【JAM vol.237】ANDREA MOTIS Duo featuring JOSEP TRAVER

text= Kazunori Harada
バルセロナのジャズ・ヒロインと
百戦錬磨の名ギタリストが繰り広げる"デュオの魔法"
軽妙なアコースティック・ジャズ、限りなくメロディアスなブラジリアン・サウンド、エレクトリック・バンドによるセンセーショナルな音作りーー 来日のごとに新たな音楽の旅へとオーディエンスを誘うアンドレア・モティスが、今回も要注目のプロジェクトでブルーノート東京の夏をクールに彩る。13歳の頃から共演を続ける名ギタリスト、ジョセップ・トレイバーとのデュオ公演だ。
スペイン・バルセロナ出身の彼女は7歳からトランペット演奏を始め、同国ジャズ界の重鎮ジョアン・チャモロに師事。ジョアン率いる"サン・アンドレウ・ジャズ・バンド"で腕を磨き、15歳の時に実質的なファースト・アルバム『Joan Chamorro presenta Andrea Motis』を発表。その2年後にあたる2012年、フランク・シナトラやマイケル・ジャクソンら数々のスターと交流した重鎮プロデューサー、クインシー・ジョーンズの目に留まったことで世界的な注目を浴びるようになった。2016年には名門インパルス・レーベルからアルバム『He's Funny That Way』を発表、日本では次作『Emotional Dance』で人気に火が付いた。以来、コンスタントな作品発表を続けながら、リリカルな歌声とトランペットで世界中のファンを魅了して現在に至っている。2024年のアルバム『Febrero』ではチリの室内楽アンサンブル"カメラータ・パパゲーノ"と共演、またしても新たな一面をみせたことも記憶に新しい。
今回の公演でアンドレアのパートナーを務めるジョセップ・トレイバーは、1968年バルセロナ生まれのベテラン・プレイヤー。12歳の時にジャンゴ・ラインハルトの音源を聴いてジャズ・ギターに開眼し、続いてパット・メセニー、ウェス・モンゴメリー、ビル・フリゼールなどのプレイに熱中、ジョン・スコフィールドの講座も受け、さらにクラレンス・ホワイト、ノーマン・ブレイクなどカントリー~ブルーグラスの名手からもインスピレーションを得て自身のスタイルを確立した。2017年と19年のアンドレアの来日ステージにも同行していたが、今回はデュオということもあって、彼の粒立ちの良い音色、繊細なコード・ワークやオブリガートの数々にいっそう耳が吸い寄せられることは間違いないはずだ。と同時に、これまで以上にアンドレアの歌声やトランペットが身近に感じられるパフォーマンスにもなろう。
アンドレアはジョセップの演奏の大きな魅力として「繊細さと、プロとして長年経験を積んできたことによって形成された多彩なバックグラウンド」を挙げ、「私たちふたりの間に存在する魔法を他のミュージシャンと再現するのはとても難しい。なぜなら、彼は私が最も一緒に演奏してきたギタリストで、何年もの間、私たちはほとんど毎日お互いの演奏を聴き合ってきたから」と付け加えている。気心の知れたふたりがどんなタイプの楽曲を届けてくれるのかも気になるところだが、現時点ではジャジーなものを中心に、カントリー、ブルース、ブラジル音楽、シンガーソングライターの楽曲など、カテゴリーを自在に行き来したセットリストになる予定。アンドレアとジョセップのふたりだからこそ成し得るワン&オンリーの世界観が横溢する、忘れられない2デイズとなることは間違いない。
LIVE INFORMATION
ANDREA MOTIS Duo
featuring JOSEP TRAVER
2025 7.17 thu., 7.18 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/andrea-motis/
<MEMBER>
アンドレア・モティス(ヴォーカル、トランペット)
ジョセップ・トレイバー(ギター)