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[インタビュー|MY INSTRUMENT]ランディ・ブレッカー

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ランディ・ブレッカー

70代の流儀。まだ練習が楽しくて

 正確無比な超絶技巧と圧倒的なパワーで大人気を博した「ブレッカー・ブラザーズ」時代から使用する愛器を手に微笑むランディ。70代に突入しても一向に衰えないそのテクニックとパワーの秘訣とは?

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「地下室のある家に引っ越してからは、毎日22時から朝の3時頃まで練習しているんだ」

 11月、長年の盟友であるデヴィッド・サンボーン公演に出演したランディは、30年来愛用しているヤマハXeno(YTR-8335)を手に語り始めた。

「歳を取ると、それくらいやらないと実力がキープできないんだ。若い頃は、歳取ったってこのままずっと(テクニックやパワーを)キープできるはずだと、軽く考えていたんだけどね。ニューヨークのアパートメントで暮らしていた頃は、ミュート(弱音器)が不可欠だったけど、今は地下室で思う存分練習できるのがうれしいね! もちろん他にもいろんな楽器を持ってるよ、ラッパ吹きなんてみんなそうさ(笑)。真夜中の地下室ではピッコロトランペットから各種特殊管などを含めていろいろ吹いたりしているうちに、すぐ朝の3時になってしまう(笑)」

 この愛器を手に、ドイツのNDR(北ドイツ放送局)ビッグバンドと収録したアルバム『Rocks』の収録曲「Sozinho」のプレイは2020年のグラミー賞「ベスト・インプロヴァイズド・ジャズ・ソロ」部門にノミネートされた。

「今はアメリカで日常的に活動している公共の楽団といえばウィントン・マルサリスのジャズ・アット・リンカーンセンター・オーケストラくらい。ところが、ヨーロッパにはドイツのNDRやWDR、ノルウェーのUMO、オランダのメトロポールなど、ほぼ毎日演奏している楽団がある。素晴らしいことだよね。私の自慢は、彼らすべてと一緒にアルバムを作れたこと(笑)。アルバムにはサンボーンも参加してくれた。彼とともにブレッカー・ブラザーズのサウンドをビッグバンドのアレンジで新たに楽しんでもらおう、という企画なんだ」

 最高のアルバムになったよ!と、74歳のベテランは愛器を手にご満悦だった。

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ARレゾナンスの銅製マウスピース。バック2-1/2Cメガトーンがベースで、カップはやや浅め。上はギャップを調整する特製部品
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ケースはラニオンブルース製。メガトーンも、ちらりと。「リム(唇に触れる部分)の傷みが激しくなったけど、捨てる気にはならないね」

Photography = Takashi Yashima
Interview & text = Kyuzhaburou Noda
Interpretation = Kazumi Someya
Cooperation = Rittor Music

RANDY BRECKER (ランディ・ブレッカー)
1945年11月生まれ。本名ランドール・エドワード・ブレッカー。実弟マイケルとの「ブレッカー・ブラザーズ」でグラミー賞を獲得、一世を風靡した実力派。NDRビッグバンドとの新作『Rocks』もグラミー賞にノミネート。
埜田九三朗(のだ・きゅうざぶろう)
音楽ライター。現在、月刊誌「パイパーズ」「ザ・トランペット」他で執筆中。鎌倉エフエム「バンド・ライフ・タイム」(毎週土曜日17時から)で津崎知之氏とともにDJをつとめる。

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