード)、クリス・マックイーン(ギター)、ケヴィン・スコット(ベース)、ジェイソン"JT"トーマス(ドラムス)の4人。この中ではクリスとJTがスナーキー・パピーのメンバーで、最新作『Four』と同じ顔触れだ。4人ともヴァーサタイルな音楽性と見事なテクニックを持ったミュージシャンだけに、ジャズ、ロック、エレクトロニック・ミュージック、ファンクなどの要素をミックスしたハイブリッドなステージを期待しよう。

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BILL LAURANCE TRIO
@Blue Note Tokyo

 そして4月4日、5日は、プルーノート東京でビル・ローレンス・トリオのライヴだ。スナーキー・パピーの創設メンバーのひとりであるローレンスは、近年はイギリスを本拠とした、リーダーとしての活動が多いようだ。来日メンバーは、ローレンス(ピアノ、キーボード)、ジョン・ハーヴィー(ベース、シンセベース)、マリウス・アレクサ(ドラム)で、同じメンバーによるアルバム『Live at Ronnie Scott's』の国内盤が3月に発売が予定されている。

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 こうして今回来日する3つのユニットを見ただけでも、スナーキー・パピーという"集団"の驚くべき多様性が分かるだろう。ゴスペル、ファンク、R&Bなどブラック・ミュージックの色合いが強いコリー・ヘンリー、最先端のジャズ、ロック、エレクトロニック・ミュージックを重層的に提示するFORQ、リリカルなジャズ・ピアニストでありつつ、シンセサイザーを駆使したクールなエレクトリック・ジャズも聴かせるビル・ローレンス。

 しかし、スナーキー・パピーの幅広く深い音楽性は、それだけにとどまらない。70年代フュージョン、ジャズ、ビッグバンド、カリブ海や中南米の音楽全般、グナワなどの北アフリカ音楽、西アフリカの音楽、デヴィッド・クロスビーやベッカ・スティーヴンスらとの共演に見られるフォーキーなアコースティック・サウンドなど、ありとあらゆる地域とジャンルの音楽にアクセスし、それらをパズルのピースのように組み合わせて、スナーキー・パピーの音楽は作られているのだ。

 自分たちのレコード・レーベルからレコメンドする音楽をリリースし、大規模な音楽フェス「GroundUP MUSIC FESTIVAL」を開催し、スナーキー・パピーは新たな"音楽の場"を作り上げて拡大する、という試みにも積極的だ。


●GroundUP MUSIC FESTIVALのダイジェスト映像。多彩な出演者には、ビル・ローレンスやデヴィッド・クロスビーと共演するベッカ・スティーヴンスの姿も。

 そして何より素晴らしいのは、彼らの音楽がどれも"今、最もイキのいい現在進行形の音楽"だ、ということ。コリー・ヘンリー、FORQ、ビル・ローレンスのライヴを立て続けに体験することで、私たちはポジティヴな力と多様性にあふれた、"スナーキー・パピー文化圏"の息吹きに触れることになるはずだ。


村井康司(むらい・こうじ)
音楽評論家。1958年北海道生まれ。著書に『あなたの聴き方を変えるジャズ史』『現代ジャズのレッスン』『JAZZ 100の扉』などがある。

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