【来日直前インタビュー】HUNTERTONES + AKIE BERMISS (of LAKE STREET DIVE) | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【来日直前インタビュー】HUNTERTONES + AKIE BERMISS (of LAKE STREET DIVE)

【来日直前インタビュー】HUNTERTONES + AKIE BERMISS (of LAKE STREET DIVE)

ブルックリン直送の迫力。最先端ブラス・ファンク・バンド+シンガー・ソングライターの要注目コラボが待望の来日!

 ジャンル越境型サウンドと型破りな選曲でブラス・ファンクの新たな扉を開く6人組、ハンタートーンズが4年ぶりに来日する。しかも今回は、レイク・ストリート・ダイヴでも活躍するシンガー・ソングライター/キーボーディストのアキー・バーミスを迎えての登場だ。公演に先がけて、ハンタートーンズのサックス奏者ダン・ホワイト、そしてアキー・バーミスに話をきいた。

interview & text = Kazunori Harada
interpretation = Kazumi Someya

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 -- おふたりが出会ったきっかけを教えてください。

アキー・バーミス(以下、アキー): 初めて出会ったのは、ダンがハンタートーンズを結成する以前のことかな。ニューヨークに共通の知り合いがいて、僕がその時に率いていたトリオにダンが参加したこともある。当時から、音楽的に惹かれるものがあったんだ。

ダン・ホワイト(ハンタートーンズ/以下、ダン): アキーが真夜中のロウアー・イーストサイド(ニューヨークのロウアーマンハッタンとブルックリンの間にある地区)で行なっていたショウが大好きだったね。そこでは僕も一緒に共演することができたし、彼はピアニストとして、朝までそこに残って、いろんなバンドとセッションを繰り広げていた。僕らはずっとギターとベースとドラムとホーン・セクションという編成で続けていたから、<ピアノを弾きながら歌える人>は魅力的だった。しかもアキーはただ歌えて弾けるだけじゃなくて、類まれな才能を持っているからね。共演はハンタートーンズにとって大きなプラスだし、一緒にスタジオでレコーディングするところまで来られたのは本当に光栄だ。

アキー: ハンタートーンズと一緒に歌うと、自分でも知らなかったような自分の姿に出会えるし、シンガーとしてどんどん高みに登っているような気分になるね。どんな言い訳を作ってでも、彼らとは共演を続けたいと思っているよ。

 -- <より強固なコンビネーションが築けるようになった>と感じた時はいつですか?

ダン: 昨年、一緒にツアーに出た時だね。そうすると、ミュージシャンとしてだけじゃなくて、人としてお互いのことがより理解できるようになる。アキーの忍耐強さ、素晴らしい人柄、ユーモア感覚がとても得難かった。

アキー: <ニューヨークで何度も共演した>といっても、それは単発だったからね。ヨーロッパで3週間にわたってハンタートーンズと行動を共にするのは初めての経験だった。季節としては秋の終わりから、冬の始まりぐらいの時期だったかな。電車や飛行機や車に乗って、夜中や早朝に早く移動して、到着したらすぐサウンドチェック。すごく鍛えられたけれど、ステージにあがれば、とにかく楽しかった。ツアーを続けるうちに音楽も、僕らの絆も更に深まった。ハンタートーンズと一つの生命体になったような気分だよ。

 -- ハンタートーンズのアルバム『Time To Play』では、「Jealous Guy」(オリジナル・アーティスト:ジョン・レノン)を共演していましたね。

ダン: 僕はもともとダニー・ハサウェイが大好きで、中でもアルバム『ライヴ』は最高の一枚だ。あの世界に、「ホーン・セクションという、もうひとつのレイヤー」を重ねたらどうなるか?という考えが、ハンタートーンズのために「Jealous Guy」をアレンジしようと思った理由のひとつだね。と同時に、アキーの声でこの曲を聴いてみたかった。彼も僕もダニーの大ファンだし、ダニーがジョン・レノンの原曲を素晴らしい形で自分のものにしたように、僕らもこの曲を新しい形で皆さんに提供したかったんだ。

アキー: 僕がウェディング・シンガー(結婚式を盛り上げる歌手)をしていた頃、この曲のリクエストを受けたことを覚えている。歌詞の内容を考えたら、すごく風変わりなリクエストだけどね(笑)。ダニー・ハサウェイの『ライヴ』は、僕がとても影響を受けたアルバムで、<ピアノで弾き語りをすること>自体に対して開眼させてくれた。ハンタートーンズと一緒に、思い入れのある歌を歌えたのはとても嬉しかったね。

