【JAM vol.242】ARTURO SANDOVAL
interview & text = Ikuo Okamoto
photo (Eric Miyashiro) = Tsuneo Koga
エリック・ミヤシロが語る
アルトゥーロ・サンドバルの魅力
彼の噂はかねがね聞いていたんです。1970年代末ぐらいに、イラケレがカーネギー・ホールに出たとき、「とんでもない化け物がキューバにいる」という話がワーっと広がって。
80年代半ばに僕がバディ・リッチのビッグバンドでシカゴ・ジャズ・フェスティバルに出たとき、そこに(アルトゥーロ・)サンドバルさんが出ていたんです。まだ亡命前で、キューバン・オールスターみたいな感じで。
僕たち、楽屋に楽器とか置いて、バンドのジャケットを着て会場をブラブラしていたら、ホットドッグを持って近づいてきて、「バディ・リッチ大好き!」ってナマリの強い英語で話しかけてきて。誰だろう?と思って、「ファンの方ですか?」って訊いたら、「いやいや、今日出てるんだよ。マイ・ネーム・イズ・アルトゥーロ」って。「えーっ!会いたかったんですよ!」みたいな(笑)。そのステージの袖で聴いたのが初めてでしたね。1986年だったかな。
素直な感想としてはやっぱり衝撃的ですよね。今までにないタイプのトランペッター。テクニックはもちろんですけど、すごく情熱的なんです。ひとつひとつの音に主張があって、パワフルで、しかもバラードを吹くととても優しくて。いろんな面を持っている、すごい人だなという印象でした。

サンドバルさんって、まずハバナの音楽大学に行ってるんですよね。ものすごく基礎がしっかりしている方で、音域やいろいろなテクニック、タンギングとか発音とか、そういったいろんな意味での基礎がしっかりしている方なので、何でもできるんですよ。思ったことがすぐにバーって楽器から出せるようになっている。
やっぱりトランペッターとしてはすごく恵まれている。めちゃくちゃ才能があっていいな、僕もあんなに吹けたらいいなという、うらやましいという気持ちが強かったんですけど、年々いろいろなところで会う機会が増えていくなかで、いろんな話をしてくれて、そのなかで出てきたのがキューバという、環境的には閉鎖されたところで、ある意味すごく抑圧されたところで苦労して頑張ってきた。その強さがあるからこそ、「聴いてくれ! これが僕の音楽だ!」という強いメッセージを出せるのかなと思っています。
奏法的なことでいうと、ハイノートというのは、プレイヤーそれぞれのやり方があって、これが絶対というのはないんです。10人いたら10通りの吹き方があるので、彼は彼のやり方で、僕は真似しても全然できないし、彼が使っている道具とかいろんなことも含めて、彼独特の、独自で編み出した奏法なんです。すごく努力しないとあそこまでいけないというのは確かなことですよね。
彼が言っていたんですけど、大学に入るまでは普通にみんなと同じくらいのレベルの音域しか出なくてとても苦労したと。数少ない仕事で、大勢いるプレイヤーの中から仕事をもらうためには何か武器がないとダメじゃないですか。なので、"早く、高く、デカく"という三大要素みたいなものを特に集中して頑張ったそうです。
高い音を出すときって、ただ出るだけじゃなくて、高い音域でちゃんと歌えるようにというところが難しいんですよね。やっぱり音色とか歌い方っていうものがしっかりしてないと、ただの効果音みたいな感じになってしまうので。

2014年にブルーノート東京で共演したんですが、彼はリズムというものをとても大事にしているので、リズム・セクションをまず固めてから、管楽器の方に向いて、いろいろとアドバイスをする。ですので、リハーサルはとてもしっかりやりました。こだわりが強くて、細かいリハーサルをやった後に、「じゃあ楽しもうね。いっぱいやったから、それはそれで置いておいて、今度は音楽に集中しよう」みたいなことで、本番はすごく楽しかったですね。
5月に来日ということで、今回共演はありませんが、マイ・ヒーローのひとりであるサントバルさんとまた会えるというので、すごくワクワクしています。どんなふうに変化しているのか、どんなに進化しているのか楽しみです。
LIVE INFORMATION
ARTURO SANDOVAL
2026 5.25 mon., 5.26 tue., 5.27 wed.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/arturo-sandoval/
<MEMBER>
アルトゥーロ・サンドバル(トランペット)
リサンドロ・ピドレ(ピアノ)
ウィリアム・ブラーム(ギター)
マクシミリアン・ゲル(ベース)
ダニエル・フェルドマン(ドラムス)
ロベルト・ビスカイノ(パーカッション)
マイケル・タッカー(サックス)
ラリー・ブスタマンテ(バリトンサックス)
エリック・ミヤシロ 出演情報
Celebrate "International Jazz Day" with
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA
directed by ERIC MIYASHIRO
featuring LYN INAIZUMI with special guest BOB JAMES
2026 4.30 thu.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/bob-james-bnt-all-star-jazz-orchestra/
<MEMBER>
エリック・ミヤシロ(トランペット、コンダクター)
ボブ・ジェームス(ピアノ、キーボード)※スペシャル・ゲスト
稲泉りん(ヴォーカル)
本田雅人(サックス)
青柳伶(サックス)
小池修(サックス)
陸悠(サックス)
鈴木圭(サックス)
具志堅創(トランペット)
吉澤達彦(トランペット)
宮城力(トランペット)
石島望夢(トランペット)
中川英二郎(トロンボーン)
藤村尚輝(トロンボーン)
吉野快(トロンボーン)
小椋瑞季(トロンボーン)
宮本貴奈(ピアノ)
川村竜(ベース)
川口千里(ドラムス)
JAZZ AUDITORIA 2026
2026 4.24 fri., 4.25 sat., 4.26 sun.
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA
directed by ERIC MIYASHIRO
ワテラス広場 野外特設ステージ、淡路公園
東京都千代田区神田淡路町二丁目101番
最新情報は特設サイトへ
https://jazzauditoria.com/



