【スペシャル・インタビュー】SAM GREENFIELD | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【スペシャル・インタビュー】SAM GREENFIELD

 【スペシャル・インタビュー】SAM GREENFIELD

サム・グリーンフィールドがたどる
J-フュージョンの新しい航路

1992年、フィラデルフィア出身。音楽一家に育ち、6歳でサックスを始めたサム・グリーンフィールド(sax)。コリー・ウォン(g)やデイヴ・コーズ(as)など、ファンク、フュージョン系アーティストとの共演を重ねながら、2021年にソロ・デビューして以来、精力的に作品を発表してきた。2025年には、J-フュージョンの影響を受けた最新作『WORST OF SAM GREENFIELD』をリリース。初めて日本を訪れるサムに、2日間にわたるステージへの意気込みと、J-フュージョンを「発見」するに至ったきっかけを聞いた。

interview & text = Ken Kobayashi
cooperation = Sax World

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――3月のブルーノート東京のライヴは、初来日公演となります。

実は、日本に来ること自体が初めてなんだ!ブルーノート東京でデビュー戦ができることに、すごく興奮しているよ。

――J-フュージョンに造詣が深いのに、訪日が初めてとは意外です。

僕たちの世代は、日本のアニメーションやゲームで育ったようなものだからね。インターネットのおかげで、その国に行かなくても芸術や文化を学ぶことはできるけれど、日本にはずっと来たかった。本当にうれしいよ。

――同行するバンド・メンバーについて教えてください。

どのメンバーも、フィラデルフィアやニューヨークで一緒に演奏してきた仲間だよ。親友が最高のミュージシャンであるというのは、本当に幸運なことだと思っている。ラッセル・ゲルマン(g)はフィラデルフィア時代のルームメイトだし、ジャスティン・スウィニー(ds)はウェディング・バンドで一緒だった。マット・ウォン(key)は何人かの友人から推薦された優れたテクニシャンで、ザック・ギーズ(b)はまだ24~25歳。才能ある若手で、インスタグラムで見つけて連絡を取り、一緒に演奏するようになった。最新作のレコーディング・メンバーでステージに立てるのが、とても楽しみだ。それと、今回は、ホーンセクションとして日本在住のジョー・モッター(tp)、ヨシオ(tb)、アンディ・ウルフ(sax)が参加してくれる。ジョーのインスタグラムを見る限り、彼は今まで聴いた中でも指折りにクレイジーなトランペット奏者の一人だよ。3人と共演できることもすごく楽しみだよ。

――どんなステージになりそうでしょうか。

2日間で合計4ステージあるから、直近の3作品『Sam Greenfield Sucks』『Sam Greenfield Rules』『WORST OF SAM GREENFIELD』を中心に、各ステージでできるだけ違う曲を演奏しようと考えている。ぜひ楽しみにしてほしい。

――新アルバムを聴いて、とても驚きました。全体的なサウンドスケープは過去作と地続きでありながら、私の世代(50代)にはどこか懐かしさも感じられ、日本フュージョン全盛期である70年代後半~80年代のサウンドを彷彿とさせます。その象徴が、カシオペアと高中正義さんへのリスペクトを込めた「Casionaka」でしょう。あなたがニューヨークにいながら、J-フュージョンを「発見」したきっかけを教えてください。

▪︎Sam Greenfield - CASIONAKA (Official Music Video)

きっかけは2021年ごろ、何かの演奏動画をインスタグラムに投稿したときに、「T-SQUAREみたいだ」というコメントをもらったことなんだ。それでT-SQUAREを調べて聴いてみたら、人生が変わった。30歳になるまで知らなかった音楽の扉が、突然開いた感じだったね。「Casionaka」は、カシオペアの「Asayake」と「Looking Up」に影響を受けて作った曲だ。

▪︎CASIOPEA 3rd 「ASAYAKE」

――33歳のあなたにとって、J-フュージョンの魅力は何だと思いますか。

説明するのは難しいけれど、ひとつ挙げるとすれば、複雑なハーモニーかな。その和音が僕をすごく気持ちよくさせてくれる。そして、そこにウルトラ・キャッチーなメロディがあるのが特徴だね(笑)。

