【JAM vol.237】LISA ONO & ROBERTO MENESCAL

text= Kenichi Aono
小野リサのプレミアム・ライヴで
ボサノヴァのこれまで、いま、これからを思う
2024年にデビュー35周年を迎え、ますます意欲的に活動を続ける小野リサ。毎年恒例、季節の風物詩となったブルーノート東京でのサマー・ライヴが今年も開催される。今回の公演で注目したいのは、まずギタリスト、作編曲家のホベルト・メネスカルがヴォーカルとギターで参加するということ。小野リサとの共演は今回が初、そして最後の来日ステージとなる。
リオデジャネイロ出身のホベルト・メネスカルは、1950年代後半にアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、ナラ・レオンらとの交流のなかから新しいブラジル音楽の潮流を作り出していったひとり。いわばボサノヴァのリヴィング・レジェンドだ。「小舟」や「リオ」といった誰もが耳にしたことがあるであろうボサノヴァ・クラシックは彼の手になるものである。
もうひとつのトピックはこれからのブラジル音楽を担うリオデジャネイロのシンガー・ソングライター、テオ・ビアウの参加。ボサノヴァの正統継承者とでもいうべき柔らかな音像を展開しつつ、現代的なムードを感じさせるその作風から、近年注目を浴びている人物だ。今回のブルーノート東京公演では小野リサ、ホベルト・メネスカルと並んでギターとヴォーカルを務める。
さて、主役となる小野リサはといえば、昨年のアニバーサリー・イヤーは国内やアジア各国で演奏を行い、今年も自身のコンサートはもちろん、フェスティバルや音楽祭に出演するなど、絶え間なく音楽表現を続けている。さすがは日本のブラジル音楽の第一人者である。
今回の公演は林正樹(ピアノ)をはじめ小野との相性も抜群な演奏家たちが顔を揃えており、インティメイトな時間を創出してくれることだろう。そんな見どころ満載のこのライヴだが、聴く側はリラックスして音に身をまかせるのがいいように思う。そのうえで、ブラジル音楽の歴史を思い、いまを感じ、未来への期待を抱くーー 世代を超えて集った音楽家のプレミアムな公演ならではの楽しみも味わうことができるのではないだろうか。
LIVE INFORMATION
LISA ONO & ROBERTO MENESCAL
"The Final Japan Tour of the Bossa Nova Creator" with Theo Bial
2025 7.21 mon., 7.22 tue., 7.24 thu., 7.25 fri.
7.21 mon.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
7.22 tue., 7.24 thu., 7.25 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/lisa-ono/
<MEMBER>
小野リサ(ヴォーカル、ギター)
ホベルト・メネスカル(ヴォーカル、ギター)
テオ・ビアウ(ヴォーカル、ギター)
林正樹(ピアノ)
クリス・シルバースタイン(ベース)
ダニエル・バエデール(ドラムス)