【JAM vol.237】TERRI LYNE CARRINGTON: WE INSIST 2025!

text = Kazunori Harada
最高峰のドラマーと要注目のヴォーカリストが
歴史的アルバム『WE INSIST!』の再構築に臨む
ドラマー、プロデューサー、教育者として精力的に活動するテリ・リン・キャリントンが6月リリースのアルバム『WE INSIST 2025!』を携えて、約11年ぶりに登場する。
音楽一家に生まれ育ち、16歳でファースト・アルバムを発表。ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、デヴィッド・サンボーン、カサンドラ・ウィルソンら数多くのミュージシャンに至高のドラム・プレイを提供し、1996年にはアトランタ五輪のテーマソング「オールウェイズ・リーチ・フォア・ユア・ドリームズ」(feat.ピーボ・ブライソン)を作曲。アメリカ・ジャズ界最高の名誉"NEAジャズマスター"を受けるとともに、現在まで4度のグラミー賞に輝いている。ちなみに"WE INSIST!"は、モダン・ジャズ・ドラマーの草分けにあたるマックス・ローチと詩人のオスカー・ブラウンJr.が奴隷解放宣言100年(1963年)に向けて共作した組曲で、Freedom Now Suiteという副題を持つ。60年録音のアルバムではアビー・リンカーンの歌声、ナイジェリア出身の打楽器奏者であるオラトゥンジのプレイもフィーチャーされた。
それから約65年の歳月を経た現在、この作品と今日の状況との継続性を認めるテリ・リンが、"WE INSIST"の音世界の再構築にとりかかっている。60年版では「Prayer(祈り)/Protest(抗議)/Peace(平和)」の3部構成だった「Triptych」は「Resolve(解決)/Resist(抵抗)/Reimagine(再構築)」となり、「Dear Abbey」などのオリジナル・ナンバーが新たに加えられた。かつてエスペランサ・スポルディングやノナ・ヘンドリックスを含む"モザイク・プロジェクト"や、リズ・ライトを加えたユニットで充実の公演を繰り広げたテリ・リンだが、今回は最新作『Journey In Black』(マーキス・ヒル参加)のグラミー賞ノミネートでも話題を集めるヴォーカリストのクリスティー・ダシールを含むラインナップによる公演。平和を、自由を、解放を求める人々の気持ちは決して変わることがないーー 1960年版"WE INSIST!"を聴いたことがある人、ない人、双方の心を揺さぶる圧巻のパフォーマンスになるはずだ。
RELEASE INFORMATION

We Insist 2025!
(Candid)
LIVE INFORMATION
TERRI LYNE CARRINGTON: WE INSIST 2025!
featuring CHRISTIE DASHIELL
2025 8.6 wed., 8.7 thu., 8.8 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/terri-lyne-carrington/
<MEMBER>
テリ・リン・キャリントン(ドラムス)
クリスティー・ダシール(ヴォーカル)
クリスティアナ・ハント(ダンサー)
ミレーナ・カサド(トランペット)
マシュー・スティーヴンス(ギター)
ラシャーン・カーター(ベース)