【JAM vol.240】BUTCHER BROWN
text = Tsuyoshi Hayashi
ジャズとヒップホップを下地に巧みなアンサンブルを奏でる
米リッチモンドの5人組がバンド名義で初登場!
2009年に米ヴァージニア州リッチモンドで結成されたブッチャー・ブラウンが広く注目を集めたのは、ニコラス・ペイトンの2014年作『Numbers』に参加した時だった。ジャズ・トランペッターのペイトンはジャズにとらわれない黒人音楽の創造性や影響力を謳った「BAM(Black American Music)」の提唱者として知られるが、まさにジャズを軸としながらソウルやファンクなどをヒップホップのメンタリティで解釈して現代的な音楽へと昇華しているのがブッチャー・ブラウンである。

ツアーなどでステージを共有したレタスやギャラクティックのような越境型ジャズ・ファンク・バンドの流れも汲み、J.ディラやマッドリブ、そして同じリッチモンド出身のディアンジェロ(先日51歳で他界)への愛も打ち出してきた。なかでもバンドの方向性を決定づけているのが、ビートメイキングも行う鍵盤奏者のDJハリソンことデヴォン・ハリスのクラシカルかつ進歩的なセンス。そのハリソンをはじめ、ドラムス/パーカッションのコーリー・フォンヴィル、ベースのアンディ・ランダッツォ、ギターのモーガン・バース、MCにしてトランペット/サックスを担当するテニシューことマーカス・テニーという現メンバー5人による巧みなアンサンブルは、2013年以降コンスタントに発表してきたアルバムやNPRの名物企画〈Tiny Desk Concert〉でも証明済みだ。

カマシ・ワシントンのツアー同行などを経て発表した2020年作『#KingButch』以降、コンコードとメジャー契約してからの勢いは目覚ましく、2025年の最新作『Letters From The Atlantic』も上々の内容。そんな彼らがバンド名義では初めてとなる来日公演をブルーノート東京で行う。DJハリソンがストーンズスロウから出しているソロ作も含めて、これまでアルバムでカヴァーしてきたヒップホップの定番ネタ(70~80年代のジャズやファンクなど)も披露されるはずのライヴは耳と心が潤う至福の時間になるだろう。昨年8月のカート・エリング公演でブルーノート東京に登場したコーリー・フォンヴィルの凄腕ドラムにもふたたび出会える。2月が待ち遠しい。
RELEASE INFORMATION

『Letters From The Atlantic』
(Concord Jazz)
※デジタル配信
LIVE INFORMATION
▶︎BUTCHER BROWN
2026 2.24 tue., 2.25 wed., 2.26 thu. ブルーノート東京
[1st]Open5:00pm Start6:00pm
[2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/butcher-brown/
<MEMBER>
DJハリソン(キーボード)
テニシュー(ヴォーカル、サックス、トランペット)
モーガン・バース(ギター)
アンディ・ランダッツォ(ベース)
コーリー・フォンヴィル(ドラムス)