 -- さらに、この夏には、共演シングルの「Dirty Work」(オリジナル・アーティスト:スティーリー・ダン)、「Vehicle」(オリジナル・アーティスト:アイズ・オブ・マーチ)が連続リリースされます。

ダン: 「Dirty Work」は以前から好きだった曲だけど、映画『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』(アラン・テイラー監督、2021年)の中で登場人物が車を運転しながら歌っていたシーンがやけに印象的で、ぜひ自分たちでもこの曲を取り上げてみたいと思うようになった。アキーに「この曲、知ってる?」と尋ねると、もちろん知っていて、しかも好きな曲だというんだ。ヨーロッパ・ツアーの初日にリハーサルなしでやってみたら、アキーが本当に気合の入った、見事な歌を聴かせてくれたのを覚えているよ。

アキー: アメリカではこの曲もウェディング・パーティでリクエストが来る。なぜかは知らないけどね(笑)。だから何度か人前で歌ったことはあったんだ。僕らの共演は、ハンタートーンズのプレイと僕の歌があいまって、素敵な内容に仕上がったと思う。

ダン: 「Vehicle」はアキーのヴォーカル・スタイルに合うだろうなと思って選曲して、とてもうまくいった。トロンボーンのクリス・オットが担当した、ヒロイックな、勝ち誇ったようなアレンジにも注目してほしいね。

アキー: 途中、ちょっとオペラティックな歌唱になるところもあって、そこも含めて、歌い手として取り組みがいがあったよ。

 -- 8月25日からブルーノート東京やコットンクラブで行われる来日公演は、どんな感じになりますか?

ダン: 日本に行く前にもレコーディングをするから、さらに新曲が増えることになるだろう。クリス・オットのビートボックスや、トランペットのジョン・ランプリーがスーザフォンでベースラインを担当するナンバーもいくつかプレイしたいと思っている。『Time To Play』や『Engine Co.』を出すこともできたし、状況が発展して、さらに勢いづいている実感がある。常に新鮮なのが僕らの強みだと思っているので、その状態で東京に行けるのがすごく嬉しいね。今回はありがたいことに、東京で複数回のショウができるから、新しい曲、新しい展開を、その都度お届けできるはずだ。本当に、聴いてほしいものがいっぱいあるんだよ。

アキー: 僕は今回が初来日になる。日本のことは、レイク・ストリート・ダイヴ(2017年1月にブルーノート東京で公演。アキーはその後に参加)のメンバーからも聞いているし、早く皆さんのところを訪れたい気持ちでいっぱいなんだ。ショーを行うこと、オーディエンスと会うこと、カルチャーを体験すること、すべてが楽しみで、明日でも行けたらいいのにと思っている。

ダン: 実をいうと『Time To Play』というアルバム・タイトルは、前回、ブルーノート東京に登場した時の経験がヒントになっている。楽屋からキッチンを通ってステージに出て行くときに、マイク・スターンが書いた「Time To Play」(プレイの時間だ)という小さな紙が貼ってあって、それがとても印象的だった。その後パンデミックが起こり、僕らは外に出ることができず、閉じ込められた日々が続いた。そして今、また皆さんと会えるようになってきた。まさにプレイの時がやってきたという感覚なんだ。楽曲自体もどんどん進化しているし、僕らも常にインスピレーションを求めている。とにかく公演を楽しんでもらえたら嬉しいね。

LIVE INFORMATION

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HUNTERTONES + Akie Bermiss (of LAKE STREET DIVE)
8.25 fri. ブルーノート東京
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/huntertones/
8.26 sat., 8.27 sun. コットンクラブ
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/huntertones/

<MEMBER>
ダン・ホワイト(サックス)
ジョン・ランプリー(トランペット、スーザフォン)
クリス・オット(トロンボーン、ヒューマンビートボックス)
ジョシュ・ヒル(ギター)
アダム・デアセンティス(ベース)
ジョン・ハベル(ドラムス)
アキー・バーミス [レイク・ストリート・ダイヴ](ヴォーカル、キーボード)




原田和典(はらだ・かずのり)
音楽ジャーナリスト。元「ジャズ批評」編集長、米ジャズ誌「ダウンビート」国際批評家投票メンバー。最新刊『モダン・ジャズ』(ミュージック・マガジン)発売中。

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