共演メンバーはいずれもモダンジャズの名手といっていいだろう。ピアニストのリニー・ロスネスはジョー・ヘンダーソン、ウェイン・ショーター、J.J.ジョンソンらと共演し、2004年から2009年にかけてはSFジャズ・コレクティヴの初代ピアニストの座に。2018年にはモントリオール・ジャズ祭が制定した「オスカー・ピーターソン賞」を受賞、女性ミュージシャンで構成されたユニット"アルテミス"でも精力的に活躍中だ。サックス奏者のジミー・グリーンはコネチカット州ハートフォードの教育機関「アーティスツ・コレクティヴ」でジャッキー・マクリーンに学び、ホレス・シルヴァー、フレディ・ハバード、トム・ハレル、ハリー・コニックJr.らとプレイを重ねてきた。2014年発表のリーダー・アルバム『Beautiful Life』にはパット・メセニー、クリスチャン・マクブライド、リニー・ロスネスらが参加、ジャズ・チャートのベスト5にランクインを果たしている。ドラマーのペイトン・クロスリーは14歳から18歳にかけて、アラン・ドーソン（トニー・ウィリアムスの師としても知られる）のもとで学び、20歳でアーマッド・ジャマル・トリオに参加。1982年に脱退後はジミー・スコット、オナージェ・アラン・ガムズらと共演し、ロン・カーターのアルバムにも90年代から参加を続けている。

　ロン、リニー、ジミー、ペイトンの4人は2012年頃から共に演奏を始め、バンドの音を練り上げてきた。今回の来日公演に先駆けて何か聴いておきたい、という方にはスウェーデンで収録された近作2枚組アルバム『Ron Carter Foursight:The Complete Stockholm Tapes』がお勧めだ。ロンが研鑽を積んだ通称"1960年代マイルス・デイヴィス黄金クインテット"の代表曲「Seven Steps to Heaven」あり、ロンの代表的オリジナル曲である「Little Waltz」「Mr. Bow Tie」あり、スタンダード・ナンバーの「You and the Night and the Music」あり、無伴奏ベース・ソロの「You Are My Sunshine」あり、という盛りだくさんの内容で、このあたりのナンバーも来日公演では演奏されるかもしれないと想像するだけで嬉しさが高まるファンも多々いらっしゃるのではないかと思う。

　ロン・カーターは今年の5月に満88歳の誕生日を迎えた。この年齢での現役活動や海外ツアーは、彼の大先輩ベーシストにあたるミルト・ヒントンやレイ・ブラウンも成し得なかったことだ。しかも今回はブルーノート東京2デイズのあと、東海市芸術劇場、すみだトリフォニーホール、高崎芸術劇場（スタジオシアター）、山形テルサホールでの公演も予定されている。「私は今も、より的確な音を探し続けている。その道に終わりはないんだ」と語る巨匠の現在の"境地"を、ぜひライヴで体感いただきたい。

LIVE INFORMATION

THE RON CARTER QUARTET
2026 1.11 sun., 1.12 mon.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm　[2nd]Open6:30pm Start7:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/ron-carter/

＜MEMBER＞
ロン・カーター（ベース）
ジミー・グリーン（テナーサックス）
リニー・ロスネス（ピアノ）
ペイトン・クロスリー（ドラムス）

The Ron Carter Quartet Japan Tour in 2026
https://www.bluenote.co.jp/jp/lp/ron-carter-2026/
1.14 wed.【愛知】東海市芸術劇場
1.16 fri.【東京】すみだトリフォニーホール / 大ホール
1.17 sat.【群馬】高崎芸術劇場 / スタジオシアター
1.18 sun.【山形】山形テルサ