【JAM vol.242】KENNY GARRETT - interview-
interview & text = Makoto Miura
photo = Tsuneo Koga
interpretation = Hitomi Watase
その音が誘う、旅とケミストリー
ケニー・ギャレットが『Sounds from the Ancestors』とともにまたブルーノート東京にやってきてくれた。変わらぬ姿を見せてくれたわけではない。むしろ明らかに変わったことが証明され、その魔法を解き明かすべく彼に話を聞く必要があった。『Sounds from the Ancestors』は終わりなき旅であり、繰り返されるケミストリーがつねに変化を与えていく。穏やかな語り口で、彼はその道中を振り返った。

ーー今回の公演の編成を直近の『Who killed AI?』(2024)ではなく、前作の『Sounds from the Ancestors』(2021)で組んだ意図は?
「そもそも2つのプロジェクトはまったく異なる性質のもので、『Sounds from the Ancestors』をベースにしたツアーがまだ続いていたのでオーディエンスを困惑させたくなかった。まだやりたいことがあるし、2年前の来日公演を振り返ってみても当時はまだバンドが完成されていなかったとも思う。メンバーだってヴォーカルのメイヴィス・サンタやドラムのロナルド・ブルーナー Jr.が加わり、前回とは違った我々の音をオーディエンスは体験できたんじゃないかな」
ーー『Sounds from the Ancestors』でトリビュートしたアーティストについて教えてください。
「たとえば"For Art's Sake"はアート・ブレイキーに捧げるつもりで書いていて、そのことをトニー・アレンにパリで会ったときに伝えたら一緒に演奏しないかと誘われた。でもまだ練習が十分でなかったから実現できなくて。だからこの曲はトニーへのオマージュでもあるんだ。彼も僕と同じようにアートから影響を受けたアーティスト。今回のドラマーであるロナルドからは両者の融合したスタイルを感じてもらえたと思う」

ーーロナルド・ブルーナー Jr.とはもう長い付き合いになるのでしょうか?
「彼がまだ18歳のときから知っているよ。僕たちの間にはいい音楽的なケミストリーがある。ともに深く音楽へ耳を澄まし、対話を重ね、ひとつになれる場所を探し求めること。それは自分が関わるすべてのミュージシャンに期待することでもある。そのケミストリーの過程は、旅であると言えるでしょう。そして我々はオーディエンスをその旅に導くのさ」
ーーあなたの言う旅について、もう少し話を聞かせてください。
「特に若いアーティストとの関係で言えば、ひとつ上の階段を登るような、アッパールームを目指すこと。高いレベルの境地に向かう旅です。自分が若いときには、アート・ブレイキーやマイルス・デイヴィスが導いてくれたように、今は自分がその役を務めなければいけない。バンドリーダーとしては時に辛抱強く接し、経験を積ませる必要がある。リーダーとしての振る舞いに関しては、特にアートから多くのことを学んだね」
ーーあなたがマイルス・デイヴィスから学んだことにも興味があります。
「彼から学んだのは10分にも及ぶソロの組み立て方に加えて、彼の音楽的な言語に耳を澄ますこと。彼がひとつのラインを吹けば、自分がそれに応える。そのやりとりはまるでアフリカの伝統のようだった。マイルスは日本でホンダのCMに出たことがあるでしょう? 僕が日本語を勉強していることを知った友人がマイルスのようにCMに起用されないか、日本の大手広告代理店に働きかけてくれたこともあったよ」
ーーブルーノート東京ではいつもどんな気持ちで演奏に臨みますか?
「オーディエンスにはつねに自分たちの演奏を通じてなにかを持ち帰ってもらいたいと願っているよ。レコーディングであろうとライヴであろうと音楽の密度が変わることはない。でもその空間が持つ響きは都度異なる。特にブルーノート東京はオーディエンスとの距離が近いからたとえシリアスな曲をやったとしても、パーティのように会場を沸かせることができる。それもケミストリーさ。そうやって僕の旅へみんなを連れていきたい。いつだってね」
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UNLIMITED MILES: MILES DAVIS AT 100
feat. John Beasley, Sean Jones, Mark Turner, Kurt Rosenwinkel, Ben Williams, Terreon Gully
2026 4.21 tue., 4.22 wed., 4.23 thu.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/john-beasley/
<MEMBER>
ジョン・ビーズリー(キーボード)
ショーン・ジョーンズ(トランペット)
マーク・ターナー(サックス)
カート・ローゼンウィンケル(ギター)
ベン・ウィリアムス(ベース)
テリオン・ガリー(ドラムス)

