【JAM vol.240】NELS CLINE | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【JAM vol.240】NELS CLINE

【JAM vol.240】NELS CLINE

text = Kenichi Aono

大胆にして繊細、それでいて自由な音世界
ネルス・クライン「コンセントリック・カルテット」

独創的かつ刺激的な作品をクリエイトしている音楽家として、まず名前を挙げたいネルス・クライン。オルタナティヴ・ロック、ポスト・ロックの代表的バンド、ウィルコのメンバーであり、ソロ・アーティストとしては1980年代からアルバムを発表、近年は〈Blue Note〉から4作をリリースしているギタリスト、作曲家だ。また、フリー・ミュージック・シーンにおける即興演奏家の側面もあり、さまざまなアプローチで表現を続けるアーティストである。

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〈Blue Note〉での最新作は『Consentrik Quartet』(2025)。全12曲、約1時間のこのアルバムは、間違いなくジャズの手触りを感じさせるものだが、同時に彼のソロ・アーティストとしてのエッセンスが散りばめられた作品といえるだろう。楽曲のテーマと即興パートの絶妙なバランス、ソロ・パートのバッキングと呼ぶにはあまりにぜいたくなアプローチなど、良点を挙げればキリがない素晴らしい仕上がりである。

アルバム・タイトルは同作を演奏しているカルテットの名称がそのまま用いられており、今回のブルーノート東京公演も同カルテットがステージに上がる。メンバーは、トム・レイニー(ドラムス)、クリス・ライトキャップ(ベース)、イングリッド・ラウブロック(サックス)とネルス(ギター)。楽曲のニュアンスに繊細に寄り添いながらも存在感のあるトム・レイニーのドラムスと、抜群の安定感を誇るクリス・ライトキャップのベース、テーマにソロにと全面的にフィーチャーされるイングリッド・ラウブロックのサックスは上質で品格が感じられる。そして変幻自在のネルスのギターである。

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優れた演奏家が集って奏でる音楽が、テクニック披露に終始して音楽的につまらないものになってしまうケースは残念ながら散見されるが、このカルテットについてはその心配は無用。ソロの容れ物としての楽曲ではなく、楽曲を表現するうえで必要なアプローチが多角的にとられているからだ。この意味において、本カルテットはいわゆるバンドらしさがあって、それがまたいい。

RELEASE INFORMATION


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『Consentrik Quartet』
(ユニバーサル ミュージック)

LIVE INFORMATION

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▶︎NELS CLINE : CONSENTRIK QUARTET

2026 2.4 wed., 2.5 thu. ブルーノート東京
[1st]Open5:00pm Start6:00pm
[2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/nels-cline/

<MEMBER>
ネルス・クライン(ギター)
イングリッド・ラウブロック(サックス)
クリス・ライトキャップ(ベース)
トム・レイニー(ドラムス)

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