――2025年には、高中正義さんがLAで行ったライヴがソールドアウトとなり、大きな話題になりました。観客の多くが在住日本人ではなく、アメリカ人だったそうです。アメリカに住んでいて、J-フュージョンの盛り上がりを感じることはありますか。

インターネットの世界では、こうした現象はアメリカに限らず、世界中で起こり得ると思う。誰かが「これは良い」と感じたものに、誰もがアクセスできる時代だからね。今回は、新しく価値のあるアートをネット経由で発見した、という側面が大きいと思う。一方で、アメリカの政治状況を見ても分かるように、予測不能で混沌とした現代社会を生きる僕たちにとって、80~90年代の音楽にノスタルジックで平和なものを求める気持ちもあるのかもしれない。理由はひとつではないと思う。

――改めて、あなた自身の音楽はどのようなジャンルに分類されると思いますか。フュージョンでしょうか、ファンクでしょうか、それともポップスでしょうか。

自分でも定義するのは難しいね。たくさんの要素を、ひとつの箱に入れているような感覚だから。ジャズをルーツにはしているけれど、「複雑なハーモニーとキャッチーなメロディ」を基準にした音楽、と言えるかもしれない。以前は「Banana Song」や「Daddy Bezos」のようなヴォーカル曲を書くのが好きだったけれど、最近はインストゥルメンタルを作曲することが、いま一番楽しい。そして、リスナーもインスト音楽を楽しむようになってきている、という手応えを感じている。ジャンルで言えば、ジャズ/フュージョンのフィールドになるのかもしれないね。

▪︎SAM GREENFIELD | BANANA SONG

――「Banana Song」ではバナナのかぶりものをし、歌詞も冷凍バナナについて歌うなど、あなたの作品には一貫したユーモアがあります。その点について教えてください。

世界中の全員がジャズを好きだと思う? 思わないよね(笑)。ジャズを本当に好きな人は、全人類の中でもごくわずかな割合だ。でも「笑うこと」はどうだろう。地球上のほとんどの人は、笑うことが好きだよね。その「笑い」への入り口が、ジャズを楽しむ喜びへの架け橋になればいいと思っている。だから、自分の作品にコメディやユーモアを取り入れない手はない。僕はコメディが大好きだし、人を笑わせるのも大好きなんだ。

――実は日本では、特に若手ミュージシャンの間で、あなたは一目置かれる存在になっています。確かな演奏技術と、キャッチーでファンキーな楽曲、そのギャップやユーモアが、目指すべきミュージシャン像として映っているのかもしれません。音楽を続けている人へ、アドバイスをもらえませんか。

一人で練習する時間と、人に会う時間を分けることだね。外に出て、人に会って、ジャム・セッションに参加することだと思う。「まだ準備が足りない」なんて思っていたら、準備が完璧になる日は一生来ない。まずは3曲のジャズ・スタンダードを覚えて、それをコールして演奏し、家に帰ってまた次の曲を覚える。それでいいんだ。よく「1万時間の法則」って言うよね。僕は、その1万時間の9割を、部屋にこもることではなく、人と会うことに使ってほしいと思っている。

――最後に、ファンへメッセージをお願いします。

初めての日本、初めてのツアーで、ワクワクが止まらないよ。もしかしたら、君たちより僕のほうが興奮しているかもね(笑)。会えるのを楽しみにしているよ。

LIVE INFORMATION

SAM GREENFIELD

▶︎SAM GREENFIELD

2026 3.17 tue., 3.18 wed. ブルーノート東京
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/sam-greenfield/

<MEMBER>
サム・グリーンフィールド(サックス)
ラッセル・ゲルマン(ギター)
マット・ウォン(キーボード)
ザック・ギーズ(ベース)
ジャスティン・スウィニー(ドラムス)
ジョー・モッター(トランペット)
ヨシオ(トロンボーン)
アンディ・ウルフ(サックス)

  
 

小林健(こばやし・けん)
『サックスワールド』ライター。新聞社の報道カメラマンで現在はバンコクを拠点にアジアをカバー。隠し芸としてサックスを少々たしなむ。次男がベースを始めたことを密かに喜ぶ父親。

★本インタビューの全文は、3月発売の『サックスワールド Vol.40』に収録。
https://saxophoneworld.com/

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